「最後じゃない」秋山ら5選手がノアラストファイト

高木裕美

ノア所属として最後のリングに立った秋山準 【田栗かおる】

 毎年恒例のプロレスリング・ノアのクリスマス興行「NOAHful Gift in Differ 2012 vol.2」が24日、東京・ディファ有明で開催され、超満員となる1800人を動員。対戦カードは観客の抽選によって決定し、今年いっぱいでノアを退団する秋山準、潮崎豪、金丸義信、鈴木鼓太郎、青木篤志の5選手が所属としてラストマッチを飾った。

秋山「またお会いできると思う」

Mr.サンタクロースとして登場した秋山 【田栗かおる】

 秋山は前日の予告通りに赤と緑のマスクマン、Mr.クリスマスとして、第1試合で青木と対戦。元付き人であり、S・A・Tの仲間である青木が相手ということで、リングの上下で追いかけっこをするなど、伸び伸びとファイト。共にアマレス出身者同士ならではのグラウンドの攻防から、ランニング式のニーやエクスプロイダーなどの得意技も繰り出しつつ、腕ひしぎ逆十字固めを狙いにきたところを丸め込んで3カウントを奪取した。
 試合前はガウン、試合後はかぶっていたマスクを脱いでファンにプレゼントし、初めて正体を明かして素顔に戻った秋山は、リング上から「皆さん、またお会いできると思うんで、とりあえず、12年間、本当にありがとうございました。まだまだイキのいい選手がたくさんいますんで、これからもプロレスリング・ノアをよろしくお願いします」とあいさつ。「緑のリングは別に最後じゃないと思う。体の状態を見て、良い形でリングに戻ってきたい」と、00年8月の衝撃的な旗揚げ戦での勝利から12年間、愛してきたノアのリングとファンに別れを告げた。

 一方、前日は小川良成、この日は秋山と、この2日間で師匠2人と対戦した青木は、5枚重ねで着用したサイン入りTシャツを客席に投げ入れ、ファンに最後の大盤振る舞い。2連敗でラストファイトを終えると、「今後も自分が何かを皆さんに返せるように頑張っていく」とノアでの7年間を糧に、フリーとしての飛躍を誓った。

鼓太郎「他のプロレスをミックスさせて大きくなる」

新天地での活躍を誓う鼓太郎 【田栗かおる】

 鼓太郎は、数々の因縁がある平柳玄藩と第2試合で対戦。平柳のラフファイトに対し、イスごとエルボーをぶち込み、エルボー、タイガードライバーで勝利。試合後は倒れていた平柳を抱き起こし、握手をかわし、肩を組んで花道を引き揚げて、厳しい状況が予想されるノアジュニアの今後を託した。
 自身については「他のプロレスを体で覚えてミックスさせて、さらに大きくなりたい」と、ノアでの11年間と、師匠の三沢光晴さんから得たものを生かし、他団体でも活躍したいと語った。

潮崎はゼロからのスタートに気合十分

潮崎はゼロからのスタートに気合十分 【田栗かおる】

 潮崎は石森太二と第3試合で対戦。石森の軽快な動きに翻ろうされつつも、逆水平チョップ、起き上がりこぼしチョップをぶち込み、パワーボム、袈裟斬りチョップから、カウンターの豪腕ラリアットでフィニッシュ。
 ラストマッチを勝利で飾り、花道の奥で深々と頭を下げた潮崎は、ノアに深い感謝の気持ちを示しつつ、「来年の展望は、今は全く何もない。リングに上がることだけを考えてやっていきたい」と、会社という後ろ盾をなくしてのゼロからのスタートに気を引き締めた。

■金丸は引退説を否定しフリーでの活動を宣言

 金丸はGHCタッグ王者の杉浦貴&丸藤正道組と対戦。退団組に激しい敵意を燃やす王者チームとの対戦に、ピリピリムードになるかと思いきや、パートナーの“クリスマス男”齋藤彰俊が、デニムの上下でお笑い芸人のスギちゃんに扮した「ワイルド アキちゃん」で登場し、お祭りモードに変換。
 杉浦に「負けた方がスギちゃん返上」と勝手に要求するなどして笑いを誘う中、金丸はシリアスに徹し、杉浦にフライングボディーアタックや急所蹴り、垂直落下式ブレーンバスターなどを炸裂。どん欲に勝利を狙うも、杉浦のフランケンシュタイナーに3カウントを献上した。
 今後はジムのインストラクターに転向するという引退説を否定し、「今までとスタンスは変わらない」と、フリーとして活動を続けていくことを強調した。

田上社長「来年は新しいノアにする」

森嶋は「残った志のあるみんなでノアを盛り上げていく」と決意 【田栗かおる】

 看板選手であった小橋建太の引退表明、主力5選手の退団など、波乱の1年を締めくくった田上明社長は「来年はいろいろチャレンジして、新しいノアにしたい」とリング上から決意表明。
 GHCヘビー級王者の森嶋猛は「残った志のあるみんなでノアを盛り上げていく」と、チャンピオンとして団体を引っ張っていくと訴えた。
 一方、来年1.27大阪で森嶋のベルトに挑戦するKENTAは、抽選でマイバッハ谷口とのNMC同門対決を引き当てたファンの強運に「それだけすごいあんた達がついていれば、オレたち来年もやっていける。また来年、少しでも良い状況に、良い光が見えるように、オレ自身、精一杯やっていきたい」と、まずはべルトを獲って、ノアを変えていくと語った。

■プロレスリング・ノア「NOAHful Gift in Differ 2012 vol.2」
12月24日(月・祝)東京・ディファ有明

<第7試合>
○森嶋 猛
(8分16秒 バックドロップ→片エビ固め)
●梶原 慧

<第6試合 タッグマッチ>
○杉浦 貴、丸藤正道
(15分46秒 フランケンシュタイナー→エビ固め)
齋藤彰俊、●金丸義信

<第5試合 6人タッグマッチ>
○KENTA、モハメド ヨネ、小川良成
(21分28秒 go2sleep→エビ固め)
宮原健斗、マイバッハ谷口、●小峠篤司

<第4試合<
○中嶋勝彦
(9分45秒 ムーンサルトアタックを丸め込んで→エビ固め)
●リッキー・マルビン

<第3試合>
○潮崎 豪
(11分44秒 豪腕ラリアット→体固め)
●石森太二

<第2試合>
●平柳玄藩
(9分12秒 タイガードライバー→エビ固め)
○鈴木鼓太郎

<第1試合>
○Mr. クリスマス(秋山 準)
(7分22秒 腕ひしぎ逆十字固めを丸め込んで→エビ固め)
●青木篤志
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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