代役出場でワリを食ってしまったストーリー=UFC LIVE「Kongo vs. Barry」リポート

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代役出場での参戦となったストーリー(左)だったが、最初に描いたプランは水の泡に。結果、ブレネマンに判定負けとなった 【Zuffa LLC via Getty Images】

 現地時間26日(日本時間27日)に米国ペンシルバニア州ピッツバーグのコンソルエナジー・アリーナで行われたUFC LIVE「Kongo vs Barry」。
 メーンに出場予定だったネート・マーコートの大会直前の欠場により、そのワリを最も食ったのはリック・ストーリーであることは間違いない。

ストーリーのプランはマーコート欠場で水泡化

 ストーリーは5月28日のUFC130で、ウェルター級トップコンテンダーのチアゴ・アウベスを破り一躍、ジョルジュ・サンピエール(GSP)が支配する同階級のタイトル戦線に名乗りを挙げた。
 その彼がわずか1カ月のインターバルでマーコートと対戦すること自体が、異例といえる試合だった。本来、マーコートはアンソニー・ジョンソンと戦うはずが、肩回りの負傷で欠場が決定し、代役としてストーリーに白羽の矢が立った。


 ストーリー自身、アウベスに勝利した勢いを駆って、ミドル級で世界挑戦経験のあるマーコートを下せば、混戦ウェルター級での存在感が一際上がるという読みもあったころだろう。しかし、その勢いや今後のプランはマーコート欠場、ピンチヒッターのチャーリー・ブレネマンとの試合により、水泡と化してしまった。

 その代役ブレネマンも今大会の負傷がらみのマッチメーク変更ラッシュに、翻弄(ほんろう)された一人だ。そもそも彼の名は、地元ペンシルバニア州で開催されるイベントの対戦カードに記されていなかった。それがTJ・グラントと戦うはずだったマチュー・リデルが負傷欠場、彼もまた代役として当大会に出場することが決まった。しかし、TJ・グラントがイベント開催週になって体調に問題が出たということで欠場が決定、ブレネマンのカードは宙に浮く事態に。

 それが急転直下(?)、大会前々日にマーコート欠場が正式決定し、ブレネマンはストーリーとセミファイナルで戦うこととなった。こんな場合、ブレネマンの決断を称える声が集中するが、ポジション的に下位にあるファイターは、どんなチャンスもモノにするというモチベーションに溢れていたに違いない。

徹底した対策が裏目に出て判定負け

 一方のストーリーといえば、準備期間の少ないメーン出場がなくなり、対戦相手は格下、しかも地元のブレネマンとなった。

 何よりもマーコートが打撃を軸に、隙をついてテークダウンを狙うファイターなのに対し、ブレネマンはテークダウンを軸に打撃を散らすファイター。その終着点にテークダウンがあるからこそ、出発点となる打撃の性格の違いが、彼を苦しめることになった。

 レスリングが基本のストーリーは、レベルの高いボクシングを使うマーコートと対戦するために、そのパンチが良く見られるやや腰高の構えと、高めのガードが欠かせなかった。加えて準備期間が短かったからこそ、他のオプションは持たず、対マーコート用の構えに体を馴染ませる必要があった。
 結果、どこから飛んでくるか分からない軌道の打撃から、素早い踏込み、それこそカウンターのヒザを受けても構わないという、勢いで突っ込んでくるブレネマンに何度もテークダウンを奪われることになった。

 その結果の判定負けだ。

 MMAは結果がすべての厳しい世界だ。だからこそ、時には敗れ去った者にも光を当てる必要がある。そうでなければ、ストーリーの代役出場という意思が、まったく浮かばれないものになってしまう。
■UFC LIVE「Kongo vs. Barry」
6月26日(日・現地時間)米国ペンシルバニア州ピッツバーグ コンソルエナジー・センター


<ヘビー級 5分3R>
○シーク・カンゴ(フランス)
(1R2分39秒 TKO)
●パット・ベリー(米国)

<ウェルター級 5分3R>
○チャーリー・ブレネマン(米国)
(判定3−0※29−28、29−28、29−28)
●リック・ストーリー(米国)

<ウェルター級 5分3R>
○マット・ブラウン(米国)
(判定3−0※29−28、29−28、29−28)
●ジョン・ハワード(米国)

<ヘビー級 5分3R>
○マット・ミトリオーネ(米国)
(2R4分28秒 KO)
●クリスチャン・モアクラフト(米国)

<フェザー級 5分3R>
○タイソン・グリフィン(米国)
(判定2−0※29−28、29−28、29−29)
●マニー・ガンバーリャン(米国)

<フェザー級/5分3R>
○ハビエル・バスケス(米国)
(判定3−0※30−27、29−28、30−27)
●ジョー・スティーブンソン(米国)

<ライト級 5分3R>
○ジョー・ローゾン(米国)
(1R1分58秒 キムラアームロック)
●カート・ウォーバートン(英国)

<ウェルター級 5分3R>
○リッチ・アトニート(米国)
(判定3−0※29−28、29−27、30−27)
●ダニエル・ロバーツ(米国)

<ライト級 5分3R>
○シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)
(2R1分48秒 リアネイキドチョーク)
●ニック・レンツ(米国)

<フェザー級5分3R>
○ヒカルド・ラマス(米国)
(1R4分41秒 TKO)
●マット・グライス(米国)

<ライト級 5分3R>
○マイケル・ジョンソン(米国)
(1R4分42秒 TKO)
●エドワード・ファロロト(ブラジル)
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