村井慎二「大分が勝って喜ばなければいけない」=悲願のJ1昇格へ、古巣・千葉戦に挑む

柚野真也

J1昇格プレーオフの決勝戦を前にチーム状態や意気込みを語った村井 【柚野真也】

 日本一残酷な、歓喜の一戦……。

 今季から導入されたJ1昇格プレーオフの最終決戦が、国立競技場で開催される。一発勝負のトーナメントを勝ち上がったのは、リーグ5位のジェフユナイテッド千葉と同6位の大分トリニータ。互いに2009年にJ2への降格が決まった同期が、昇格への残りひとつの枠を懸けて戦う。

 くしくもこの両チームに所属した経験のある村井慎二が、複雑な胸中を明かしながら、現在のチーム状況とJ1昇格への想いを語った。

京都戦の勝因は若手の成長と勢い

――プレーオフ決勝に進出した今の率直な感想は

 本当にくるところまできたんだなと思っています。プレーオフに入ってから、まずは京都サンガF.C.に勝つことだけに集中していたので、そこに勝って、まずは一段階進んだなという気持ちです。

――京都戦は4−0の大勝でした、どういうところに差があったのか

 接戦になると思っていたし、むしろウチの方が防戦一方になると思っていたので、あんなにスコア差がつくとは思ってもいなかったです。ウチは若い選手が多いですが、試合中に選手がグングン成長しているなと感じました。

――序盤はその若さが出て動きが硬かったが、ベンチからどのように見ていましたか

 ボールが足についていないのと、ボールを受けるのも苦労しているなと感じました。ただ、先制して落ち着きを取り戻しました。カウンターでファウルをもらって、FKで決める理想的な形。しかも最初のシュートで決まった。ものすごく大きな1点だったと思います。今季京都と対戦した2試合は、守って守ってカウンターで点を取りましたが、あそこまではまるとは思っていなかったです。

――勝因はモチベーションや勢いの差なのか、シーズン連勝した相性なのか

 勢いかな。モリシ(森島康仁)にリーグ戦終盤から落ち着きが出てきたし、プレーに余裕が出た。ポストプレー、シュートに入る形がよくなり、実際に点も取っている。1人の選手の調子が良くなって、それに周りがついていっている状況がものすごくいいと思います。

――京都相手にどういう対策を練っていたのですか

 やっていることはリーグ戦で対戦した2試合と変らなかったですね。2勝しているし、変える必要もないので、同じことをやろうということでした。ウチの特徴は粘り強いディフェンスだと思うので、まずはそこで戦うことを考えていました。ボールを奪えば、相手のディフェンスがあまり強くないので、カウンターで崩せるというイメージはみんな持っていました。そこで効率よく点がとれたのは大きかったですね。

――京都戦は途中出場でしたが、どのような気持ちでピッチに入りましたか

 3−0の状況で1人退場してからの交代でしたが、全く安心できなかったです。相手は攻撃力があるし、失点すれば勢いがつくだろうし、余裕なんてなかったです。実際に京都には10人でもうまくボールを回されたし、狭いエリアでのパス回しがうまかった。何回も危ない場面を作られたわけだし、あらためて強いチームだと思いました。

――勝てると確信したのはどの時間帯からですか

 4点目が入ったときですかね。3点は怖いなと思っていましたが、4点目はさすがに大丈夫かなと。それだけ京都は強いチームということですよね。

プレーオフ制度に助けられた

――大分は6位で昨年だったら昇格できない順位です。今回はプレーオフ制度ができたことでチャンスがあることをどう思いますか

 非常に助けられたと思います。京都は例年なら昇格していたわけですから。千葉もそうなのかな、下位チームは吹っ切れている部分はあると思うし、思い切ってやろうとみんな思っていたはずです。

――プレーオフを戦う選手の心理は

 勝たないと次に進めないプレッシャーはありましたが、「駆け引きなんてない、勝つしかない」と監督が常々言っていたので、気持ちが前向きになりました。次の相手も強敵だし、格上なので、いい意味で吹っ切った戦いをしたいです。

――リーグ戦終了後の練習や、試合前のチームの雰囲気はどうでした?

 松本山雅FC戦を終えてプレーオフで戦うのは分かっていたので、準備はできていました。リーグ戦が終わって、「プレーオフは別の大会だから」と監督がうまく選手の気持ちをコントロールしてくれたと思います。チャレンジャーとして戦おうという気持ちに全員がなったと思います。

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著者プロフィール

1974年生まれ。大分市出身のスポーツライターで、プロ、アマ問わず、あらゆるスポーツを幅広く取材する。現在は『オーエス大分スポーツ(https://os-oita.com)』で編集長を務める傍ら、新聞や雑誌、ウェブなど各媒体で執筆する。一般社団法人日本スポーツプレス所属。

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