35周年興行直前 天龍源一郎 独占インタビュー
天龍の歴史を感じさせるマッチメーク
天龍のレスラー生活35年間を象徴するカードが揃った 【天龍プロジェクト実行委員会】
天龍 俺と同じように2人ともプロレスに転向して、いろいろなギャップに悩みながら現在の地位を確立したんだろうから、それを発揮してほしいという気持ちがありますよね。これはドスンドスンという迫力あるプロレスを展開してくれることを期待してますよ。ヘビー級の迫力あるぶつかり合いは馬場さんの時代の全日本の特徴でもあったから、それもお客さんに感じてもらえればいいというマッチメークですよ。
――そしてコテコテの全日本の匂いがするのが第1試合ですね。百田光雄、グレート小鹿という昭和の匂いがあれば、その相手は泉田純至、菊地毅、志賀賢太郎の90年代全日本になりました
天龍 何かイメージ的には全日本のオープニングという感じになればいいと思ってますよ。全日本の第1試合と言えばみっちゃん(百田)だし、そこに俺の先輩でもあるグレート小鹿がいる。そして反対側には全日本、ノアで育った選手だから、全日本の大きな流れを表現出来るカードなんじゃないかと。ノアの仲田龍GMからも「協力させてもらいます」という話がありましたけど、ちょうど同じ日に試合が重なってしまって「またチャンスがあれば……」ということでね。でも、その気持ちは嬉しかったし、新日本も全日本も気持ちよく協力してくれましたし、ドラゴンゲートも試合を提供してくれますしね。
俺が「この選手を貸してほしい」って言った選手は各団体が気持ちよく出してくれましたよ。ただ、さっきも言ったように、俺の中では帰巣本能から生まれた大会だから“全日本プロレス色”を核にしたかったんですよ。メーンに三冠王者が揃うわけだから「あれもこれも」って入れるわけにいかなくなっちゃったんだよね。「何が見せたいんだよ、これ!?」っていうのは嫌だったんですよ、俺としてはね。大会の編成上、その7〜8割は“俺が知ってる頃の全日本”をテーマにしたかったんですよ。だから三冠王者が俺以外に5人も集まったっていうことで満足ですよ。それぞれ活躍している団体とか立場、人間関係が複雑な中でよく参加してくれたと思ってますよ。やっぱりね、馬場さんがいた頃の全日本プロレスへの帰巣……それが今まで35年やってきた俺のプロレス人生の句読点になると思っているんですよ。あれだけ好きだった相撲を辞めて26歳で全日本に入って、40歳になった1990年から流浪の旅をしてきたけど……この年齢になったら、やっぱり故郷って言うか、一番最初に入った全日本が懐かしく感じられるというのが嘘偽りのない正直な気持ちですよ。だから句読点として1回ここで振り返ってもいいかなと。それはやっぱり帰巣本能としか表現しようがないものかな…。
――確かに全体を見ると全日本というものを軸に大相撲、WARと天龍さんの歴史が感じられる構成になってますね。WARの匂いとしては、WARが業務提携していた女子プロのLLPWから神取忍が久々に出場して、WARが始めたミックスドマッチ(神取&ウルティモ・ドラゴンvs.井上京子&ザ・グレート・サスケ)が実現しますし
天龍 WAR得意のやつですよ。WAR時代にLLPWに協力してもらったのは……アメリカにいる時に男子と女子の区別なく試合が組まれるのを見ていたし、1枚のチケットでお客さんにいろいろなプロレスを提供したいというのがありましたからね。まあ、神取は俺との因縁があったから出場してくれることになったんだけど、そうしたことも思い出しながら楽しんでくれればいいと思いますよ。タッグで当たった時(95年12月8日=大田区体育館)は俺と浅井(ドラゴン)が組んで冬木、神取組と戦ったんだよね。
――あの時は神取の一本背負いが見事に天龍さんに決まりましたね。あとシングル(00年7月20日)では、天龍さんがグーパンチで神取の顔をボコボコに変形させてしまいました
天龍 いや、俺はそんなヒドイことしてないよ。あれは神取の化粧が取れちゃっただけだよ(苦笑)。……まあ、神取だけじゃなくて、井上京子も天龍プロジェクトに参戦してくれたし、浅井(ドラゴン)とサスケはWAR時代に一騎打ちをやっているし、いろいろな角度から楽しんでもらえればOKですよ。
――現在新日本プロレスで活躍している邪道&外道に注目しているんですが
天龍 彼らはWARの時に冬木軍として活躍して、俺が一番可愛がった付き人の冬木弘道のカラーがあるからね。彼らが出場してくれることによってファンの人たちがそこに冬木の存在も感じてくれたら、俺としたらこんなに嬉しいことはないよね。
1日1日を一生懸命に生き抜いていくしかない
還暦を過ぎた今も「まだ通過点」と革命は継続中 【t.SAKUMA】
天龍 これは前から言ってるようにね、1日1日を一生懸命に生き抜いていくしかないですよ。そういう生き方の結果が今回の35周年でもあるしね。レボリューションやっていた頃から俺は常にそうなんだけど先々のことを考えて「ああして、こうして……」っていうのは一切ないんだよね。「一生懸命やっていれば何かがある」という漠然としているかもしれないけど、そんな生き方ですよ。
――天龍さんは昔から「今日を一生懸命生きなければ明日は来ない」「こういう仕事をしていたら、いつアウトになるかわからないんだから、半年先のことは考えられない」と言ってましたよね
天龍 だから今日を一生懸命生きる俺を面白がって、ファンの人たちは興味を持ってくれているんだと思うしね。多分、俺の未来は……わからないですね。俺もわかんないよ、ホントに(苦笑)。かつてレボリューションのジャージに入れていた『LIVE FOR TODAY』って言う言葉が俺の生き方ですよ。
<聞き手=プロレスライター/小佐野景浩>
※インタビューは全対戦カード発表前に実施しています。
■『天龍源一郎プロレス35周年記念興行 Revolution 〜WE ALL WANT TO CHANGE THE WORLD〜』
11月10日(木)東京・後楽園ホール
<メーンイベント 三冠王者プレミアムマッチ 無制限1本勝負>
天龍源一郎(天龍プロジェクト)、鈴木みのる(パンクラスMISSION)、諏訪魔(全日本プロレス)
佐々木健介(健介オフィス)、小島 聡(新日本プロレス)、太陽ケア(全日本プロレス)
<セミファイナル 45分1本勝負>
嵐(フリー)
曙(フリー)
<第5試合 6人タッグマッチ 30分1本勝負>
ザ・グレート・カブキ、TAJIRI(SMASH)、THE KABUKI(天龍プロジェクト)
金村キンタロー(アパッチプロレス)、邪道(新日本プロレス)、外道(新日本プロレス)
<第4試合 タッグマッチ 30分1本勝負>
折原昌夫(メビウス)、土方隆司(フリー)
大谷晋二郎(ZERO1)、横山佳和(ZERO1)
<第3試合 ミックスドマッチ 30分1本勝負>
ウルティモ・ドラゴン(闘龍門MEXICO)、神取 忍(LLPW)
ザ・グレート・サスケ(みちのくプロレス)、井上京子(ワールド女子プロレス・ディアナ)
<第2試合 DRAGON GATE提供マッチ 30分1本勝負>
ドン・フジイ、新井健一郎
横須賀 享、K−ness.
<第1試合 6人タッグマッチ 30本1本勝負>
百田光雄(フリー)、グレート小鹿(大日本プロレス)、X
泉田 純(フリー)、菊地 毅(フリー)、志賀賢太郎(フリー)