石川佳純、「天才少女」から「女王」へ=17歳11カ月で全日本選手権初優勝

小川勝

名実ともに「日本卓球界の顔」

17歳11カ月で女子シングルス初戴冠となった石川佳純 【スポーツナビ】

 ついに、と言うべきか、全日本卓球選手権(1月18日〜23日、東京体育館)の女子シングルスで、高校3年の石川佳純(ミキハウスJSC)が初優勝を果たした。17歳11カ月での日本一。高校生の優勝は、佐藤利香(京浜女子商業高等学校/当時)以来、22大会ぶりで、佐藤の最年少優勝記録(17歳1カ月)にはおよばなかったものの、小学6年で初出場して以来、大器と目されてきた石川が、名実ともに「日本卓球界の顔」に成長したことを印象づけた。

 今回の優勝が、印象的かつ価値あるものになったのは、準決勝で、同じく今年初優勝を目指した福原愛(ANA)を破って、決勝では2010年世界選手権代表のベテラン・藤井寛子(日本生命)を4−0で圧倒するという、文句なしの内容だったからだ。

石川と福原との準決勝が、最大の山場

組み合わせから見て、今年は石川と福原との準決勝が、最大の山場になると予想されていた 【スポーツナビ】

 組み合わせから見て、今年は石川と福原との準決勝が、最大の山場になると予想されていた。最近、この2人の国際舞台での実績は、日本選手の中でずば抜けていたからだ。

 石川は昨年、5月の世界選手権・団体戦で、準々決勝の韓国戦、タン・イエソ(世界ランク16位)に逆転勝利。9月のワールドチームカップでは、シンガポール戦で世界ランク2位の馮天薇に3−0で勝利。12月のアジア大会・団体戦では、同じくシンガポール戦で、世界ランク7位の王越古に3−1で勝った。こうした結果から、今年1月に発表された世界ランクでは、前回の20位から、一気に11位まで躍進していた。

 一方、福原愛も昨年、2月のクウェート・オープンで当時世界ランク2位の中国・郭炎(かくえん 正式表記は別)に勝利。5月の世界選手権・団体戦では韓国のパク・ミヨン(世界ランク11位)に勝ち、12月のアジア大会では、シングルスでシンガポールの王越古(世界ランク7位)に4―2で勝利。世界ランクは現在、日本女子最高の8位まで上がっていた。

 石川も福原も、日本選手権では過去ベスト4が最高。2人とも、今年は初優勝を狙うべき年だったと言える。

「(福原に)勝てたことは、自信になりました」

2010年は国際大会でも強敵を破り、好調のまま全日本に臨んだ福原だったが、悲願達成とはならなかった 【スポーツナビ】

 2人とも順当に勝ち上がって、対戦した準決勝。1−1で迎えた第3ゲームで、石川は、この1年間の成長を見せつけた。
 成長著しい強烈なフォアのドライブで、再三得点した。フォア側に大きく振られても、瞬時に手を伸ばして的確にボールを捉える。そして、福原のレシーブミスを誘う、緩急をつけた巧みなサーブ。得意のバック以外でたびたび得点を重ね、11−3でこのゲームを奪った。
 第4ゲームは、開始からの6連続得点を含む猛攻で11−4。第5ゲームも9−5から9−9とされたものの、次のポイントをフォア、バック自在のラリーで制すると、最後は福原が、3球目攻撃をネットにかけ、勝負がついた。

「緊張することなく、試合ができたし、最後まで自分を信じてプレーすることができました。権威ある大会で(福原に)勝てたことは、自信になりました」

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著者プロフィール

1959年、東京生まれ。青山学院大学理工学部卒。82年、スポーツニッポン新聞社に入社。アマ野球、プロ野球、北米4大スポーツ、長野五輪などを担当。01年5月に独立してスポーツライターに。著書に「幻の東京カッブス」(毎日新聞社)、「イチローは『天才』ではない」(角川書店)、「10秒の壁」(集英社)など。

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