「フェアリー」返上! 修羅場をくぐり抜けた新体操団体チームに期待

椎名桂子

ロシアでの2年半にわたる長期合宿を経て、五輪へ!

北京五輪を経験している田中がキャプテンを務める 【スポーツナビ】

 現在の新体操日本代表団体チームの愛称は「フェアリージャパンPOLA」だ。

 美を競う新体操という競技。その中でも、容姿も含めた素材の良さで選抜された現在のメンバーには、たしかに「フェアリー」という美しい愛称が似合っている。
 しかし、新体操は王者・ロシアを中心にヨーロッパ勢の壁が厚く、日本が上位に割って入ることは相当厳しい状況にある。その苦境を切り開いていく強さは、「フェアリー」という愛称からは感じられない。

 2009年12月にチームが発足して以来、2年半の大半を彼女たちはロシアで過ごした。ロシアのナショナルチームと同じ練習場所で、ロシア人コーチに師事してきたのだ。まだ高校生だった彼女たちにとって、親元を離れてロシアで新体操漬けの生活を送ることは、つらかっただろうとは思うが、歴代の代表チームを見ても、ここまで恵まれた環境で強化された例はない。
 ロシアという新体操強国を後ろ盾につけて国際大会に出場し、かつては大きな目標だった「入賞」には確実に手が届くチームに成長してきた。ロンドン五輪の出場権がかかった11年の世界選手権でも5位入賞を果たし、切符を手にした。もちろん、それは選手をはじめ関係者の努力のたまものだ。しかし、彼女たちの演技には、見るたびにロシア仕込みの華やかさは増していたものの、なかなか「強さ」は見えてこなかった。まさに「フェアリー」。なんだか夢物語のような、そんなはかさや危うさがいつもどこかにあった。

「遠藤由華、チーム離脱」の衝撃

 おそらくそれはメンバーのキャリアによるものもある。北京五輪を経験している田中琴乃、遠藤由華(ともに日女体大)はジュニア時代もトップ選手だった。しかし、サイード横田仁奈、松原梨恵(ともに国士舘大)、深瀬菜月(光明学園相模原高)、三浦莉奈(藤村女子高)、畠山愛理(大原学園高)は、ジュニアでそこまで突出した選手ではなかったのだ。オーディションによって選ばれた彼女たちが、すばらしいプロポーションや身体能力を持っていることは間違いないが、「自らの力で他人を蹴落としてでも勝ち抜いた」経験は不足していたのではないかと思う。

 国際大会で結果を出し、評価は高まってきているといっても、どこか「物足りない演技」。国内のエキシビションでしか生では見る機会のない「フェアリージャパンPOLA」の演技には、正直、そんな印象があった。

 ところが、思いがけないアクシデントが彼女たちを激変させた。今年の5月、ブルガリアでの国際大会の演技中に、チームの中心選手であった遠藤が、大腿(だいたい)骨骨折という大けがを負った。立ち上がれるようになるまでに3カ月はかかるという重症で、ロンドン五輪出場は絶望。五輪3カ月前になって、最大のピンチに陥ってしまったのだ。

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著者プロフィール

1961年、熊本県生まれ。駒澤大学文学部卒業。出産後、主に育児雑誌・女性誌を中心にフリーライターとして活動。1998年より新体操の魅力に引き込まれ、日本のチャイルドからトップまでを見つめ続ける。2002年には新体操応援サイトを開設、2007年には100万アクセスを記録。2004年よりスポーツナビで新体操関係のニュース、コラムを執筆。 新体操の魅力を伝えるチャンスを常に求め続けている。

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