阪神キャンプで見たブルペンの興奮と味わい=山田隆道のキャンプ見聞録
能見と小林宏のイケメンコンビに興奮!
その日のブルペンは幸運にも豪華メンバーだった。エース格の能見篤史、復活が期待される岩田稔、ベテラン・下柳剛の左腕トリオに加え、鉄腕・久保田智之、千葉ロッテからFA移籍してきた小林宏之といった主力が勢そろい。正直、こんなブルペンは滅多にお目にかかれない。
能見のピッチングフォームは相変わらず美しかった。ノーワインドアップ全盛の昨今の球界では、稀少になった振りかぶるタイプのサウスポー。甘いマスクと長身痩躯の抜群のスタイルを誇る能見は、長い両腕を天高く突き上げるように美しく振りかぶり、全身を躍動させながら白球を投げ込んでいく。細い左腕はまるで鞭のようなしなやかさだ。
続いて目を奪われたのは小林宏之だった。隣で優雅に振りかぶる能見とは対照的に、常にセットポジションからの熱投。すでに本番、つまりランナーを背負った状況を想定しているのかもしれない。
それにしても小林宏は本当にかっこいい。生来のイケメンであることはもちろん、能見と同じくスタイルが抜群で、とにかく足が長い。2人そろってベルトの位置が異様に高いのだ。加えて、小林宏は阪神屈指のお洒落男子だ。ユニフォームを脱いでTシャツ一枚になっても、そのTシャツがいちいち流行のデザインだったりする。これは女性ファンに人気が出るだろうなあ。今季の阪神は能見とコバヒロのイケメンコンビにも注目です。
ブルペンの上座(?)を独占する下柳
元阪神の亀山つとむ氏(左)と山田隆道氏。ラジオ番組でも共演している 【山田隆道】
下柳は目を見張るスピードこそないものの、その制球はさすがの精密機械だった。捕手の構えたミットに寸分違わずボールが吸い込まれていく。圧巻の42歳だ。
今季から導入される統一球は表皮が滑りやすいらしく、下柳のような制球が命のピッチャーにとってはボールをコントロールしにくいというデメリットがあるという。しかしその反面、縫い目が大きいため、変化球が曲がりやすくなるというメリットもあり、それが吉と出るか凶と出るかは、キャンプでの投げ込みにかかっているとかいないとか。
果たして、今季の下柳はどっちに転ぶのだろう。昨年は2年連続で一桁台の7勝に終わり、いよいよ年齢による衰えがささやかれているものの、本人の情熱は老いてますます盛んな印象を受ける。他の若い投手と見比べてみても、投げ込み量が圧倒的に多いのだ。