金網に囲まれたオクタゴン、リングでの戦いとは何が違うのか?

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金網に囲まれた八角形のオクタゴン――リングとの違いとは? 【(C)NAOKI FUKUDA】

 UFCの試合はボクシングなどのリングと違い、オクタゴンと呼ばれる八角形の試合場で行われる。金網に囲われているため野蛮なイメージがあるが、実際のところはどうなのか? リングで行われる総合格闘技の試合と、どんな点が異なるのだろう?

 金網に囲まれていることの利点の1つに、選手が転落する危険がないということがある。リングで行われている日本の格闘技の試合を見ていただければわかると思うが、ロープ際での攻防の際、最下段のロープ下から選手の体が出てしまうことがある。こういう時は、リング下にいるサブレフェリーらが、下から選手の体を押して、転落しないようにしている。こういうことが金網の試合では必要ない。
 また、リングの試合だと、ロープ際の攻防で選手の体の一部がロープ外に出た場合、レフェリーが「ストップ! ドント・ムーブ!」というコールをかけて試合を中断し、両選手を中央に戻して再開するというシーンがしばしば見られる。これは、ほぼ同じポジションで再開されるとはいえ、試合の流れや勢いというものを奪ってしまう。金網の試合では、こういう弊害もない。(両者があまりに膠着して動きがない場合にはブレイクされるが、これはリングでも金網でも同じだ)。

秋山vs.ビスピン、金網際の攻防にも注目しよう

自らのジムに金網を設置している秋山、“際”の攻防にも注目したい 【(C)NAOKI FUKUDA】

 金網の試合では、リングと違って独特の技術も必要になる。たとえば寝技のポジションになった際、相手の頭を金網に押し付けるようにして逃がさぬようにし、パウンド(上から殴る)する技術や、下になった選手が金網に自分の背中を預け、背中で金網をずり上がるようにして立ち上がるテクニックなどだ。そういう技術を身に着けるには、普段から金網で練習するのがベストなのだが、日本の総合格闘技のジムで金網を常備しているところは非常に少ない。その数少ない1つが、今回のUFC120のメインで英国の英雄マイケル・ビスピンと対戦する秋山成勲の主宰するクラウド秋山道場である。
 この道場にもフルサイズのオクタゴンはないが、金網が3面備えられているので、金網際の攻防を練習するには十分だ。ここには秋山と同じくUFCで活躍中の岡見勇信や、宇野薫、アメリカのWECにも出場した高谷裕之ら日本のトップ選手が練習に訪れ、切磋琢磨しているのだ。

 今回の試合では、両者の打撃や寝技の技術のみならず、金網際での攻防に注目してみると、面白さが増すかもしれない。

(文:稲垣 收/WOWOW UFC解説者)

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

「生中継!UFC−究極格闘技−UFC120 秋山成勲 vs ビスピン」
10月17日(日)午前4:00 デジタル192chで生中継!
<主な対戦カード> ミドル級: 秋山成勲 vs マイケル・ビスピン
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