凱旋ヨシ・タツ、無念黒星も大コールに号泣=WWE日本公演1日目

高木裕美

凱旋勝利こそならなかったヨシ・タツだったが、場内大コースに思わず男泣き 【t.SAKUMA】

 スポーツエンターテインメントを世界規模で展開するWWE(World Wrestling Entertainment Inc.)の日本公演「WWE RAW presents サマースラムツアー 2010」が2日間に渡って東京・両国国技館で開催。初日となる20日は9120人を動員した。

 WWEは世界145カ国、30の言語で放送されており、今年3月28日に米国アリゾナ州ユニバーシティ・オブ・フェニックス・スタジアムで開催されたWWE年間最大の祭典「レッスル・マニア26」では7万2219人を動員し、NFLの第42回スーパーボウル(7万1101人)を抜いて同スタジアム史上最高記録を樹立している。

オートンがWWE王座奪取に失敗

王座奪取に失敗したオートンだったが、試合後の必殺RKOでファンを大いにわかせた 【t.SAKUMA】

 シェーマスvs.ランディ・オートンのWWEヘビー級王座戦は、王者シェーマスがレフェリーを突き飛ばして反則負け。ロサンゼルスで15日に行われた真夏のスーパーイベント「サマースラム」の再戦が日本で実現するも、4日前と同じ結末を迎えた。

 オートンは“ビッグO”ボブ・オートンを祖父に、“カウボーイ”ボブ・オートンを父に持つレスリング・ファミリーに生まれ、2004年8月にわずか24歳4カ月でWWE史上最年少の2大王者(WWEヘビー、世界ヘビー)となった若きカリスマ。一方、アイルランッド出身のシェーマスは09年6月にWWEデビューを果たし、わずか半年で史上初のヨーロッパ人WWE王者となっている。

 大人気のオートンに対し、ブーイングで迎えられた王者シェーマスは小ずるいファイトでオートンのRKOを徹底的に阻止するが、毒ヘビのアピールを食らって絶体絶命と見るや、レフェリーを突き飛ばすという最終手段で反則負けを拾い、ベルトの移動だけは阻止。不完全燃焼の結末に客席から大ブーイングが起こる中、シェーマスはイスを手にオートンに襲い掛かるも、オートンがこれをかわして必殺のRKOを炸裂。思わぬボーナストラックで客席を大いに盛り上げた。

シナとビッグ・ショーがNEXUSに完勝

5年ぶり来日を果たしたスーパースター、ジョン・シナ(中)が両国でファンを魅了! 【t.SAKUMA】

 05年7月以来、5年ぶりの来日となったジョン・シナは、ビッグ・ショーと組んでNEXUS(ウェイド・バレット、デイヴィッド・オトゥンガ)と対戦した。

 NEXUSは第1試合終了後、ベテランのゴールダストを襲撃し、観客にマイクアピールしてみせるなど恐れ知らずな行動を連発。メーンイベントでもシナを10分以上に渡っていたぶり続け、観客のフラストレーションが頂点に達したところで、ついにビッグ・ショーへのタッチが成立。ビッグ・ショーはラリアットで次々と2人をなぎ倒し、ダブルのブレーンバスターでマットに叩きつけると、シナがバレットにアティチュード・アジャストメント、ビッグ・ショーがオトゥンガにチョークスラムを同時に決めてのダブルフォール勝ち。若い2人に実力差を知らしめた。

ヨシ・タツが涙の凱旋マッチ

ジェリコに実力差を見せられたヨシ・タツ(左)、明日はリベンジだ! 【t.SAKUMA】

 日本人唯一のスーパースター、ヨシ・タツこと元新日本プロレスの山本尚史はクリス・ジェリコとのチャレンジマッチで日本凱旋を果たした。
 ヨシ・タツは02年に新日本プロレスに入門し、同年10月22日に東京・後楽園ホールでデビュー。07年にアメリカ武者修行に出発し、WWE下部組織FCWでトレーニングを行った。翌年2月に新日本を退団して、4月にWWEのトライアウトを受けて合格。09年6月にECWでデビューを果たし、今年2月にロウに移籍した。

 古巣・新日本のホームリングともいえる両国のリングに立ったヨシ・タツに対し、客席からは「ニッポン・チャチャチャ」コールが起こるが、それをかき消すかのようにさらに大きな「Y2J」コールが発生。若手時代にFMWやWAR、新日本に参戦し、大の日本通で知られるジェリコに熱烈な声援が送られ、ジェリコもこれに応えるべく、普段のWWEのリングでは見せないようなミサイルキックや弓矢固め、ジャーマンスープレックスといった日本向けファイトを披露。圧倒的な力の差を見せつける。
 だが、ヨシ・タツもニールキックやハイキックといった得意のキック攻撃やバックドロップを繰り出して見せ場を作ると、ジェリコの必殺技コードブリーカーをカウント2でクリアするなど大奮闘するが、ジェリコのウォールズ・オブ・ジェリコに無念のギブアップ負けを喫した。

 試合後、大観衆の「ヨシ・タツ」コールを受けたヨシ・タツは感極まって号泣。日本のファンの声援に顔を涙でグシャグシャにした。

 また、ロウを華やかに盛り立てるディーバたちが6人タッグマッチで激突。イブ、ブリー・ベラ、ニッキー・ベラ組とマリース、アリシア・フォックス、ジリアン組が華麗な美の競演を見せた。
 モデルや女優、サッカー選手を経てディーバとなったニッキー&ブリーの双子の美人姉妹ベラ・ツインズが息の合った同時ドロップキックを繰り出せば、前々ディーバ王者のイブは前王者のアリシアをスイープ・ネックブリーカーで撃沈させ、見事王座戦のリベンジを果たした。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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