TAJIRIが語る12・11『SMASH.11』完全ガイド=今回のテーマは「人と人との出会い」
プロデューサーTAJIRIが12.11『SMASH.11』の見どころを語る 【(C)スマッシュ】
■「これから始まろうしている第2章への出会いとなる大会」
TAJIRI「今回の『SMASH.11』は、今まであった対立構図とはまったく異なるマッチメークになっているんですよ。だから言ってみれば、11・22『SMASH.10』(JCBホール)で第1章が完結して、第2章が始まろうとしている。その第2章への出会いとなる大会になると思いますね。テーマは人と人との出会いです」
「ある日を境にしてプロレスを観なくなった人にぜひ観てもらいたい」
TAJIRI vs. ジプシー・ジョー
TAJIRI「この試合にあたってですね、これは近いうちに発表しますが、ジョーさんがかつて参戦していた国際プロレスにゆかりのある方が試合に関わっていただくことになりました。これはもう国際プロレスのファンだった方には、涙が出るような仕掛けになるんじゃないかな。
この『ワールド・レジェンド・リバイバル』というのは、SMASHで新しいことを創ろうとしている僕らなんですけど、現代のプロレスのベースとなっている輝かしい過去を見返すという作業も必要だと思って始めた企画なんですよ。そういう点でも、今回、ジョーさんを生で目にすることができるというのは、SMASHに携わる選手、関係者、ファンのみなさん、そしてプロレスを愛するすべての人たちにとって幸せなことだと僕は思いますね。そして、僕自身もジョーさんと闘えることを凄く光栄に思っています。
今月2日が77歳の誕生日だったジョーさんは、今も米国で現役を続けられているんですよ。ということは、プロレスっていうのは若いからいいものが見せられるジャンルとは限らないんじゃないかなって思うんですよね。仙人が存在できるジャンルって言うのかな。だから、ジョーさんが日本で闘っていた頃を知らない最近のファンの方が観ても、ジョーさんの佇まいひとつからそういうものを感じ取れるんじゃないかなって思いますね。
あと、僕はある日を境にしてプロレスを観なくなった人たちにこそ、この試合を観てもらいたいっていう強い願望があるんですよ。ただのリバイバルだけに終わらない、忘れかけていた熱い衝動をもう一度思い出してもらいたいんですよね」
「大原がスターバックの敵討ちという気持ちだけで向かって行っても……」
大原はじめ vs. マイケル・コバック
TAJIRI「この試合に関しては、欧州でタイトルを総なめにしてきたコバックの実力はどれほどのものなのか、僕はそこに大きな興味がありますね。スターバックとは欧州のベルトを巡って勝ったり負けたりしているんですけど、コバックのこれまでのタイトル暦を見たら、スターバックよりも圧倒的にコバックのほうが上なんですよ。
コバックは、プロレスの実力もさることながら、いろんな国が集まっている欧州でそういうことができるということは、コミュニケーション能力に長けているというか、人間としてのレベルも非常に高い男なんじゃないかと思うんですよね。
そんなコバックを相手に大原は闘うわけですが、大原はスターバックの敵討ちというモチベーションが高いみたいですよね。でも、敵討ちという気持ちだけでコバックに立ち向かって行っても、あっけなく粉砕されるような気がするな。そんなのは余計なお世話ですかね?
というのも、この前の『SMASH.10』でコバックがリングの上を歩いている姿を見て、そして僕を指差した動作を見て、「これは凄い!」っていうのがわかったんですよ。だから、コバックは僕が持ってるFCF王座への挑戦をJCBホールのときにアピールしていたので、ちょっと大原には悪いけど、この試合は近い将来あるであろう僕の対コバック戦を想定して、参考資料とさせてもらいます」
「小路さんはプロレスの複雑な部分に初めて触れることになる」
小路晃 vs. 鈴木みのる
TAJIRI「この試合に関しては、僕も予測不能なんですよね。きっと小路さんは、憧れのUWF戦士であった鈴木みのる選手と闘えることで、言ってみれば、舞い上がっているんだと思うんですよ。でも、UWFに憧れていた人がUWF戦士と闘える、そんなシチュエーションは鈴木選手が一番毛嫌いするだろうし、そんなものたたき潰そうと思っているんじゃないかな。だから、もし小路さんが舞い上がったままこの闘いに臨んだら、非常にヤバいのではないかと。
僕も鈴木選手とはかつて全日本プロレスでやり合ってたんで、あの人の意地の悪さは知り尽くしているんですけど、今まで小路さんと闘った相手で、小路晃を潰してやろう、恥をかかせてやろうと思って来た人ってひとりもいないと思うんですよ。やっぱりプロレスを長いことやっていると、ごくまれにそういう人が出没するんですけど、鈴木選手というのはまさにそういう人なんですよ。
その一方で、小路さんが今回迎えるような闘いというのは、鈴木選手もかつては経験したであろうことだし、トップどころでやっている選手というのは要所要所でそういう闘いをしてきているんですよ。でも、小路さんはまだ一回もそういう経験をしたことがないだろうから、今回初めて小路さんはプロレスの複雑な部分に触れることになるんじゃないかなと思うんですよね。いろんな意味で勝つことが難しい相手ですよ。鈴木みのるというのは。何しろ頭がいい人なんで。
だから、鈴木選手はこの試合に向けて100考えてくるとしたら、小路さんは1万考えてきてもまだ足りないくらいなんじゃないかな」
「SMASHで純粋培養された選手たちによるタッグマッチ」
KUSHIDA、Mentallo vs. リン・バイロン、ゴーレム・ナイト
TAJIRI「2011年以降のSMASHの展開を占う意味でも、SMASHで純粋培養された選手たちによるこのタッグマッチは、スイングしてもらわないと困る試合なんですよね。
そういう意味でいくと、KUSHIDA&Mentalloなんかは、リング外でも仲が良いということで、来年以降はタッグチームとして外に打って出て行きたいという希望が二人にはあるんですよね。逆に、リンもこの二人が相手であれば、物凄く自分の潜在能力を発揮できるんじゃないかなっていう気がするんですよ。この4選手の中では一番速く、俊敏に動き回ってもらいたいですね。ただ、この試合でリンは存在感を示すことができないようであれば、今後の展開に大きく影響するのではないかという不安もあります。
あと、KUSHIDAが今年8月の『SMASH.7』でFCFのヘイモ・ユーコンセルカと対戦したときに、身体のデカイ相手と闘うためのサイコロジーがまったくできていないことが判明したので、今回ゴーレムを相手にすることで、再びその部分が問われてくるんじゃないかなと。そういう意味では、Mentalloのほうがいろんな選手を相手にしても順応性を発揮できているので、二人が組むことは大きくプラスに作用する気がしますね」
「朱里が米山選手を食ったら、女子プロ界で誰もが認めざるを得ない存在になる」
朱里、野崎渚 vs. 米山香織、コマンド・ボリショイ
TAJIRI「『SMASH.10』で米山選手が朱里との対戦をアピールしたということで、二人の対決が12.24『ハプニングEve’』(東京・新宿FACE)で実現する可能性は高いのですが、そういう意味でこのタッグマッチは二人にとっては前哨戦と言えますね。
そして、米山選手の横に付いているボリショイさんは、これまた摩訶不思議な選手であり、百戦錬磨のツワモノですから、朱里にとってはまたひとついい経験になると思いますし、朱里のパートナーである野崎選手も同様ですね。
朱里は『SMASH.10』でさくらえみからフォールを奪っているわけで、これでもし米山選手を食うことがあれば、誰がなんと言おうと女子プロレス界で認めざるを得ない存在になると思うんですよ。だから、僕がこんなことを言ったらフェアじゃないかもしれないですけど、朱里にこの試合は勝ってもらいたいですね。
あと、朱里&野崎のタッグチーム、僕は“朱里と渚”と勝手にチーム名を命名しているんですが(笑)、今回で二人が組むのは3回目になるのでチームとして形にしていかなければいけない時期に入ると思うんですよ。そういう意味でも、朱里にとっては、何気なく組まれたマッチメークのようでいて、非常に意味の深い、分岐点となるカードだと思います」
「大森さんにもう一度ピュアな気持ちでプロレスをしてもらいたい」
児玉ユースケ vs. 大森隆男
TAJIRI「大森さんに関しては、前回『SMASH.10』におけるトライアウトの評価、これは毎大会行なっているお客様のアンケート、そして関係者の声を集計したものなんですが、良くも悪くもないという回答が非常に多かったんですね。
この原因を僕なりに考えてみたのですが、大森さんに対する期待度の高さであったり、『大森ならもっとできるだろう』というファンの厳しい見方があったんじゃないかなと思うんですよね。
だからと言って、大森さんにもう一度トライアウトを受けて欲しいというのはあまりにも失礼にあたることで、とてもじゃないけど僕は言えない。だから、僕としては、児玉というまだ何も色がついていない若手レスラーを相手に、大森さんにもう一度ピュアな気持ちでプロレスをしてもらいたいと思っているんですよ。
逆に、児玉からすると、今まで当たってきた選手の中で一番のビッグネームである大森さんとの対戦なので、並々ならぬ決意と覚悟で試合に臨むと思うんですよね。だから、もしかすると、児玉のほうがインパクトで上回るようなことがあったら、大森さんと言えどもちょっとヤバいんじゃないかなと。だけど、SMASHのリングはそれぐらい厳しいものだと思っています」
12月11日(土)東京・新宿FACE 開場17:00 試合開始18:00
【全対戦カード】
<メーンイベント 〜ワールド・レジェンド・リバイバル>
TAJIRI
ジプシー・ジョー
<セミファイナル>
大原はじめ
マイケル・コバック
<第4試合>
小路晃
鈴木みのる
<第3試合>
KUSHIDA、Mentallo
リン・バイロン、ゴーレム・ナイト
<第2試合>
朱里、野崎渚
米山香織、コマンド・ボリショイ
<第1試合>
児玉ユースケ
大森隆男
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