箱根駅伝のヒーローが描く、世界挑戦のシナリオ=東海大・村澤明伸インタビュー

折山淑美

リオ五輪はマラソンで勝負

学生長距離界をけん引してきた村澤。将来はマラソンで世界に勝負するつもりだ 【写真提供:東海スポーツ】

――いつごろまでトラックを意識するという構想ですか?

 僕自身、リオデジャネイロ五輪はマラソンで勝負したいと思っているので、トラックで狙うというよりマラソンのためのトレーニング、1万メートルだと思っているんです。じっくりトラックをやってからという方法もあると思いますが、ロンドン五輪を見て「勝負するならマラソンかな」と思いましたし。

――それではまずハーフの1時間突破が目標になりますか?

 そうですね。そういう高いレベルが求められると思うので。そのくらいの走りは見えている感じですが、30キロや40キロとなると世界は違って来ると思いますね。

――米国での練習はどのような形を考えていますか?

 向こうのコーチの練習メニューでやりたいと思っていますが、ロード練習はあまり考えないで、トラックでのスピード練習とクロスカントリーでの走り込みをベースにしたいなと考えています。それに、選考となるレースは日本の方が多いですが、それ以外にも米国でレースを転戦したいと思っているんです。

――日本のマラソン界で2時間4分台や5分台がバンバン出ている状況なら米国行きも考えなかったでしょうね。

 それは実際あるかもしれませんね。強い選手の走りを肌で感じたくても日本の場合は大会が限られていますし。本当の勝負となると海外の大会ですから、国内だけではなくいろんなところに出てみたいという気持も強いんです。10キロや10マイル、ハーフ、30キロなどいろんなレースに出ていろんな経験をしたいと思っています。

――そう考えると楽しみですね。

 やはり国際大会で結果を出したいから、米国でやりたいとかいろんな経験をしたいというのがあるんですね。場馴れするということもないと思いますが、違う国の選手と一緒に走ることに対し、ちょっとでもストレスを感じるとパフォーマンスにも影響すると思う。精神的にも肉体的にもタフにならなければと思いますね。

世界を目指し、まずは復調を優先

――今年8月の世界選手権(モスクワ)については?

 今の状況が状況なので、まずは自分の走りを取り戻すことに集中したいと思っています。世界選手権を考えてしまうと、走りを取り戻さないままでやってしまうかなというのもあるので。だから、4年後(のリオデジャネイロ五輪)を考えてやれればいいし、15年の世界選手権は1万メートルで、五輪はマラソンという流れだったらいいなというくらいですね。

――今の脚の状態は?

 もうそんなに具合が悪いというのではなく、予選会に向けて無理をしたこともあってフォームが崩れてしまい、それがなかなか戻らないという感じです。そこを今、ドリルなどで戻している段階ですが、今までやったことのないこともやっているのですごい新鮮というか、充実感もあるんです。ジョグもやっていますが、その走り方も変化していくのが分かる。今はリハビリも楽しくやっています。

<了>

2/2ページ

著者プロフィール

1953年1月26日長野県生まれ。神奈川大学工学部卒業後、『週刊プレイボーイ』『月刊プレイボーイ』『Number』『Sportiva』ほかで活躍中の「アマチュアスポーツ」専門ライター。著書『誰よりも遠くへ―原田雅彦と男達の熱き闘い―』(集英社)『高橋尚子 金メダルへの絆』(構成/日本文芸社)『船木和喜をK点まで運んだ3つの風』(学習研究社)『眠らないウサギ―井上康生の柔道一直線!』(創美社)『末続慎吾×高野進--栄光への助走 日本人でも世界と戦える! 』(集英社)『泳げ!北島ッ 金メダルまでの軌跡』(太田出版)ほか多数。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント