宮田会長インタビュー 亀田vs.内藤が成功した理由 内藤を世界王者に押し上げた宮田会長の戦略と覚悟

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まだ夢の途中で完結した形ではない

特別表彰を受けるなど、いまや日本屈指のプロモーターとなった宮田会長 【矢内耕平】

――興行を成功させるために必要なことは何だと思いますか?

 世界戦をプロモートするのは、僕だけじゃなくて、僕の周りにいるスタッフが僕以上に大変だと思います。上海での興行が潰れて、世界タイトルマッチを日本で3日間で用意するなんて、どこのジムだってプロモーションだってできないはずです。ただ、うちは小所帯で必要なことは全部スタッフがやってきたので、世界タイトルマッチを開催するために必要なノウハウがスタッフの頭に入っているんですね。
 プロモーターとして僕がやるのは、夢を売るということなんです。大会で何をしたいのか愛情と情熱を持って語って、みんなに協力したい、参加したいと思わせることが大事なんです。その夢をどれだけ語れるかがプロモーターには必要だと思っています。

――プロモーターとして試合の準備をしながら、トレーナーとしても内藤選手のコンディション調整をしていくのは大変だと思いますが

 僕はジムが好きで365日必ずジムに出て1日100ラウンド以上ミット打ちをして、この仕事が天職だと思っています。(内藤のコンディション調整を)自分がやらなければいけないという思いがある中で、試合準備のためにジムに来られないのは精神的にキツかったですね。確かにプロモーションの仕事の方が大きいですが、ジムでのトレーナーとしての仕事は僕にとってすごく大事なんです。内藤とはトレーナーとプロモーターという相反する立場で接していますが、内藤は自立する力がとても強いのでコンディション作りで苦しんだことは一度もないです。その点では内藤に感謝しています。

――亀田大毅・興毅戦などを経てプロモーターの中でも業界のトップランナーとして引っ張る立場となりましたが、現在のボクシング界をどのように見ていますか?

 それぞれのプロモーションがあって、それぞれのキャパで皆さんがそれぞれに成功していると思っています。僕はトップを走っているとは思っていませんし、まだまだやりたいことがあります。僕はまだ夢の途中ですし、これが完結した形ではないです。
 もし協会の皆さんが団結してやる気持ちがあるなら、僕が持っているものを生かしたいと思っています。

決意があったらきっと変わります

宮田会長は「ジムでミットを持っているときが一番楽しい」と笑顔で語った 【矢内耕平】

――ボクシング協会の要職には就かれないのでしょうか

 僕はジムのことで精一杯です。正直、時間がありません。もちろんお呼びもかかってもいませんが……(笑)。皆さんは何のために仕事をしているんですか。幸せのために、自分がやりたいことを実現するために仕事をしたいんじゃないですか。僕はジムでミットを持つことが何よりも楽しいし、幸せなんです。その時間を削られるのが一番嫌なんです。今もプロモーション活動のためにジムを犠牲にしているという気持ちが強くあります。ジムでミットを持って、みんなの笑顔と一緒にいることが何よりも楽しいことなので、その時間を奪われるのが一番怖いですよね。

――プロモーターの1人として、日本ボクシング界に欠けているものは何だと思いますか?

 おこがましいかもしれませんが、決意が足りないですよね。本当にやろうという決意がない気がします。決意があったらきっと変わりますよ。覚悟がまだ決まってないという感じですね。
 僕はあのとき(07年7月の内藤vs.ポンサクレック戦)覚悟を決めたんですよ。だから自分を変えることができて、この小所帯のMGプロモーションでも世界戦を組むことができるようになったんだと思います。だから、覚悟を決める決心をさせてくれたファンと内藤に感謝しています。

――5月9日には内藤選手の復帰戦が行われます。最後に、主催者として試合の見どころを教えてください

 試合の準備は順調に進んでいます。成功させなければいけないと思っています。皆さんは(内藤が)年を取っていると言いますけど「本当に年を取っていますか?」と言いたいです。昔の35歳と今の35歳ではまったく違うんです。以前は17歳でプロデビューしましたが、今では10代の子は怖くてリングに上げられないですよ。
 僕なりにスポーツに携わってきていろいろと勉強する中で、現役選手としては22歳〜37歳、もしかしたらもっと上の年齢がスポーツをやる適齢期ではないかと思っています。
 5月9日は、35歳の内藤が世界前哨戦を戦います。最高のコンディションで戦えるように、万全の準備をして試合を迎えたいと思います。
 内藤もMGプロモーションも、ファンやスポンサーの皆さんに支えていただき、世界王者にしていただきました。みんなの応援がわたし達の戦う糧です。今回も応援よろしくお願いします。

5.9後楽園で内藤復帰戦

興毅戦での敗戦以来となる試合、内藤が再び世界を目指して始動する 【矢内耕平】

■ボクシング内藤大助復帰戦 世界前哨戦
5月9日(日)東京・後楽園ホール 開始11:30

<スーパーフライ級 10R>
内藤大助(WBC世界フライ級3位)
リエンペット・ソー・ウィラポン(タイ国ライトフライ級王者)

宮田ボクシングジム・スポーツクラブ オフィシャルサイト
http://www.miyatagym.com/

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