学生チームが「打倒JBL」を掲げる意義=天皇杯・皇后杯バスケ オールジャパン2010 第2日
しかしその一方で、「打倒JBL」「打倒WJBL」をシーズンの目標の1つに掲げるチームもゼロではない。2008年より「オン・ザ・コート・ワン」(各チームの外国人選手は、コートに1人のみ出場を認められる)が定められ、男子は特に厳しい戦いを強いられるものの、今シーズンもチーム始動時からそんな目標を立てていた学生チームが複数あった。そのうちの1つ、男子の慶應義塾大(学生2位)の取り組みに迫る。
「JBLチームを倒そう」という目標の裏にあるメッセージ
選手に語りかける慶應大・佐々木ヘッドコーチ。シーズン最後の数日まで選手の成長を促す 【(C)JBA】
「今シーズンはこれまで高い目標をずっと彼らに掲げてきたので、考え過ぎて重荷になるかなと。今大会はチーム始動時から決めていた『JBLチームへのチャレンジ』まで、とにかく頑張ろうと臨みました」
ただ、チャレンジするだけなら、慶應大がチームとして目標に掲げる意味はない。なぜオールジャパンの3回戦となるJBLチームとの対戦にこだわってきたのか。それを再確認するために、佐々木コーチはこれが最後の大会となる4年生に向けては厳しい言葉も口にした。「今シーズン何度も大事な試合で勝ちをつかめずにきたのは、4年生がだらしないから。この大会ではどんな試合を見せるのか?」
不本意なシーズンを挽回するためのオールジャパン
佐々木コーチはこの要因を、「組織の頂点に立つものが“こうやるぞ”と言ったならその方向にチームがぎゅっと1つにならねばならないが、今年のチームはまだ4年生1人1人の個性がうまく機能していない」と見ている。だが、これは裏を返せば、シーズン最後の数日に来ても、まだ4年生たちの成長、変ぼうを信じている言葉でもある。つまり、慶應大にとって「JBLチームを倒そう」という目標には、「まだ終わりではない、さらにもう1歩成長しよう」というメッセージが込められているのだ。
佐々木コーチはいつも叱咤した後、必ず挽回のチャンスを残している。
「終わり良ければ、ということわざがありますが、それはいかにプロセスから学んで修正できたかという意味です。最後の大会をきちっと締めることができれば、やっぱり彼ら4年生を信じてよかったとなるでしょう。明日は頑張ってくれるはず」
佐々木コーチからの最後の宿題に対する答えは、大会3日目のコートにある。