TAJIRIが語る1.29『SMASH.12』完全ガイド=TAJIRIの防衛成功なるか!?
昼夜ダブルヘッダーとなる1.29「SMASH.12」と「SMASH.13」。今回は昼開催の大会見どころをTAJIRIが語る 【(C)SMASH】
そんな中、プロレス部門のプロデューサーを務めるTAJIRIに、今回は昼開催の『SMASH.12』の各試合の見どころを語ってもらった。
クレイジーがいなかったら今のボクは無かった
昨年のJCBホール大会で悲願のFCF王座を奪回したTAJIRI。昼夜ダブルヘッダーでともに防衛することができるか!? 【t.SAKUMA】
TAJIRI(王者) vs. スペル・クレイジー(挑戦者)
そもそもクレイジーと初めて会ったのはボクがデビューして間もなくの頃で、1995年8月にレッスル夢ファクトリーという団体が後楽園ホールでNWAジュニアヘビー級王座決定トーナメントをやったんですよ。そのトーナメントにボクはまだデビューしてまだ1年ぐらいしか経ってないのに出してもらって、クレイジーもそのトーナメントに出てたんですね。ボクは一回戦でエル・イホ・デル・サントに敗れちゃったんですけど(笑)。
で、大会が終わったあとに飯田橋でメシを食うことになって、そこにはビクター・キニョネス(故人)がいたんですけど、ビクターが店員の態度にキレて帰っちゃって、ボクとクレイジーが2人だけ残されてしまってですね(笑)。その後に2人で駅まで歩いて帰った記憶があるんですよ。その次に会ったのが、それから2年後くらいになりますかね。クレイジーのお兄さんがメキシコで定期興行を行なってたんですけど、その大会になぜかクレイジーがボクを呼んでくれたんですよ。でも、そのときは向こうが「ウイーッシ!」ってあいさつしたくらいで特に会話は交わさないまま終わったんですよね。
そして3度目に会ったのがそこからさらに1年後、メキシコ北部にあるモンテレイという街でなぜかいきなりボクとクレイジーのシングルマッチが組まれたんですよ。そのときの試合にすごく手応えを感じたんですよね。その当時、ボクはメキシコに武者修行に来ていたんですけどメキシコシティではあまり稼げなかったんですよね。なので北部のプロモーションでクレイジーと抗争を繰り広げてそのまま米国までいけたらいいなと、ぼんやり考え始めたんですよ。
そうしたら案の定、北部でクレイジーとのシングルが多く組まれるようになって、その噂を聞きつけたポール・ヘイマンのアンテナにボクらが引っ掛かって、そのままセットでECWにまで到達したんですよ。それが1999年12月ですね。
当時はボクらも米国にまで渡ったのはいいけどお金が全然無かったので、家賃550ドルのアパートを折半して住んでたんですね。生活なんかもクレイジーは掃除が好きで、ボクは食事作りが得意だったんでそれぞれが分担したりして(笑)。
そんな中でボクらはだんだんECW内でステップアップしていったんですけど、ボクのほうが先にPPVデビューをはたしたんですよ。で、今のボクのスタイルの礎となったのは、「クレイジーに勝つにはどうしたらいいのか?」というのを考えた末に導き出されたものなんですよ。そのぐらいクレイジーはECWで神ががり的な輝きを放っていたんですよね。だから、クレイジーがいなかったら今のボクは無かったんですよね。
だから、今まで何度も闘ってきたクレイジーと日本でシングルをやるのは今回が初めてなんですけど、すごくいいタイミングで実現できたと思うんですよね。このタイミングで2人が闘うということは、果物がなかなか実らなかった木からある日突然、果物が実った感じというか。ボクとクレイジーとの試合で、また新たなるものが生まれるんじゃないかなっていう気がするんですよ。
事実上の欧州最強決定戦!
欧州最強対決となるコバック(手前)とスターバック(上)の対決。果たして欧州の頂上を極める選手はどちら!? 【t.SAKUMA】
スターバック vs. マイケル・コバック
これはもう対戦カードを発表したVTRで2人の画像が並んだのを観て、素直に「これ、かっこいいな」って思いましたね。2人は天敵同士でこれまで何度も闘っているんですけど、その試合映像を観た感想として、まさに最終戦争みたいな闘いを2人はしていたんですよ。闘うことによって地球上のあらゆるものが消滅していっても2人だけは生き残って決着がつくまでとことん闘い続けるみたいな(笑)。
それとこの試合は事実上の欧州最強決定戦みたいなカードですよね。まだ見ぬ未知の強豪がゴロゴロいると言われている欧州のマット界で頂上に君臨している2人による一騎打ち、日本でこういうシチュエーションの試合というのはひさしく無かったんじゃないかなと思いますね。
あと、スターバックは去年、『SMASH.10』(2010年11月22日/JCBホール)でボクに負けて、12月にフィンランドでAKIRAさんに負けてまさかの連敗を喫し、一時期はもうダメなんじゃないかと周りからも言われていたし、本人もそれをほのめかすような発言をしていたんですよね。ところが今年に入ってからスターバックが完全復活したとしか思えないようなVTRがフィンランドから送られてきたんですよ。これはぜひSMASHオフィシャルサイトでも近日アップしますけど、とにかくスターバックはコバックに復讐するために物すごいことになっていますね。
ボクはこの試合を“北欧の神 vs.地獄のアル・カポネ”と呼んでいるんですが、まさにSMASHのリングでとんでもないアルマゲドンが起きようとしてますね(ニヤリ)。
どちらが先にイニシアチブを握ることができるのか、その勝負になる
KUSHIDA vs. Mentallo
実は去年、SMASHの旗揚げ戦前にボクがカナダに遠征したとき、2人はシングルで闘っていてその試合ではMentalloが勝っているんですよ。SMASHのリングではKUSHIDAもなかなかシングルマッチで勝ち星をあげることができていないのですが、さすがにMentalloには連敗できないと思っているはずですよ。
一方、Mentalloも去年ブレークして、今年はさらにもうワンステージ上のところで闘いたいと思っているはずなんですよ。例えば、新日本プロレスのジュニアヘビー級の世界だったりとか。でも、それはKUSHIDAも一緒ですよね。そういう意味で2人はタッグチームとしても始動しているんですが、いい意味で刺激し合える仲間としてここはどちらが先にイニシアチブを握ることができるのか、その勝負になるんじゃないでしょうか。
その中でMentalloなんかはすごく全体のアベレージが高い選手なんですけど、ああいったジュニアの世界で名を売っていくには何かひとつ“Mentalloと言えば”という代名詞的なものを身につけないといけないと思いますね。で、実はKUSHIDAにもこれは同じことが言えるんですよ(ニヤリ)。
見た目のインパクト以外で何を生み出すことができるのか
リン・バイロン、児玉ユースケ vs. 大原はじめ、ジェシカ・ラブ
大原とジェシカが2人だけで組むのは初めてなんですよね。なんかこの2人は夫婦な感じというか、『奥様は魔女』みたいなあの当時の米国TVドラマに出てきそうなキャラクターのような気がするんですよ。そういう意味で、大原&ジェシカは自分たちのパッケージ感をいかにお客さんに認識させることができるか、この勝負になると思うんですよね。
その一方で、リン&児玉はそれぞれが自分の抱えている問題をクリアしていかないといけないからタッグチームとしてのパッケージ感みたいなものはないんですよ。だから、2人で策を何も立てずに個々がそれぞれ勝手に動き出したら、完全に大原&ジェシカに持って行かれると思いますね。その中で、大原&ジェシカは見た目のインパクト以外で何を生み出すことができるのか、ここも注目ポイントだと思います。