長谷川穂積が君臨するバンタム級に世界的な大物が殴り込み 世界プロボクシング事情

ボクシングライター 原功

4階級制覇を目指し、長谷川との世界戦へ着々と準備を進めているアルセ 【(C)NAOKI FUKUDA】

 V10王者・長谷川穂積が君臨するバンタム級に、下のクラスから殴り込みをかけようとタイミングを計っている大物がいる。WBO世界スーパー・フライ級チャンピオン、ホルへ・アルセ(30歳=メキシコ)だ。ライト・フライ級、フライ級と合わせて3階級制覇の実績を持つ強打者は、6月にも4階級制覇を狙ってバンタム級タイトルに挑む計画を進めている。

“トラビエソ”――暴れん坊、またはイタズラ小僧という憎めない愛称を持つアルセは、1996年に16歳でプロの世界に飛び込んだ。
 98年には、19歳の若さで最初のWBO世界ライト・フライ級タイトルを獲得。2度目の防衛戦でベルトを失うが、2001年にはWBCで返り咲き。02年に東京でWBC総会が開催された際には、世界チャンピオンとして来日した経験も持っている。

 WBCのライト・フライ級タイトルは9度防衛。特筆すべきは、そのうち7度をKO(TKO)で終わらせている点である。軽量級らしからぬハードパンチと、闘志剥き出しの突貫ファイトがアルセの最大の持ち味といえる。
 05年にはWBC世界フライ級暫定タイトルを獲得し、4連続KO(TKO)防衛。まさに“暴れん坊”そのものの活躍を見せた。
 スーパー・フライ級では08年にWBA暫定タイトル、今年1月にはWBOタイトルを獲得し、3階級制覇を成し遂げた。

 足掛け15年のキャリアで、戦績は60戦53勝(40KO)6敗1分。世界戦だけでも23度(19勝14KO4敗)を数える。そんなアルセが「私のボクシング生活も終わりに近づいている。年内に4階級制覇を成し遂げて引退したい」とメディアに語ったのは今年1月のこと。熱いファイトを見る機会は残りわずかとなってしまった。
 4階級制覇に向けたプランは着々と進行中だ。まず4月24日にノンタイトル戦で前哨戦を行い、早ければ6月下旬にもWBO世界バンタム級暫定チャンピオンのエリック・モレル(米国)に挑むというのだ。
 長谷川がフェルナンド・モンティエル(メキシコ)を退け、アルセがバンタム級でも王座につけば、日本とメキシコの両スター選手の直接対決も夢ではない。バンタム級が俄然、熱くなってきた。

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[Written by ボクシングライター原功]
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