谷繁元信が気に掛ける捕手の逸材、DeNA・高城俊人
谷繁「昔の自分を見るよう」
高城は今秋、打撃改良に取り組み、フェニックスリーグではチームトップの打率を残した 【(C)YDB】
「交流のあるスコアラーの方から『シゲ(谷繁)は高城のことを昔の自分を見るように思っているらしい。お前のプレーをすごく楽しそうに見ているぞ』って言われて。めちゃくちゃ嬉しかったですよ。はじめて直接アドバイスを聞きに行かせてもらったのは、10月の中日2連戦(9月30日、10月1日)の時ですね。キャッチングの技術的な話ですけど、すごく親切に教えてくれて、最後にこう言ってくれました。『今のお前は自分の実力で“試合に出ている”んじゃない。最下位というチーム状況の中で、“試合に出させてもらっている”んだ。そのことを忘れずに頑張れよ。俺もそうだったから』って。もう嬉しくて嬉しくって、その後、記者の人たちに何を話していたのか聞かれたんですけど、詳しくは話しませんでした。谷繁さんと僕だけの秘密にしたかったんで(笑)」
「来年の高城を一番楽しみにしているのは誰よりも僕自身」
「シーズン中、ロッカーで(森本)稀哲さんがほかの選手に話していた言葉が聞こえてしまったことがあったんです。『この世界はセンスや技術じゃなくて、最終的には死にもの狂いで練習して来たヤツが上がってくるんだ』って。もう、ハッとなってその場ですぐにメモを取りましたよ。こう言うと生意気に聞こえるかもしれませんけど、今まで一生懸命練習はしていても、死ぬ気で野球に打ち込んだことはないんです。だから、今年の秋のキャンプ、そしてオフが楽しみでしょうがない。これまで自分が経験したことのない、死にもの狂いで練習に打ち込むってことを経験したら、来シーズンどんな自分になっているのか……。そりゃキツイと思いますよ。でも、その先の自分のことを考えると練習したくてウズウズするんです。来年の高城を一番楽しみにしているのは誰よりも僕自身だと思います」
シーズン終了後から練習に没頭している高城だが、その初めの実戦となるフェニックスリーグではチームトップの打率を残し、コンパクトに改良したスローイングも良い感じにはまるなど圧倒的な存在感を見せつけた。中畑監督が言うように、ベイスターズが優勝できるチームに生まれ変われるかどうかは、この先5年間の高城の成長いかんに懸っていると言っていい。明日のベイスターズのために、この秋、地獄の奄美で見事に死んでくれ。そして、生まれ変わってこい!
<了>
高城俊人プロフィール
九州国際大付属高出身
【2012成績】
1軍:45試合、打率1割6分9厘
ファーム:64試合、打率2割6分2厘、打点16、出塁率3割2分7厘