狩野×長谷川「僕らが攻撃を引っ張っていく」=横浜FMの攻撃を担う若きダブル司令塔
長谷川「シュートを打たなければ、怖い選手にはなれない」
長谷川は清水戦で1年ぶりのゴールを狙う 【佐野美樹】
狩野 自分たちがっていう意識は持つようになりました。まだまだ遠慮してしまうこともあるけど、チームを引っ張っていきたい。年下の選手が考えていること、悩んでいることは僕も経験しているので分かってあげられるし、いい方向に導いてあげられればと思う。
長谷川 僕は試合に出るのと出ないのとでは、こんなにも違うのかということを実感した。試合をしていく中で通用するもの、しないものが分かってくるので。それに僕の年代はまだチームの中で一番若い。だから思いっきりやれればと思う。自分は思いっきりプレーして失敗しても、周りがフォローしてくれる。むしろ、あいつ、頑張ってるよな、走ってるよなって思ってもらえるように、思い切ったプレーをしたい。佑二さん、マツさん、そして健太くんと、それをフォローしてくれる人がたくさんいるので。
――横浜FMはシュート数、決定機の数で言えばリーグ屈指という印象があります。スピードがあって、パスもつながるサッカーは見ていて面白いのですが、一方で勝ち切れない試合が多いですよね
狩野 最後のところで決め切れていない。1本のチャンスでしっかり1点奪えれば結果も違っていた。チームとして、フィニッシュの手前までをきれいに作れると、それでちょっと満足してしまうところがある。僕らをはじめ、うちのチームは、「ここだ!」という場面で思い切りが足りないときがある。
長谷川 監督には、よく『シュートを打て』って言われます。でも、自分がシュートを打てる態勢でも、さらに好位置に味方が見えると、ついついパスを選択してしまうんですよね。
狩野 ちょっとその気持ち分かる。2人ともタイプが似ているので。横に出して、決めてくださいっていうのがプレースタイルとして好きなんですよ。でも、それじゃダメだって分かっている。調子が良いときは、やっぱり迷いがないというか、最後まで、シュートまで打ち切っているんですよね。第29節の名古屋戦(2−1で横浜FMが勝利)がそうだった。名古屋戦でゴールしたときは迷ったり、考えすぎたりというのがなかった。まさに自然体。そういうときの方が結果は出ているし、自分の持ち味も発揮できている。
長谷川 いくらきれいに崩してもシュートを打たなければ入らない。それにシュートを打たなければ、相手も前に出てこないし、怖い選手にはなれない。僕がそれに気付かされたのが、最近試合に出られるようになってから。気が付けば残り試合も少なくなっているけど、残りの試合、特にホーム最終戦では、チャンスだと思ったら迷わず「打とう」と思います。
――多少、自分のプレースタイルを変えてでも、シュートに対する意識が高まっていると?
狩野 最終的には意識の問題だと思う。打って外している方が、まだいいんですよね。
長谷川 それにJリーグではきれいにゴールが決まることなんてほとんどない。相手も必死に来ているし、最後は泥臭くいかなければゴールは決まらない。シュートを打てば、GKがはじいてチャンスになるかもしれないし、とにかくチャンスがあったら打っていかないと。今はそう思えるようになった。
――では、その清水戦で2人はどんなパフォーマンスを見せてくれますか?
狩野 やっぱりゴールを決めたいですね。
長谷川 僕もゴールですね。
狩野 でも、お前、そういえば、まだ今季1得点でしょ?
長谷川 そうなんですよ。ナビスコカップの1点だけなんですよね。やっぱりゴール、ゴールって思っていると空回りしそうなので平常心で……あっ、でも清水戦の開催日って確か11月29日ですよね? 実は去年の11月29日の東京ヴェルディ戦で、僕、ゴールを決めているんですよ。
狩野 おっ、東京ヴェルディ戦の話を持ち出してきたね。
長谷川 プロ初得点だったので今でもしっかり覚えていますよ。あれは後半……。
狩野 ロスタイム?
長谷川 そう、ロスタイムに決めたんです。
狩野 それでマン・オブ・ザ・マッチ?
長谷川 そうそう。マン・オブ・ザ・マッチを獲得したんです。
狩野 じゃあ、今季最終戦のマン・オブ・ザ・マッチを2人で争いますか?
長谷川 いいですよ。望むところです。負けませんよ!
<了>
(取材:原田大輔)
■狩野健太/Kenta KANO
1986年5月2日生まれ。静岡県出身。176センチ/65キロ。MF。静岡学園高校卒業後、2005年に横浜FMに入団。年々出場機会を増やすと、今季は主力に定着した。プレースキッカーを務めるようにテクニックに定評があり、今季は主に左サイドMFとしてゲームを操る。
■長谷川アーリアジャスール/Aria Jasuru HASEGAWA
1988年10月29日生まれ。埼玉県出身。186センチ/70キロ。MF。横浜FMユースで育った生え抜き選手。2007年にリーグデビューを飾り、今季でプロ3年目を迎えた。長身ながら足元がうまく、スピードとテクニックを生かしたドリブルとパスで攻撃に貢献する。