“ハイパー・バトル・サイボーグ”のジェロム・レ・バンナに、復活の兆しが見えた。前回のＷＧＰ開幕戦では、武蔵の引退試合の相手を務めたバンナ。「Ｋ−１　ＷＯＲＬＤ　ＧＰ　２００９　−ＦＩＮＡＬ−」（１２月５日、神奈川・横浜アリーナ）ではセーム・シュルトと対戦するが、かつての強さを取り戻しつつある。

――まずはＷＧＰ世界ＦＩＮＡＬ１６で武蔵選手の引退試合の相手を務めた感想をお願いします

バンナ　ムサシが引退するという部分もあって、試合ではそこまでアグレッシブに攻められなかった。それは、ファイターとして彼を尊敬していたからだ。もちろん悪い試合じゃなかった。いい試合だったし、バランスのいい内容だった。お互いに素晴らしい試合を見せられたと思う。

――ヒット＆アウェイを得意とする武蔵選手が、打ち合いに来たことに関してはどう思われましたか

バンナ　ムサシは打ち合いにきたね。もちろん、勝ちたいから前に来ていたんだろうな。引退する前にトーナメントで頂点に立ちたかったんだと思う。その気概を感じたよ。彼のことは好きだし、武士道を持っている。彼の顔は美しく見えたね。

――武蔵選手の打ち合いを受けてくれたバンナ選手の評価は高いですよ

バンナ　そう思ってくれてうれしいよ。彼に敬意を示すということは、それだけ試合内容がハードになるということを意味していた。それがオレの役目だったんだ。そうすればいい試合になる。ムサシはもちろん、日本のことも好きだから、試合に集中するのは難しかった。でも、彼は強い試合を見せてくれた。オレの体を見れば分かる。かなりのダメージが残っているからね。彼がなんで引退するのか分からないよ。試合後もロッカールームで、「なぜ辞めるんだ!?」と問い詰めた。ムサシのパンチは、テイシェイラよりもよっぽどハードなパンチだったぜ。見ろよ、この傷（Ｔシャツを脱いで上半身の傷を見せる）。まったく、なんで引退するんだろうね。

――リング上で、抱き合ったときの会話は？

バンナ　なんで辞めるのか分からない、と言ったんだ。まだまだその気になれば、アリスターにだって勝つことができる。ムサシはオレと同じくらいの時期に始めて、ピーターも倒しているし、レミーともいい試合をしている。なんで辞めるんだろうな。理解に苦しむよ。とにかくオレは、彼の持つ武士道精神が好きなんだ。彼は本当の戦士だった。

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