3日がかりの試合を制したナダル、調子を崩したゴンサレス=全米オープンテニス 第13日

秋山英宏/WOWOW

全米オープン第13日、雨で順延していた男子シングルス準々決勝は、ナダルがゴンザレスを下し4強入りを果たした 【Getty Images】

 ラファエル・ナダル(スペイン)とフェルナンド・ゴンサレス(チリ)による男子シングルス準々決勝は、雨の影響で3日がかりの試合となった。
 現地時間12日に行われた全米オープン第13日、この日は第2セットのタイブレーク、ナダルが3−2と先行した場面から再開したが、ゴンサレスはまったく精彩のないプレーで敗れていった。

「今日はどうしてしまったんだい?」という記者の質問に、ゴンサレスは「それは言えない。なぜなら答えを持っていないからだ」と答えた。「故障があったのか?」と尋ねられても「思うようにボールが打てなかったんだよ。僕のショットは、いつものように相手にダメージを与えることはできなかった。ベストは尽くそうとしたんだ」と答えるだけだった。
 前日は会場で「7時間、試合開始を待たされた」というゴンサレスだが、それはこの不振の原因ではない、と断言した。

雨天中断で尻すぼみになってしまった試合

 2日前、ナイトセッションとしてスタートしたこの試合。最初は2人のベースライナー(グラウンドストローク主体に戦う選手)によるスリリングなラリーの連続だった。
 第1セットを先取したナダルだったが、腹筋痛でトレーナーを呼ぶ場面もあった。ゴンサレスの思い切りのいいグラウンドストロークが、手負いのナダルを制する可能性もある――。
 そんな期待がふくらんだところでの、雨天中断だった。

 2日後に再開された試合は、まったく別物だった。どんな理由なのか、思うようにならないプレーにいら立つゴンサレス。スリルを感じる場面もなく、試合は尻すぼみになっていった。
 仕切り直しの勝負を制したナダルの勝利にけちを付けるつもりはないが、あのまま試合が続いていたら、と思わずにいられない。試合が白熱すればするほど、ゴンサレスは燃える。ナダルもしかり。あのまま続きが見たかった。

自然環境の影響を受けるのもテニス

 この試合が3日がかりになったおかげで、男子シングルス決勝は月曜日に行われることになった。大会にとって影響は小さくないはずだ。屋根をつけるべきではないか、という議論が再燃するだろう。私はどちらかといえば、テニスは自然環境の影響があるから面白い、という考え方。順延になったおかげで、ゴンサレスのように地獄を味わう選手もいる。それもまたテニス。確かに「あのまま続いていたら」とは思ったが、自然の中で行うテニスは、先が読めないから面白いのだ。

 車いすテニスの国枝慎吾(ユニクロ)も、11日は1日待ちぼうけを食わされた。だが、この日の午前中、雨の止んでいるうちに試合を済ませた国枝は「待つのもテニスですから」と涼しい顔だった。確かに、待つのもテニス、順延や中断に調子を狂わされるのもテニス、なのかもしれない。

 日程が大きく狂うのは困りものだが、自然には逆らえない。

<了>

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