五輪2大会連続出場の朝日が引退 「最後の1点が終わった時が自分の最後」=ビーチバレー

引退会見に臨む朝日。五輪には北京、ロンドンと2大会連続での出場を果たした 【写真/ビーチバレースタイル】

 男子ビーチバレーで北京五輪、ロンドン五輪と2大会連続出場を果たした朝日健太郎(フォーバル)が24日、都内にて会見を行い、今シーズン限りでの引退を発表した。
 バレーボール時代から数えて25年。27日から東京・お台場で開催される「JBVツアー第6戦ペボニアカップ」が、現役最後の戦いの舞台となる。

 朝日は「人前に出るのは好きな方だが、今日は人生の中でも一番苦手な日だと思う。それでも、たくさんの方々とバレーボールを通じてつながってきたので、しっかり自分の言葉で感謝の言葉と、今後の人生への決意をお伝えしたかった」とあいさつを述べ、引退会見が行われた。

 以下、会見での朝日の一問一答。

「次の人生へステップするにはこのタイミング」

──引退を決めた今の気持ちをお聞かせください

 引退という言葉はここ数年、頭の中におぼろげにありましたが、本格的に競技から一線を退こうと気持ちが変わっていたのはロンドン五輪の後です。まだ決意して1カ月ちょっとなので、気持ちの切り替えは済んでいません。最後のお台場の試合で全力を尽くして、その姿を皆さんに見てもらう。最後の1点が終わった時が自分の最後だと思います。

──引退を決意するにあたり、具体的なきっかけとなったものは?

 ロンドン五輪で予選敗退した後、数日間は家族と一緒に過ごすことができて観光していたのですが、嫁さんに「どこか上の空だね」と指摘されました。本来、試合が終わったら次へ気持ちが向かうのが私の性分なのですが、その時は「どうしようかな」と新しい目標が見つからなかった。次の人生へステップするにはこのタイミングだという思いが膨らんできました。

──ここ数年は、厳しい戦いを強いられましたね

 北京五輪の直後は、「もう一回やりたい」と思ったんですけど、今回ロンドンの戦いが終わった後は「もう、いいかな」という思いが先にきた。自分の中でまた世界と戦うという気持ちを持てなかった。万全な状態で砂のコートに立つ自信が沸いてこなかったし、そこが北京の時と違いましたね。

──パートナーの白鳥勝浩(湘南ベルマーレ)選手にはいつ伝えましたか?

 ロンドン五輪の予選が終わって数日後、選手村の部屋で伝えました。これまで白鳥とは、絶対勝たないといけないという責任を持って戦ってきましたけれど、今はモチベーションが違いますね。白鳥も「最後まで一緒に戦いたい」と言ってくれましたし、それから歯車がかみ合って結成当初のように今は明るくプレーできています。

──朝日選手にとって、バレーボール人生とは?

 正直、今は自分の競技人生を頭の中で手繰り寄せている状態ですが、振り返ってみると、自分のバレー人生にはまだ余力はある。やり尽くしたという思いはありません。中学、高校、大学、実業団、インドアの全日本を経験して、10年前に訳が分からないままビーチバレーの世界に飛び込んだ。

 最初の数年は草大会で一般の選手にも負けたこともありましたけれど、それでも自分が空っぽになることはありませんでした。常に余力を感じながら、次のことを考えながら競技を続けてきていたと思います。手前みそですけど、先週もふくいカップ(9月15日〜17日開催)で優勝して、「まだやれる」という気持ちもある中で、その一方で元気なうちに次の人生に飛び出していきたいと思う自分がいます。そういう意味では、インドアからビーチに飛び出した時と状況がかぶっていると思います。

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著者プロフィール

ビーチバレースタイル/2009年4月創刊。国内トップ選手の情報、大会レポート、技術指導、トレーニング論など、ビーチバレーを「見る」「やる」両方の視点から、役立つ情報が満載。雑誌のほかに、ビーチバレースタイルオンラインとして、WEBサイトでも大会速報、大会レポートなど、ビーチバレーに関する報道を行っている。

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