マイケル・チャン――人々の記憶に残るひたむきなプレー=杉山愛コラム「愛’s EYE」

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低身長ながらも、世界で活躍したテニスプレーヤー

ひたむきで全力プレーが信条のマイケル・チャン。1989年には全仏オープンを制した(写真はその当時のもの) 【写真:AP/アフロ】

 マイケル・チャンは私の憧れの選手でした。ツアーに入りたてのころから、すごく目をかけてもらい、本当に妹のようにかわいがってくれました。同じプリンスの契約選手でしたから、「これを使ってみなよ」と彼のラケットをもらい、試させてもらったこともあります。エキシビションマッチで、マイケルとクルム伊達公子さん、松岡修造さんという豪華なメンバーの中に入れていただき、ミックスダブルスをしたことも。マイケルとお兄さんのカールは「いつでもこっちに練習しにおいで」と声をかけてくれました。

 彼のひたむきなプレーと、絶対にあきらめない強い気持ち、どんなボールでも追いかけるプレースタイルは私も大好きでした。

 身長の高くない選手が世界で戦うときに持っていなくてはならないもの。脚力であったり、強い気持ち、ひたむきなプレー、スマートさ(賢さ)というものを全部兼ね備えていて、常にフル活用していました。

 私も、身長が高くない分、元気がなかったら絶対に戦えないと思っていました。身長の低い選手、そんなにパワーがあるわけではない選手は、パワープレーヤーを上回る何かを見つけなくてはいけない。そこでマイケルは、強い気持ちと頭脳プレー、相手をよく研究することで活路を見出したのだと思います。

 1本たりともあきらめたり、気を抜いて「ふーっ」となっているところを思い出せないし、想像もできないくらいです。常に前向きに戦う姿勢は、いつまでも人の記憶に残るものでした。

ユーモアがあり、愛妻家でもあるマイケル

 昨年のチャリティイベント、ドリームテニスARIAKE(東京)では、言葉だけでなく、ジェスチャーだったり体で表現するマイケルのユーモアが皆さんに十分伝わったと思います。とにかく人を楽しませる術を知っている人ですね。選手のころはひたむきなプレーで感動させ、あのような場所ではショーマンシップを発揮する。自分が何をやらなくてはいけないかというのがよく分かっているのです。すごくサービス精神旺盛で、プロフェッショナルだなと感じました。

 イベントが終わってからマイケルや修造さんらと、みんなでご飯を食べにいったのですが、そこでは、選手のときには見られなかったお茶目さと、すごくリラックスしたジェントルマンの一面を見ることができました。

 奥さんとのなれそめの話も聞けました。マイケルの一目惚れだったそうです。マイケルは「こんなに、この人のろけるのか」っていうくらいの愛妻家です。私も結構のろける方なのですが、その比ではなくて、びっくりしました。子どもさんにも深い愛情を注いでいるようですね。

<了>
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