苦悩するビーチの妖精 浅尾美和の笑顔は見られるのか
試行錯誤を重ねるものの、優勝に手が届かない浅尾美和。この笑顔を表彰台の頂点で見られる日は――。写真は2010年5月撮影 【坂本清】
注目の“ビーチの妖精”浅尾美和・草野歩組(エスワン)は3回戦敗退、敗者復活戦でも敗れ5位。またしても優勝をつかみ取ることができなかった。浅尾は昨季終了後に約5年間ともに戦った西堀健実(フリー)と別れ、今季から若手実力派の草野とチームを組んだ。シーズン前には優勝候補の声も高かったが、今季も中盤を迎え、いまだ勝ちがない。言うまでもなく人気ナンバーワン、ビーチバレーの顔である浅尾美和。いつ勝つことができるのか──。
勝利への試行錯誤 2人の英断
人気はあるが実力が……と言われ続けた浅尾の今シーズンは、期待に膨らみ始まった。国内ツアー初戦は3位。優勝は近いと思われ、JBVツアー第2戦の初日には、新しい作戦を試しセットを落としても「作戦失敗!」と笑って話す余裕もあった。
しかし翌日の試合、勝てると思っていた尾崎・金田組にまさか負けを喫し、予選リーグ敗退。「技術、作戦でかみ合わない所もある」(草野)と歯車が狂いはじめ、浅尾も「こんな負け方をするとは思わなかった」とショックを隠しきれなかった。
試合後、1時間にも及ぶ緊急ミーティングが開かれ「言いたくはないが(負けの)原因は把握している」と浅尾も話し、次戦までの2カ月で挽回(ばんかい)できると思われた。が、第3戦となった大阪カップ中之島大会もその原因は取り除かれない。結果は5位。草野は「まったくできていない。できることだけやるしかない」と語った。
ビーチバレー界の顔として
個別練習で課題克服に取り組む浅尾(右)と草野。写真は2010年7月撮影 【坂本清】
そして、迎えた今大会。2人の言葉を彼女たち自身が証明することとなった。まったく良いところがなく再び5位。草野のジャンピングサーブは相手に脅威を与えるが、狙われた浅尾のレシーブはフォーム改造のかいはなくミスが目立つ。フォーメーションも合わず「アユ、お願い!」と浅尾の声が何度もコートに響き渡った。3回戦は、結成3カ月のチーム、菅山かおる(WINDS)・駒田順子(ポイント)組にストレート負け。その後、敗者復活戦を勝ち上がり1日4試合のハードなスケジュールをこなしたが、最後は浦田聖子・西堀健実(ともにフリー)組の前に力尽きた。草野は「(原因は)分からない。落ち着いてから考える」と話し、「負けたくないという気持ちが足りなかった」と浅尾の顔に笑顔はなかった。
5年前、浅尾の出現でビーチバレー界は激変。彼女の人気とともに一躍注目される競技となった。その後、菅山かおるや浦田聖子など人気を得る選手も現れ、今大会でも元東レ(V・プレミアリーグ)の大型プレーヤー、大山未希(グランディア)がデビューした。しかし競技自体の人気は、決して右肩上がりとは言えない。冒頭に出てきた男性のように、浅尾を通じて競技に接するファンはいまだに多い。
すべてを負わせるのは酷だが、彼女の勝利がビーチバレー界に与える影響は大きい。果たして、皆が待ち望んでいる笑顔が見られるのはいつなのか。浅尾・草野ペアの今後の奮起に期待したい。
<了>
(取材・文/小崎仁久)
ビーチバレースタイル7月号 『水着SHOW〜2010SUMMER〜』
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