クリチコvs.チャンバース=WBOヘビー級タイトルマッチ見どころ
ここ4年間の世界戦で全勝と安定感抜群の王者クリチコ 【(C)NAOKI FUKUDA】
クリチコは06年4月にクリス・バード(米国)からIBF王座を奪い、08年2月にはスルタン・イブラギモフ(ロシア)を下してWBO王座を吸収。兄のビタリ・クリチコとともにヘビー級シーンの主役を務めている。
チャンバース、安定感抜群の王者クリチコに挑む
事実、“第2期政権”のクリチコは自分の間合いをつくるために時間を割くことが多くなった。そのために左ジャブを執拗に突き、危険を察知すると足をつかって離れるケースが目立つ。兄同様、迫力が若干目減りした印象は拭えないが、引き換えに安定感を手に入れたといえる。
パワーに頼らなくなったとはいえ、それでも身長200センチ、体重110キロ前後の巨体は相手にとって厄介だ。むしろ、その体で堅実なアウトボクシングをされる方が、相手にとっては攻略が難しくなっているといえるのかもしれない。
特に最近の3年ほどの活躍は特筆に値する。かつてのホープ、ドミニク・グイン(米国)、カルビン・ブロック(米国)を判定で下し、08年にはUSBA全米王座も獲得。09年には元王者サミュエル・ピーター(ナイジェリア/米国)にも判定勝ち。さらに世界ランカー対決でアレクサンデル・ディミトレンコ(ウクライナ)にも初黒星をつけている。この間、アレクサンデル・ポベトキン(ロシア)との挑戦者決定戦で判定負けを喫しているが、決して株を落とす敗戦ではない。
身長185センチ、リーチ191センチ、体重100キロ弱と現代のヘビー級では平均をやや下回る体格だが、その分、動きは俊敏だ。「ファースト・エディ」の異名もあるほどだ。ヘビー級ではトップ・クラスの技巧派といってもいいだろう。
ただ、パワーの点ではクリチコが大きく上回っており、正面からの力比べになるとチャンバースの勝ち目は薄い。クリチコの左ジャブをかいくぐり、鋭く踏み込んでワンツーを見舞って離れるというボクシングがチャンバースにできるかどうか。
もし、チャンバースがクリチコの体格と迫力に押されて直線的に下がるようだと、勝負はジャッジの手を煩わせることなく終わるはずだ。
Written by ボクシングライター原功
IBF・WBO世界ヘビー級タイトルマッチ(3月20日、ドイツ)
[挑戦者]エディ・チャンバース(米国/WBO世界ヘビー級1位)
放送:
WOWOW:3月22日(月)よる 9:00
再放送:
WOWOW:3月23日(火)午前10:00
193ch:3月26日(金)午後 0:45
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