佐藤嘉洋、90分独走インタビュー=クラウス戦勝利の翌日に聞いたK−1と格闘技界のこれから

t.SAKUMA

クラウス戦勝利の翌日、佐藤嘉洋に90分独占インタビュー。K−1を含めた格闘技界の現状など多岐にわたって話を聞いた 【t.SAKUMA】

 6月25日のK−1MAXにおいて、過去に2度の負けを喫していたアルバート・クラウスに対し、壮絶な殴り合いの末に3度目の正直で勝利をもぎとった佐藤嘉洋。判定が告げられると珍しく感情を爆発させた。
 そんな佐藤に大会翌日、スポーツナビが独占インタビュー。クラウス戦までの練習内容、主戦場とするK−1を含めた格闘技界の現状に対する想い、さらには格闘技メディアやプロレス界についてなど多岐にわたり、90分フルラウンドで話を聞いた。


(インタビュアー:撮影/t.SAKUMA)


――クラウス戦は素晴らしい試合でした。最後は激しい打ち合いでクラウスを完全にぐらつかせましたね。そして、判定を聞いたときは普段はあまり表に出さない感情を爆発させていました。

 クラウスにはこれまで2敗(06年9月、07年10月)している上に、今年は(アーメン)ペトロシアンと、(アンディ)サワーに2連敗していたので、今回のクラウス戦は物凄くリスクが高かったんですね。ここで負けたら選手としての価値がかなり落ちると思っていたので、首の皮一枚つながったのが嬉しかったですね。いつもは勝っても負けても表情に出さないようにしてるんですけど、今回は出ちゃいました。

プロデビューから10年以上経ってなお増やす練習量

最終ラウンド残り僅か、激しい打ち合いのなかクラウスをダウン寸前に追い込んだ佐藤 【t.SAKUMA】

――ぐらつかせたのは必殺技のパンチ“愛知拳”(“愛を知る県から〜”が常套句の佐藤の必殺技)でしたか?

 愛知拳は右ストレートなんですよ(笑)。

――最後にクラウスをぐらつかせたのは左でしたか。

 覚えてないんです。でも左だったようなので、愛知拳ではないですね。ブアカーオや魔裟斗さんを倒したのが愛知拳なんですよ(笑)。

――これまでクラウス戦では2連敗でしたが、今回の試合前は何か特別な練習をしましたか。

 走り込みを多くしましたね。ちょっと変えてみようって会長(小森次郎名古屋JKファクトリー会長)に言われて。今まで試合前にはウェートはやってたんですけど、それをバッサリやめて、練習の前に8km、後に7kmの走り込みをしていました。それがオーバーワークだったみたいで、途中で潰れちゃって1週間くらい練習できなかったんですが。

――走り込みの意図は?

 会長いわく、ウェートで疲れるより地力をつければキレが出るんじゃないかと。キレを出すならウェートをやった方がいいと思うので、科学的に考えたらちょっと違うのかなとも思ったけど(笑)、でも会長が言うならそうかと。

――結果的に試合ではどうでしたか。

 最近、試合のペース(間隔)が早いから普段から体が完全に出来上がっていて、試合前のピークの練習に入る時期と、試合直前の仕上がりが一緒ぐらいになっていますね。だからもう30歳だし、いろいろ考える時期なのかなと。昨日の試合で64戦やってるし、ただただ過酷な練習をこなすだけってのは考えていいのかなと。そこは会長としっかり相談しないといけないといけませんね。ただ、会長がやれって言えば今までの練習をします。

――すでに64戦ですが、ベテランの粋に達してもガムシャラに練習している感じですね。

 21歳の奴と全く変わらないか、それ以上に練習をやってますからね。17歳でデビューしてから、ずっと練習の量を上げてます。驚異的ですよね、これは(笑)。だから、今回が一番、練習が多かった。そんなんだから、今回、腎臓を壊して1週間動けんかったですね(苦笑)。

――15年以上のキャリアを持ちながら、いまだに練習量を増やしているというのは驚きですね。

 自分もですよ(笑)。もうこれ以上、(練習量が)上がることはないと思ってたんで。昨日の大会後、会長にちらっと『そろそろ量から質に変えるべきですかね?』って言ったら、『俺はそんなに量をやってるとは思わなんけどな』って(苦笑)。反論したらキレられると思って何も言わなかったですけど(笑)。あの練習を耐え続けてる自分は凄いと思いますよ。自分では全く練習を調整していないので。会長を信じて、その量をこなしてきていますね。

長期間にわたり信頼関係を積み上げてきた佐藤と小森会長(右) 【t.SAKUMA】

――そこまでの会長への信頼はどこからうまれたのですか?

 中学校2年生から世話になっていて、ジムの先輩である佐藤孝也さん(元全日本キックフェザー級王者・元NJKFライト級王者)とか、鈴木秀明さん(元全日本キックフェザー級王者・元NJKFフェザー級王者)が会長の指導力でのし上がっていったのを見ていていたので、この人を信じていけば結果が出せると最初から信頼はしています。僕にとっては親父みたいなものですね。会長は周りの人には優しいですけど、僕からしたら優しくもあるけど怖い人ですね。ウチのジムは、連絡なしに練習を休むことは絶対にダメなので、未だに風邪引いたりして練習を休む時は正座して電話しますからね。ビビりながら(苦笑)『この大事な時期に何してんだよ!』って言われて。いまだにですよ。徹底的に管理されてます。

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