ジーターの出現は「ベースボールの喜び」=史上28人目の3000本安打達成
全米から尊敬と好感を集めるまれな存在
本塁打を打ち生還後、ロドリゲス(手前)と抱き合い笑顔を見せるジーター 【Getty Images】
打順降格、あるいは遊撃手のレギュラーを成長株のエデュアルド・ヌネスに譲るべきという声が出て来るなど、37歳のベテラン・ショートにとって状況は決して優しくない。後半戦開始直後に再び不調に陥れば、魔法はすぐ解けて、再び限界説が話題になるのかもしれない。
だだ……それでも余りに見事だった3000本安打達成直後の今だけは、まずジーターのこれまでのキャリアに感謝し、祝福すべきなのだろう。
ジーターがメジャーデビューした翌年の1996年から、ヤンキースの新たな黄金期は始まった。以降の15年で14度もプレーオフに進出し、優勝リングも5つ獲得。その過程でジーターは多くの劇的なシーンを演出し、“希代のクラッチプレーヤー”の名声も勝ち得た。
同時に常に正しくプレーする姿勢で、多くの人々の尊敬も集めて来た。アンチファンも多いヤンキースの中でもジーターだけは、全米から好感を抱かれる極めてまれな存在であり続けて来たと言って良い。
時を越えて語り継がれる記憶と記録
マリアーノ・リベラのそんな言葉も胸に響く。ヤンキースにとってだけでなく、すべてのファンにとっておそらくそれは同じこと。デレク・ジーターの出現は、ベースボールにとっての喜びだった。
ときにスポーツは、最高の舞台と出来過ぎのエンディングをプレゼントしてくれることがある。そして2011年7月9日、ヤンキー・スタジアムで起こったことも間違いなくその中に含まれるのだろう。
この日のジーターの鮮やかな記憶と記録は語り継がれ、書き留められ、いつしか時を越えて行くに違いない。
<了>