全米が注目! マリナーズの新人右腕、マイケル・ピネダとは?

丹羽政善

月間新人賞に輝いた新星

4月の月間新人賞を獲得する活躍で一躍注目を集めるマリナーズのピネダ 【Getty Images】

 5月の3週目に入って、マリナーズの投手陣が交流戦に向けて打撃練習を始めた。17日(現地時間、以下同)の練習では、4月に月間新人賞を獲得したマイケル・ピネダが柵越えを放ったという。

 終わってから、ピネダがダッグアウトで同じく新人のカルロス・ペゲロにそのときの様子を興奮しながら話しており、スペイン語が分からなくても、内容はイメージできた。
 ペゲロがその場を離れた後、ピネダに「どうだった?」と聞けば、彼は指を2本立てる。“2本ホームランを打った”ということらしい。さらに彼は、バックスクリーンを指差して言った。

「しかも、1本はセンターだ。405フィート(約123メートル)の表示があるだろう? ちょうどあの上を越えていった」

 なるほどそれで、ペゲロに自慢していたわけだ。昔は野手だったのかと聞けば、「うん、三塁を守っていた」とピネダ。「子どものころだけどね」。その子どものころ、すでに同級生と比べて頭一つ、いや二つも三つも背が高く、「おまえ、本当に子どもか?」とからかわれたそうである。

契約した16歳のときから変わらぬ制球力

 しかし彼は、やがてその体格を生かして投手になると、大リーグのスカウトの目に留まり、16歳のときにマリナーズと契約を交わした。そのときの身長は190.5センチ、体重は81.65キロ。
 争奪戦が起こるほどではなく、本人いわく、「ヒョロヒョロだった」という当時の評価は、90マイル(約145キロ)半ばの球が投げられるようになればいい、という程度だったそうだが、5年後の今、身長はさらに伸びて2メートル1センチ。体重はなんと、36キロも増えた。

 その頃から変わらないのは、制球力だ。マリナーズが契約した理由もそこにあり、ストライクを投げることに関しては苦労しなかったそう。
 マイナーでは5年間を過ごしたが、86試合(先発は71試合)に登板し、404回1/3を投げて、与四球は93個。4イニングに約1個という数字である。
 その制球力は、メジャーにデビューしてますます磨きがかかった。慣れない4月には1試合で4個の四球を与えたこともあったが、5月に入ってからは4試合に登板し、27イニングでわずかに2与四球となっている。4日のレンジャーズ戦では、97球を投げて77球がストライクだった。その確率はなんと79.4%。

 よって、ストライクを投げ過ぎるとも言われ、その4日の試合では2本の本塁打を許した。球種はいずれもストライクゾーンの真っすぐ。相手が明確に狙いを絞って振ってきた感じだった。
 ただ、そうはいっても、今季の非本塁打はわずかに3本。狙われていたとしても、そう簡単に彼の球が打たれるわけではない。

 100マイル(約161キロ)近いストレートに85マイル(約137キロ)前後のスライダー。たまに投げるチェンジアップの3球で、相手をどんどん追い込んでいく。ピッチング内容はまさにベテランのそれである。それこそ、「お前は、本当にルーキーか」と疑いたくなる。

1/2ページ

著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマーケティング学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント