2年連続最下位の横浜は「全力で戦う集団」へ=球団、選手がひとつになって逆襲を誓う

横浜ベイスターズ

加地社長、尾花監督とともに変わり始めた横浜

就任記者会見で握手をかわす尾花新監督(左)と加地社長 【(C)YOKOHAMA BayStars】

 2月1日、プロ野球界で『お正月』と呼ばれる春季キャンプインを迎えた。選手たちは出遅れることのないように、前年12月から年明け1月にかけて、ほとんどの時間を自主トレ期間に充てる。その自主トレで、横浜の選手が目の色を変えて取り組んでいる様子が報道で取り上げられた。今までもこの時期は真剣にトレーニングをしてきた。しかし、今オフのそれは明らかに違った。選手を変えるきっかけが、確かにあったのだ。

 2009年シーズンをリーグ最下位で終了した横浜にとって、今オフはいまだかつてない激動の日々となった。09年10月9日、新社長・加地隆雄が就任。記者会見では「恐れ多くも“横浜”という冠をつけている。ここ最近の負け方というものに、370万市民、900万県民の方々が不安に思い、心配している。本当にこれから殻を破らねば。今までを捨てて生まれ変わらねばいけない」と、球団が現状置かれている立場を冷静かつ厳しくとらえた。
 その約1カ月後の11月13日、尾花高夫氏を新監督に迎えた。その会見で尾花監督は「大変な仕事を引き受けるなと、身が引き締まる思いがしている。アナライジング・ベースボール(=分析野球)をモットーとし、闘争心を持って戦うチームにいたします」と宣言した。

 フロントと現場、両トップが同時期に交代。わずか3、4カ月で物事は大きく動いた。チームの選手会長である村田修一は「球団も変わった。監督も変わった。あとは自分たち選手が変わらねば強くなれない」と断言。これらすべてのことが、まるでひとつのエネルギーの塊になって、横浜を熱くし始めている。加地社長は会見の言葉にもあったように、就任以来とにかく地域の重要さを説き、行動している。キャンプイン間近の1月22日には、尾花監督と連れだって新聞社の地域支局・総局へのあいさつ回りを敢行した。今までやっていそうで、やっていないこと。それらをきめ細かく実現していく実行力が、加地社長と尾花監督の共通点のように思える。

尾花監督の異例の自主トレ、全力で戦うチームへ

砂浜でキャッチボールをする尾花監督。監督としては異例の自主トレとなった 【(C)YOKOHAMA BayStars】

 前例がないといえば、1月に尾花監督が実施した大磯での自主トレも挙げられる。通常、自主トレは選手が行うもので、監督が実施したというのを聞いたことがない。砂浜でのキャッチボールや、宿舎に泊まり込みでシーズンに備えデータの整理、分析をするなど、すべて勝利のために徹底している。
 プロスポーツに関してはいろいろな考え方があり、勝たなければ意味がないという意見や、もっとエンターテインメント性がほしいという声が聞かれる。その中で、今の横浜にとって「勝つ」ことが最優先であることは、誰しもが気づいている。それもただ勝つのではなく、そこへ向かっていくチームとしての気持ちが重要視される。そう考えると自らを鍛え、マスコミにもアピールした尾花監督の異例の自主トレや、チームの変化への思いを語った村田の言葉がより深みを増してくる。
 プレーするのはチーム、裏方として支えるのが球団、そして叱咤激励し育ててくれるのがファンであり地域である。今年のチームスローガンは「FULL SEASON FULL POWER、Analyzing Baseball」。尾花監督のモットーとする分析野球を軸に、全試合を、全力で戦う。
 また、球団では「YOKOHAMA REVOLUTION」というコミュニケーションスローガンを設け、横浜は変わるんだ、魂を込めて地元に貢献するんだ、という気持ちを宣言した。
 チームとして、企業として、戦う集団に生まれ変わろうとしている横浜。かっこ悪い姿もお見せするかもしれない。でも、何もやらない方がもっとかっこ悪いだろう。これ以上悔しい想いをしたくないし、応援して下さる皆さまに同じ思いをさせたくない。キャンプインの2月1日から新たなシーズンが始まる。力をひとつにして戦うことを決意した横浜に、ぜひ注目していただきたい。

<text by 横浜ベイスターズ広報部 八木直子>

<了>
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