- 吉田亜衣/ビーチバレースタイル
- 2012年6月18日(月) 11:48

ビーチバレーのロンドン五輪予選を兼ねる「FIVBコンチネンタルカップ・五輪アジア大陸予選ファイナル2012」が20日、中国の福州で開幕する。
女子は、浦田聖子(千の花)・西堀健実(丸善食品工業)組、田中姿子(フリー)・溝江明香(産業能率大)組、男子は、白鳥勝浩(湘南ベルマーレ)・朝日健太郎(フォーバル)組、青木晋平・日高裕次郎(ともにフリー)組が、日本代表チームとして出場。この大会で優勝したチームが、ロンドン五輪の出場権を獲得できる。
新しくなった予選方式
ロンドン五輪からビーチバレーの予選方式は、大きく様変わりした。
それまでは、ワールドツアーの成績による世界ランキングによって決められてきたが、国際バレーボール連盟(FIVB)による「ワールドツアーに転戦することができない国々にも出場チャンスを得られるように」という狙いにより、ロンドン五輪から「大陸予選」「世界最終予選」による方式に変更された。
新しくなった五輪出場枠の内訳は、ワールドツアーランキング上位16チーム、各大陸予選で優勝した5チーム、世界最終予選の上位2チーム、地元国から1チームの計24チーム。
また、大陸予選、世界最終予選においては、「国対抗戦」が導入された。監督一人と2チームによる構成で、各国2チームがたすき掛けで試合を行い3勝した国が勝利。2勝2敗と並んだ場合は、「ゴールデンセット」と言われる15点1セットマッチを行い、奪取した国がその試合の勝者となる。
五輪予選の新方式は、1チームだけが強くても勝ち上がっていくのは困難で、国全体のレベルを試されるシステムへと生まれ変わったと言える。
日本は男女ともに、2010年のアジア大陸予選第1フェーズ、11年の第2フェーズを難なく突破し、今回のファイナルへの進出を決めた。ファイナルは強豪の中国、オセアニア諸国を含めた男女16チームが出場し、一発勝負のシングルトーナメントで争われる。
まさに4年間の集大成、総力結集の時。と言うべきところだが、今大会を目前にしてこれまで女子チームを率いてきた渡辺聡監督が一身上の都合により辞任、急きょ日本バレーボール協会・ビーチバレー強化シニア担当の川合庶氏が総監督としてチームを指揮することになった。
男子は白鳥・朝日組と、昨年初の代表入りを果たした今井啓介(フリー)・青木組を予定していたが、今井がひざの故障により復帰の見込みが立たないため、大会直前に欠場が決定。今井の抜けた穴を埋めるべく、青木のパートナーには日高がエントリーされた。そんな日本チームの状況を踏まえて、今大会の展望に触れていきたい。
アジアの勢力図
日本は、これまでのアジア競技大会では、1998年バンコク大会で女子が銀メダルと銅メダル、02年釜山大会で男子が金メダルを獲得するなど、それまでアジアのビーチバレーをけん引し、メダル獲得は有力視されてきた。しかし、06年ドーハ大会以降、北京五輪開催に向け強化を図ってきた中国、ワールドツアーでも結果を残し始めたカザフスタンなど急速に力をつけ、日本の前に立ちはだかった。
さらに強豪のオーストラリアやニュージーランドなどのオセアニア勢が加わって開催された昨年末の「AVCアジアチャンピオンシップ」では、女子は浦田・西堀組が4位、田中・溝江組が9位、男子は北京五輪9位の白鳥・朝日組が5位と、メダル獲得に及ばなかった。
中国、オーストラリア、カザフスタンなど日本のライバルと言われる国々には、女子では身長180センチメートル級、男子では2メートル級の選手たちがゴロゴロいるのだ。ブロックは長いリーチでコースを限定され、「少しでもトスがネットの近くに上がったり、打ち損じがあれば、途端にブロックの餌食になる」と日本最高身長199センチの朝日は語る。
さらに着目すべき点は、大型選手たちの守備力だ。ブロッカ―、レシーバーとポジションは区別されているが、強豪国ほどブロッカーの守備範囲が広い。高いブロックをかわしたとしても、ボールが浮いてしまう中途半端なショットはブロッカーがすばやくボールに反応してレシーブし、そこから反撃を食らってしまう。そんな脅威の「高さ」を誇る強豪国に対抗するべく、日本は近年、試行錯誤を繰り返してきた。