全米が注目! マリナーズの新人右腕、マイケル・ピネダとは?
月間新人賞に輝いた新星
4月の月間新人賞を獲得する活躍で一躍注目を集めるマリナーズのピネダ 【Getty Images】
終わってから、ピネダがダッグアウトで同じく新人のカルロス・ペゲロにそのときの様子を興奮しながら話しており、スペイン語が分からなくても、内容はイメージできた。
ペゲロがその場を離れた後、ピネダに「どうだった?」と聞けば、彼は指を2本立てる。“2本ホームランを打った”ということらしい。さらに彼は、バックスクリーンを指差して言った。
「しかも、1本はセンターだ。405フィート(約123メートル)の表示があるだろう? ちょうどあの上を越えていった」
なるほどそれで、ペゲロに自慢していたわけだ。昔は野手だったのかと聞けば、「うん、三塁を守っていた」とピネダ。「子どものころだけどね」。その子どものころ、すでに同級生と比べて頭一つ、いや二つも三つも背が高く、「おまえ、本当に子どもか?」とからかわれたそうである。
契約した16歳のときから変わらぬ制球力
争奪戦が起こるほどではなく、本人いわく、「ヒョロヒョロだった」という当時の評価は、90マイル(約145キロ)半ばの球が投げられるようになればいい、という程度だったそうだが、5年後の今、身長はさらに伸びて2メートル1センチ。体重はなんと、36キロも増えた。
その頃から変わらないのは、制球力だ。マリナーズが契約した理由もそこにあり、ストライクを投げることに関しては苦労しなかったそう。
マイナーでは5年間を過ごしたが、86試合(先発は71試合)に登板し、404回1/3を投げて、与四球は93個。4イニングに約1個という数字である。
その制球力は、メジャーにデビューしてますます磨きがかかった。慣れない4月には1試合で4個の四球を与えたこともあったが、5月に入ってからは4試合に登板し、27イニングでわずかに2与四球となっている。4日のレンジャーズ戦では、97球を投げて77球がストライクだった。その確率はなんと79.4%。
よって、ストライクを投げ過ぎるとも言われ、その4日の試合では2本の本塁打を許した。球種はいずれもストライクゾーンの真っすぐ。相手が明確に狙いを絞って振ってきた感じだった。
ただ、そうはいっても、今季の非本塁打はわずかに3本。狙われていたとしても、そう簡単に彼の球が打たれるわけではない。
100マイル(約161キロ)近いストレートに85マイル(約137キロ)前後のスライダー。たまに投げるチェンジアップの3球で、相手をどんどん追い込んでいく。ピッチング内容はまさにベテランのそれである。それこそ、「お前は、本当にルーキーか」と疑いたくなる。