bjリーグ開幕! 群馬、東京が参入、台風の目は岩手=バスケット

柴田愛子

未だベールに包まれている横浜

国内でのプレシーズンマッチを行わずに未だベールに包まれたままの横浜ビー・コルセアーズ 【写真は共同】

 関東勢、いやリーグでもっともベールに包まれているチームといえば横浜ビー・コルセアーズだ。開幕前のプレシーズンゲームを国内では一切行わず、台湾の国際大会へ出場したのみ。公開練習も行わず、チーム状況がなかなか見えてこない。昨季は、リーグ最少失点を記録した強固なディフェンスと、ジャスティン・バーレルを核にした堅実なオフェンスで、シーズン終盤は怒涛(どとう)の9連勝をあげ、一気にイースタン2位へと上り詰めた。そして新規参入ながらファイナルズへ出場し、浜松をあと一歩と追いつめたが、決勝へと進むことはなかった。

 今季はチームの柱だったバーレルが抜けたものの、主要メンバーの大きな入れ替わりはなく、チームの結束も強い。レジー・ゲーリーHCは今季のスタイルを「もう少し速いテンポでのバスケットボールを目指す」と語っており、昨季は高さを生かしたインサイドを武器に、ハーフコートオフェンスを得意としていたが、今季はサイズが小さいこともあり早い展開に持ち込んで、積極的にしかけていくという。ディフェンス力では定評のある横浜だけに、アグレッシブなオフェンスが加われば、さらに脅威となりそうだ。

チーム力を向上し、プレーオフの地の有明を狙う富山と長野

 プレシーズンゲームでは順調な仕上がりを見せた富山グラウジーズ。新たに指揮をとるボブ・ナッシュHCは「今年のチームはリーグでも有数のチームになる可能性を秘めている。ベテランの日本人ガード2人、ベテランのスモールフォワード、そして運動能力が高く、技術の高い外国籍の選手たちが集まっている」と自信をのぞかせる。昨季はスターティング5に大きく出場時間が偏っており、選手層の薄さがウィークポイントだった。特に城宝匡史、水戸健史は毎試合ほぼフルタイムで戦っていたこともあり、彼らにかかる負担は相当なものだっただろう。

 今季は堀川竜一を残し、山城拓馬、加藤真、高野慶治のベンチメンバーがごっそりと移籍し、再び一からチームの底上げに取り組まなくてはならない。新たに加わった亀崎光博、藤江建典のベンチメンバーの台頭が、チームのカギを握っている。昨季は初の自力プレーオフ出場を決めたが、ファーストラウンドで敗退。後半勢いが出てきただけに、悔いを残したシーズンだった。その悔しさを今季は有明へとつなげることができるか、富山の躍進に期待したい。

 参入2シーズン目に挑む信州ブレイブウォリアーズ。昨季アシスタントコーチを務めた石橋貴俊氏がHCに昇格し、「チームとして戦う」をテーマに更なる高みを目指す。昨季の課題を「チーム力に波があった」と語る石橋HC。前半勢いがあっても、後半になると失速し、1試合を通して勝利への執念が足りなかったと振り返る。また、「今季はシーズンを通じて昨年以上の強い心でプレーし続けられるかが重要だ」と石橋HCが話すように昨季以上に泥臭いプレーで勝利を手繰り寄せる。

 今季の長野はチームの連携を重視。「オフェンスでは各プレーにオプションを増やして、相手に的を絞らせないようなシステムに取り組んでいる。ディフェンスでは昨年度よりローテーションに重きを置いて練習している」と石橋HC。プレシーズンゲームではイージーなミスから一気に崩れることも多かったため、さらに修正が必要とのこと。昨季はアシスタントHCとしてチームを支えていた石橋HCだけに、チームのストロングポイントもウィークポイントも熟知している。下位脱却、そしてプレーオフの地の有明に向けて新生長野の戦いが始まる。

首位争いを虎視眈々と狙う新潟

 ここ数年遠ざかっているファイナルへ向けて、チーム力強化と選手層の厚みがました新潟アルビレックスBB。2季目を迎えるマット・ギャリソンHCは「昨シーズンのチームから多くの核になる選手たちと再契約することができた。彼らはお互いの特徴を理解しあっている。我々のベンチの層は厚いですし、様々なスターティングラインナップを組むことができる」と自信をのぞかせる。

 昨季チームを支えたクリス・ホルム、ナイル・マーリーは残留。4季ぶりに戻ってきたロドニー・ウェブが加わり、よりアグレッシブなオフェンスが期待される。流れを止めないモーションオフェンスに取り組んでおり、インサイド・アウトのパッシングゲームとガード陣のドリブルアタックを融合させていくという。得意のオフェンスにつなげるためにも、チームディフェンスおよび個人のディフェンス力の向上がカギとなる。「優勝は最大の目標だが、まずはイースタンで1位をとってプレーオフへの主導権を得たい」と池田雄一。安定したチーム力で今季は頂点を取りに行く。

 浜松がウェスタン・カンファレンスに移動したことで、イースタン・カンファレンスの首位争いに新たなチームの台頭が見られそうだ。果たしてどのチームがイーストをけん引するのか!? いよいよ2012−2013シーズンが開幕する。

<了>

取材・文/柴田愛子

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