ウクライナの鋼鉄の拳vs.米国の秘密兵器 王者がパワー全開でV3か
3度目の防衛を目指すWBC世界ヘビー級チャンピオン、ビタリ・クリチコ 【(C)NAOKI FUKUDA】
デビッド・ヘイ(英)が11月、ニコライ・ワルーエフ(ロシア)にきん差の判定勝ちを収めWBAタイトルを獲得。旧ソ連勢の一角は崩れたが、いまだクリチコ兄弟が天下を治めている状態に変わりはない。
そのクリチコ兄弟の兄ビタリがアメリカの秘密兵器ともいうべきケビン・ジョンソンの挑戦を受ける。
クリチコは1年前、約4年の沈黙を破って戦線復帰。そのカムバック戦でサミュエル・ピーター(ナイジェリア/米)を圧倒して3度目の戴冠を果たした。今年3月には元チームメートのファン・カルロス・ゴメス(キューバ/ドイツ)を9回TKOで一蹴し、9月には全勝の強打者クリス・アレオーラ(米)を一方的な10回終了TKOで下している。 復帰後は3KO(TKO)勝ちで、決着ラウンドが8、9、10ということでも分かるように、終盤でも息切れしていない。38歳ながら4年間の休養がプラスに作用しているといえよう。
ブランク前と比較して大きな変化を見つけるとすれば、左ジャブを丹念について慎重な試合運びを見せるようになった点だろう。迫力面では若干の目減りがあるものの、安定感は増した。202センチの身長と203センチのリーチを存分に生かした戦い方をする無類の強打者を攻略するのは容易ではないはずだ。
ジョンソン勝利の鍵は得意のジャブ
まだまだ世界的には無名の存在だが、昨年は元世界王者ブルース・セルドン(米)に5回TKO勝ち、今年5月にはアテネ五輪ヘビー級8強のデビン・バルガス(米)に6回TKO勝ちと、着実に実績を積み重ねている。パワー不足の感は否めないが、ジャブを中心にスピードがあり、タイミングのいいカウンターを放つなど高い運動能力を誇る。
経験ではチャンピオンに大きく劣るが、決まっていたオドラニエル・ソリス(キューバ/ドイツ)戦をキャンセルしてクリチコに挑むほどだから、攻略に絶対の自信を持っているのだろう。
パワーに決定的な差があるだけに、チャンピオンの圧倒的有利は動かない。重厚なプレスから繰り出す右が決まれば早期決着の可能性も十分ある。
ジョンソンがヘビー級の「中心人物」になるためには、まず得意のジャブで刺し勝つことが絶対条件になる。そのうえで左右に揺さぶりをかけながら緩急をつけたボクシングをすれば、勝機は広がるはずだ。
この試合の模様は、12月14日(月)夜9時からWOWOWで放送する。
Written by ボクシングライター原功
放送:
191ch: 12月14日(月)よる9:00
再放送:
191ch: 12月15日(火)午前11:00
193ch: 12月18日(金)午前10:30
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