bjリーグ開幕! 群馬、東京が参入、台風の目は岩手=バスケット

柴田愛子

イースタンは新チーム作りに手ごたえを覚える東北勢を筆頭に、プレーオフの出場権争いは激しくなりそうだ 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

 いよいよbjリーグ2012−2013シーズンが開幕する。今季は群馬クレインサンダーズ、東京サンレーヴスを加えた21チームが東西のカンファレンスに分かれ、各地で熱戦を繰り広げる。昨季は84万4000人と史上最多の観客動員を達成したbjリーグ。8シーズン目となる今季は100万人の動員を目指す。

 昨季惜しくも3連覇を逃した浜松・東三河フェニックスが、今季はウエスタン・カンファレンスに移動したことで、早々に昨季ファイナルで戦った琉球ゴールデンキングスとの再戦が見ることができるのも、みどころの一つ。また、新規参入時に最下位だった琉球ゴールデンキングスをチャンピオンチームへと育て上げた桶谷ヘッドコーチ(以下HC)が、新天地の岩手ビッグブルズでどんな戦いを見せてくれるのかも見逃せない。

今季は東北エリアが熱い!新生岩手の実力は?

 イースタンの注目は桶谷大HC率いる岩手ビッグブルズだろう。昨シーズン新規参入した岩手は、ギリシャ出身のブラシオスHCのもと、bjリーグ未経験の若手中心でファーストシーズンに臨んだ。しかし勝利から遠ざかる苦しい戦いが続き、ブライキディス・ブラシオスHCは退任。途中変わった冨山晋司HC代行によって、後半徐々に勝率を上げ、最終的にイースタン・カンファレンス10チーム中7位と最下位は免れたものの、課題の残るファーストシーズンとなった。

 そんな岩手を再生すべくやってきたのが、最下位だった沖縄をチャンピオンチームへと育て上げた桶谷HCだ。「まさか岩手に来てくれるとは思わなかった」とブースター(編注:チームを盛り上げる観客)は驚きとともに、大きな期待を寄せる。桶谷氏が沖縄のHCに就任したのも、沖縄がリーグ参入2年目の年。同じような状況からのスタートに「とにかく1年目でしっかりとチームを作っていきたい」と新たな挑戦に意欲を燃やす。

チーム作りで重視したのは経験

 まず桶谷HCが重視したのは経験。今季は日本人・外国籍選手ともにリーグ経験者を集め、メンバーは大きく変わった。特に外国籍選手は桶谷HCのもとでプレー経験のある選手が多く、システムも熟知している。「外国籍選手の方が、日本人よりもすんなり取り組めている部分はある」と山本吉昭が言うように、チームの滑り出しは順調なようだ。

 また、既存の若手と新たに加わったベテランをつなぐ存在として、仙台89ERSから高橋憲一を獲得。「高橋はオフェンス・ディフェンスともにチームのキーマンとなるだろう」と桶谷HCは期待をかけるとともに、高橋、山本を軸に、外国籍選手をからめたチーム作りを進めている。

 9月に行われたプレシーズンゲーム「東北カップ」では、秋田ノーザンハピネッツに一歩及ばなかったものの、激しいプレッシャーディフェンスからのファーストブレーク(速攻)など、アグレッシブなバスケットを披露。試合後の会見で桶谷HCは「手ごたえはあったが、もう少し手数を増やさないと勝てないと痛感した」と語った。結果として一定の成果はあったものの、攻守のバリエーションの少なさに課題を残した。

「まだまだ山本だったり、澤口誠だったり、彼らの良さを引き出してあげないといけないと思っているし、仲村(直人)や月野(雅人)を絡めながら、その時々に状態のいい選手を使っていこうと思っている。いい選手が多くて、どう使っていこうか考えているところ」と桶谷HCは嬉しい悩みを口にする。今季は、全く違ったチームへと生まれ変わった新生岩手が、イースタンの台風の目となるだろう。

昨季同様、東北勢をけん引するのは秋田

 そして今季も東北勢をけん引するのは中村和雄HC率いる秋田ノーザンハピネッツ。9月に入ってから韓国KBLの原州東部プロミとの練習試合や、沖縄遠征、そして東北カップなど、多くの実戦経験を積んできた秋田。東北カップでは優勝を手にしたが。韓国戦および沖縄遠征では連敗が続き、結果はついてこなかった。しかし、「スケジュール的に厳しかったけれど、実戦を通してディフェンスが整理できたことが大きな収穫。チームは着実に良くなってきている」と手ごたえを口にした中村HC。

 というのも、ディフェンスの形が見えてきたことが、選手はもちろん中村HCにとっても大きな自信に繋がったという。「マンツーはだめで、2−3とか3−2とかいろいろ試したがだめだった。沖縄戦で1−3−1をやってみたら、(今までと)変わった。形が一つできてこれでいけるかな……と少しホッとした」と胸の内を明かす。

 今季は浜松から山口祐希、富山グラウジーズから加藤真を獲得し、チームに厚みがました秋田。中村HCも「いい刺激になってくれれば」と選手間の競争がチームの底上げにつながることを期待している。チームのキーマンとなるのは、新加入のポイントガード、ディオン・ハリス。冷静なゲームメークに加え、得点能力も高いことから、中村HCは1番だけでなく2番での起用も視野に入れている。「水町(亮介)、山口がつないでくれれば」と中村HCがいうように、日本人選手のサポートがハリス選手を生かす上でも重要になってくる。

 昨季は外国籍選手の入れ替えが激しく、なかなかチームが落ち着かなかった秋田だが、「今年はみんなでチームプレーができる感じはする」と中村HC。プレシーズンゲームで見せた日本人と外国籍選手の連携に、今までにない感触があったという。そういった意味でも、今季の秋田は一味違うようだ。やはり今季のイースタンをけん引するチームの一つに秋田が入ってくることは間違いない。

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