35周年興行直前 天龍源一郎 独占インタビュー

天龍プロジェクト

プロレスデビュー35周年興行へ向け意気込みを語った“ミスタープロレス”天龍源一郎 【天龍プロジェクト実行委員会】

 大相撲前頭筆頭の肩書を引っ提げてジャイアント馬場率いる全日本プロレスに入団した天龍源一郎は1976年11月13日にテキサス州ヘレフォードにおけるテッド・デビアス戦でデビューしてから35周年を迎えた。そして、来たる11月10日には東京・後楽園ホールで『天龍源一郎プロレス35周年記念興行 Revolution〜WE ALL WANT TO CHANGE THE WORLD』が開催される。

 全日本からスタートしてSWS、WAR、全日本復帰、フリーとしてWJ、新日本、ノア、ドラゴンゲート、ハッスル……と、闘いと冒険を求め続け、還暦を迎えた昨年には天龍プロジェクト旗揚げした。人は彼を“ミスター・プロレス”と呼ぶが、本人は61歳になった今もなお、あらゆる世代の選手と同じ目線で勝負して第一線で踏ん張っている。
 今回の35周年記念興行についても「引退試合じゃないからね。あくまでも通過点だから……」と主張する天龍に、改めて今大会に賭ける気持ち、今大会の意義、そして今後のプロレス人生について聞いてみた――。

根っこにあるのは馬場・全日本

【t.SAKUMA】

――プロレス・デビュー35周年、改めておめでとうございます。振り返れば、14歳の時に好きで入った大相撲は13年弱でしたけど、これほど長くプロレスをやるとはご自身でも思っていなかったんじゃないですか?

天龍 全然、想像出来なかったですね。想像出来なかったけど、でも、途中からプロレスに対して漠然と挑戦……その挑戦が意欲的という言葉に変わったというのもありますよ。初めはうまくいかなくて「こんなはずじゃない! こんなはずじゃない!」ってもがきながら、その延長線がずっとつながって35年になったっていう感じですね。みんなから「もう35年ですね」って言われて……俺自身はこれからもずっとプロレスを続けていくわけだから「別に記念大会は必要ないよ!」って思っていたんだけど、やっぱり天龍プロジェクトの旗揚げ何戦目かでケガしたというのが大きかったね。そこでちょっと自分を振り返って見ようかなと思ったんだよね。

――今回のプロレス35周年記念興行のサブ・タイトルにRevolution、天龍革命がスタートした時のジャージに入れていた「WE ALL WANT TO CHANGE THE WORLD(俺たちは皆、世界を変えたいんだ)」のメッセージを使っているところに天龍さんの思い入れを感じます

天龍 そうだね、そうした言葉はギュッと凝縮された俺の人生観みたいなものだね。俺の性格がそういう言葉をピックアップさせたと思うんだよね。

――そして記念試合は天龍さんを含めて三冠ヘビー級王者が6人集まった三冠王者プレミアムマッチ(天龍&諏訪魔&鈴木みのるvs佐々木健介&小島聡&太陽ケア)ということで、やはり天龍さんの根っこにあるのは全日本プロレスなんだと感じました

天龍 やっぱり天龍源一郎は全日本プロレスからスタートしたわけだからね。一言で言えば、俺の帰巣本能ですよ。そこで今回出場してくれる5選手は各団体が気持ちよく貸し出してくれましたしね、ホントにうまく揃ったと思いますよ。それはこの社会に長くいたということかな(苦笑)。

――全日本では擦れ違いだった諏訪魔とは初めて同じリングに上がりますね

天龍 彼はプロレスラーに一番大事な向こう気の強さとか、体の大きさもあるし、常に何かを発信しているっていう。いいにつけ、悪いにつけ何かを発信しているっていうことがレスラーには大切なんだよね。その姿勢が見えることに興味を持っていますよ。それと最初にプロレスに入ってきた雰囲気がジャンボ鶴田に似ているというか。彼は大学でレスリングをやって、その後に普通の会社にいて転職っていう感じで全日本に来た印象があるからね。「全日本プロレスに就職します」ってミュンヘン・オリンピックのレスリング代表から入団した鶴田選手とダブる部分があるんだよね。俺の中では、俺が知ってる頃の鶴田選手に似通っている部分があるんですよ。だから、戦うよりもタッグを組んで横にいて、間近に見る方が彼のやりたいことがよく見えるかなっていう感じですね。

――そして歴代三冠王者の中でもアクが強い鈴木みのるをパートナーに選びましたね

天龍 彼もこの業界を一本独鈷(いっぽんどっこ)で一生懸命生き抜いているからね。そこに共鳴するものがありますよ。いざ試合になったらタッチしてくれるか心配だけど(苦笑)。新日本の選手に嫌がられながらも外敵と呼ばれて、あの強大な新日本の中で一緒に頑張って戦った仲でもあるわけだからね、俺たちは。実際にトリオになったらどんなチームになるのかは俺にも読めないけど、読めないから逆にいい方向にいけば莫大な力を発揮するだろうし、壊れるんだったら……いとも簡単に壊れるだろうね(苦笑)。

――予測不能のトリオですね(苦笑)。そして全員が三冠経験者だから相手チームも強力なわけで、まず佐々木健介……

天龍 彼はやっぱり戦ってみて面白いレスラーなんだよね、俺にとっちゃ。彼のプロレスに対する姿勢は貪欲だから、戦って面白い選手ですよ。

ここから自分がどう変わっていくか

【天龍プロジェクト実行委員会】

――先日のマスカラス来日40周年興行(10月7日、後楽園ホール)では天龍さんの双子の兄の大ハヤブサが健介と凄いチョップ合戦をやりましたね

天龍 兄貴は「健介のチョップで鳩胸がヒラメになった」って怒っていたよ(苦笑)。俺は兄貴の仇を取らなきゃいけないからね、真っ向から行きますよ。健介と真っ向からやり合うっていうのは、俺にとっちゃ、今の俺自身を測ることでもあるんですよ。

――新日本に再入団した小島聡は、天龍さんと同じ時期に全日本に所属していて、天龍さんの三冠に彼が挑戦したこともありましたね

天龍 彼はね、スタン・ハンセンからラリアットのコーチを受けていたからね、だったら「ハンセン直伝のラリアットを受けてやろうじゃないか!」ってやつですよ。俺のプライドのひとつとして「あのハンセンのラリアットにも潰れなかった俺が、ここで負けてなるか!」っていうのが未だにあるからね。だから小島聡のラリアットは名前だけなのか、名実ともにハンセンから伝授されたのかを俺の体で確かめてやろうと思ってますよ。

――そして最後のひとりは馬場さんの弟子で、現在の全日本の中でも“最後の王道継承者”と呼ばれる太陽ケア……

天龍 彼とは仙台でチャンピオン・カーニバルの優勝を争ったこと(01年4月11日=天龍が初優勝)を思い出しますよ。俺にとっては全日本プロレスの馬場さんの匂いがする選手だね。だからどうしても反対側のコーナーに立って戦いたいっていう。オーソドックスで、器用で、タイミングが良くて……馬場さんが一番好きなタイプの選手だからね。

――こうしてお聞きしてみると、凄いカードだと改めて思います

天龍 まあ、俺は普通通りサラッと一生懸命やりますよ。このメンバーを揃えられて満足感があるし、悔いもないし、だからこそ、この試合は自分のプロレス人生の通過点だと思ってるんだよね。ここから自分がどう変わっていくか楽しみでもあるしね。

――あくまでも通過点だと?

天龍 「こんなはずじゃない!」と思ってやってきたら35年が経って……今現在の俺も「こんなはずじゃない! いつかは元気な天龍源一郎を見せてやりたい」と思ってやってるわけだからね。だから感慨深いのは確かだけど、あくまでも通過点なんですよ。

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