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酒井友之が現役生活にこだわる理由
求められる東南アジアへの適応力

模索し続けた現役続行の道

現在インドネシアでプレーする酒井(左)。東南アジアに進出する日本人選手は増える一方だ
現在インドネシアでプレーする酒井(左)。東南アジアに進出する日本人選手は増える一方だ【元川悦子】

 インドネシア・プレミアリーグ(1部に相当)昇格を目指すインドネシア・プレミアディビジョン(2部に相当)が27日に開幕した。今季から降格してきたデルトラス・シドアルジョの一員となった元日本代表MF酒井友之も28日の第1節、ペルセカム・メトロ戦でボランチとして先発出場を果たした。この日は前半の早い時間帯に右足を打撲し、75分でベンチに下がったものの、チームは2−0で勝利した。本人としてはデビュー戦の負傷に多少なりとも不完全燃焼感を抱いたようだが、「打撲だし大事には至らないと思う。今季はケガなくシーズンを過ごしたいですね」といち早く気持ちを切り替えた。新たなクラブでの勝負はここからが本番といえる。


 酒井が同国に渡ったのは2010年9月。ジェフユナイテッド市原(現千葉)、名古屋グランパス、浦和レッズ、ヴィッセル神戸と渡り歩き、負傷がたたって08年に戦力外通告を受けてから、彼は現役続行の道を懸命に模索した。09年は静岡県リーグ1部(当時)の藤枝MYFC(現日本フットボールリーグ=JFL=)でプレーした。同クラブとの契約が切れた後、サッカー人生を賭けて東南アジアの未知なる異国へ渡ったのである。


 最初はジャカルタにあるスーパーリーグ所属のペリタ・ジャヤに新天地を見いだし、約半年間プレーした。ところが、11年2月に一方的に契約解除を言い渡される。監督交代に伴って、クラブ側がオーストラリア人とマレーシア人選手を補強し、外国人枠が埋まってしまったのだ。そこで代理人の協力を得ながら翌月からインドネシア東端にあるパプア島のペルセナ・ワメナを見つけ移籍。6月のシーズン終了まで戦った。しかしワメナとの契約延長はならず、翌シーズンに向けて再びクラブ探しに奔走した。11月のリーグ開幕直前に同じパプア島のソロンにあるペリシラム・ラジャアンバット入りが決まり、11−12シーズンは34試合すべてに出場した。

残留に貢献も続く契約解除

「神戸で腰を痛めてからずっとケガとリハビリ続きで、1年間フルで戦えたことがなかった。ラジャアンバットでは本職のボランチをやらせてもらえたし、久しぶりにまずまずのプレーができたのかなと思います」と本人も手ごたえを感じたという。ラジャアンバットも最終的に14位となり、スーパーリーグ残留が決定。酒井の貢献度も大きかったが、またも契約打ち切りを通告されてしまった。


 それでもサッカーへの情熱は衰えず、彼は昨年9月には再びインドネシアへ赴く。タイ移籍の可能性も模索するなど、あらゆる努力を重ねた末の12月末、デルトラスとの契約をようやく勝ち取ることができた。ジャワ島北東部のスラバヤから少し南に行ったシドアルジョはパプアよりサッカー熱も高く、環境も比較的いいという。


「インドネシアは芝が太くて土も固かったりするけど、僕らがプレーしているスタジアムは細い芝でピッチもしっかりしていて日本に近いですね。だけど練習の時はシャワーも浴びずに帰るのが普通だし、トレーナーが体のケアを入念にしてくれるわけでもない。僕はアパート近くの1時間500円のマッサージ店に週何回か通って、練習や試合の時は自分でバンテージを巻いてプレーしてます。ケガをしてもアイシング用の氷さえ用意されていないし、メディカルスタッフは満足いく治療もしてくれない。万全のサポート体制が当たり前の日本から見たら信じられないでしょうね(苦笑)。たくましくタフにやっていける力がないとこの国では厳しいと思います」と酒井は淡々とコメントしていた。

元川悦子
元川悦子

1967年長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに。Jリーグ、日本代表、育成年代、海外まで幅広くフォロー。特に日本代表は非公開練習でもせっせと通って選手のコメントを取り、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは94年アメリカ大会から5回連続で現地へ赴いた。著書に「U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日」(小学館刊)、「蹴音」(主婦の友社)、「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年」(スキージャーナル)、「『いじらない』育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(日本放送出版協会)、「僕らがサッカーボーイズだった頃』(カンゼン刊)、「全国制覇12回より大切な清商サッカー部の教え」(ぱる出版)、「日本初の韓国代表フィジカルコーチ 池田誠剛の生きざま 日本人として韓国代表で戦う理由 」(カンゼン)など。「勝利の街に響け凱歌―松本山雅という奇跡のクラブ 」を15年4月に汐文社から上梓した

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