エース・水谷が日本男子32年ぶりの金に挑む=世界卓球・男子代表6選手紹介

月刊『卓球王国』

世界選手権へは男女合わせて14選手が出場する 【スポーツナビ】

 卓球の世界選手権が5月8日、オランダ・ロッテルダムで開幕する。同大会は隔年で団体戦と個人戦とが行なわれ、今回は個人戦となる。2年前の横浜大会ではダブルスで水谷隼、岸川聖也組が3位に入り、マンチェスター大会での渋谷浩、松下浩二組以来となる12年ぶりの世界選手権個人戦でのメダル獲得を果たした。また、昨年のモスクワ大会では団体戦で銅メダルを奪取するなど、世界トップとの差を縮めている。今大会は世界ランキング7位で日本のエース・水谷を中心に6選手が出場。12年のロンドン五輪に向け、メダルを獲得して弾みをつけたい。

 ここでは男子代表の6選手を紹介する。

水谷隼

全日本選手権5連覇中の水谷は攻撃的で先手を取れるスタイルに進化 【スポーツナビ】

みずたに じゅん
明治大学・スヴェンソン所属
1989年6月9日生まれ/静岡県出身
左シェーク両面裏ソフトドライブ型
青森山田高校卒
世界ランキング7位
世界卓球出場回数:7回目

 全日本選手権男子シングルス5連覇中の日本男子の大エース。ミスのないプレーでラリー戦に強さを発揮するタイプだったが、近年はサービス、バックハンドにもレベルアップが見られ、より攻撃的で先手を取れるスタイルに仕上がってきている。世界ランキングもひと桁台に入り、2010年の世界選手権ではヨーロッパ王者のボル(ドイツ)、11年2月のプロツアーでは北京五輪王者の馬琳(中国)に勝利するなど、着実に世界のトップとの差は縮まっている。「自分が負ける姿は想像できない」と今大会に自信を見せるエースが狙うのは、日本男子では32年ぶりとなる、男子シングルスの金メダルだ。

松平健太

松平健太はスランプ脱してひと回り成長した姿を見せたい 【スポーツナビ】

まつだいら けんた
早稲田大学所属
1991年4月11日生まれ/石川県出身
右シェーク両面裏ソフトドライブ型
青森山田高校卒
世界ランキング32位
世界卓球出場回数:4回目

 2年前の世界選手権横浜大会、男子シングルスでの馬琳(中国)との激戦は記憶に新しい。北京五輪王者に肉薄し、日本、そして世界に「マツケン」の存在を知らしめた衝撃的な一戦だった。変幻自在のしゃがみ込みサービス、前陣でのスピーディーな両ハンド攻撃は、中国選手も警戒するほどの切れ味を誇る。横浜大会の後は長いスランプに陥り、参戦しているドイツリーグでも連敗が続いていたが、徐々に調子を取り戻し、2011年の全日本選手権では丹羽と組んだダブルスで優勝。栄光と挫折を経験し、ひと回り大きくなったマツケンが、横浜で逃した大魚をロッテルダムで狙う。

岸川聖也

きしかわ せいや
スヴェンソン所属
1987年5月21日生まれ/福岡県出身
右シェーク両面裏ソフトドライブ型
仙台育英学園高校卒
世界ランキング34位
世界卓球出場回数:8回目

 15歳の夏にドイツに渡り、ドイツリーグ参戦も8年目。今シーズンからは名門クラブ・オクセンハオゼンの1番手として出場し、好成績をキープしている岸川。ドイツ仕込みのバックドライブを武器に、2009年の世界選手権横浜大会では水谷と組んだダブルスで見事銅メダルを獲得。10年のモスクワ大会でもポイントゲッターとして、チームの銅メダル獲得に大きく貢献した。横浜大会ではシングルスのエントリーから外される屈辱も味わったが、この2年でさらに実力を高め、今大会は単複3種目にエントリー。12年ロンドン五輪の出場権を得るためにも、持ち前の堅実なプレーで上位進出を果たしたい。

張一博

ちゃん かずひろ
東京アート所属
1985年7月5日生まれ/中国出身
左シェーク両面裏ソフトドライブ型
青森短期大学卒
世界ランキング66位
世界卓球出場回数:2回目

 2002年に中国から来日して青森山田高・青森短期大でプレーし、現在は東京アートのエースとして活躍。08年に日本国籍を取得し、10年のモスクワ大会で念願の世界選手権出場という夢をかなえた。どんな強打も確実に返球する硬いブロックと、前陣でコースを突く両ハンドを武器とし、11年1月の全日本選手権では岸川(スヴェンソン)、吉田海偉(フリー)を連破して決勝進出。また10年9月のワールドチームカップでは、当時世界ランキング1位の馬龍(中国)を下し、世界にも通用することを証明した。個人戦初出場のプレッシャーをはねのけ、自分のプレーを貫けば、上位進出も夢ではない。

丹羽孝希

にわ こうき
青森山田高校所属
1994年10月10日生まれ/北海道出身
左シェーク両面裏ソフトドライブ型
青森山田中学卒
世界ランキング74位
世界卓球出場回数:2回目

 次世代のエースと目される高校2年生。08年度全日本選手権では中学2年でベスト16に入り、09年横浜大会の日本代表に抜擢(ばってき)されると、同大会でも格上の選手を連破し、鮮烈な世界デビューを果たした。前陣でのカウンター、広角に狙う両ハンドは、16歳にしてすでに世界レベル。10年に行われた第1回ユース五輪では、男子シングルス・混合団体で2冠王となり、同世代では世界のトップをひた走る。今大会は松平健太(早大)とのペアで臨むダブルスにも注目。全日本選手権では水谷・岸川組の5連覇を阻止し、初優勝を果たした次世代のエースダブルスが、その勢いでメダル獲得なるか。

松平賢二

まつだいら けんじ
青森大所属
1989年4月6日生まれ/石川県出身
右シェーク両面裏ソフトドライブ型
青森山田高卒
世界ランキング90位
世界卓球出場回数:2回目

 2010年12月に行われた世界選手権代表選考会で優勝し、見事代表権を獲得。日本選手には珍しくフィジカルを生かしたパワフルな両ハンドプレーが魅力で、ラリー戦での粘り強さも光る。天才型の弟・健太に対し、努力型と言われる兄の賢二は無類の練習の虫。練習量に裏打ちされた安定感のあるプレー、ここぞという時の集中力には定評があり、後輩からの人望も厚い。地元の声援を背に受け、勢いで戦った横浜大会とは違い、本当の実力が試されるロッテルダム大会。「松平健太の兄」ではなく「世界の松平賢二」として、その名を刻む大会にしたい。

<了>

※世界ランキングは4月25日時点のもの
※出場回数は、個人戦・団体戦の合計
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