“5強”が出そろう男子 不気味な存在のデルポトロ=全米オープンテニス

秋山英宏/WOWOW

全仏に続き、全米でも準決勝進出を果たしたデルポトロ。実績は他選手に劣るが、不気味な存在だ 【Getty Images】

 本来なら「男子シングルスで4強が出そろった」と書けるはずだったが、現地時間10日のナイトセッション、ラファエル・ナダル(スペイン)−フェルナンド・ゴンサレス(チリ)戦が雨で順延となったため、ベスト4のいすはまだひとつ空いている。現時点で勝ち残っているのは「5強」。まずまず順当な顔ぶれと言っていいだろう。

 4大大会のタイトル保持者がロジャー・フェデラー(スイス)、ナダル、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の3人。ゴンサレスは優勝こそないが、07年全豪で決勝に進出している。
 唯一、決勝の舞台に立っていない選手が、第6シードのフアンマルティン・デルポトロ(アルゼンチン)だ。5強で最年少の20歳、実績も劣るデルポトロだが、上位陣にとっては不気味な存在だろう。

全仏ではフェデラーに冷や汗をかかせたデルポトロ

 昨年の全米オープン4回戦、快進撃を続けた錦織圭(ソニー)を破ったのが、このデルポトロ。198センチの巨漢だが、たれ目で、愛嬌(あいきょう)のある顔立ちだ。昨年のジャパンオープンでは決勝に進出したが、腹痛のため不本意なプレーに終始し、準優勝。そんなエピソードもあって、どこか憎めない男というイメージがある。
 テニスは、もともと手堅い守備がベースだった。その圧倒的なディフェンス力で、昨シーズンはツアー4大会連続優勝の離れ業を演じている。

 別の一面を見せたのは今年の全仏オープン準決勝。4大大会で初めて準決勝に進出したデルポトロは、長身を生かし、高い打点から直線的なボールを打ち込み、生涯グランドスラムの懸かるフェデラーを果敢に攻めた。結局、敗れたものの、試合は緊迫し、フェデラーに冷や汗をかかせた。
 個人的には、デルポトロという選手をこのとき、大いに見直した。こういう攻撃的なテニスができれば、いつかフェデラーを破れるのではと感じさせる試合だった。

全米オープンが「最も好きなトーナメント」

 今大会、準々決勝ではマリン・チリッチ(クロアチア)との同世代対決を制した。チリッチが最初から飛ばしても動じなかったデルポトロは、4‐6,6‐3,6‐2,6‐1の逆転勝ちで、全仏に続く2度目のグランドスラム4強入りを果たした。

 試合後の会見では「全米オープンが最も好きなトーナメント。ここで勝つことが夢だ」と語った。
「すべてが好きだよ。スタジアムも、観客も、大会のスタッフも、それに(ニューヨークの)街も。一番勝ちたいグランドスラムなんだ。その夢に一歩近づいたね」。
 ハードコートは得意のサーフェス。アルゼンチンからの応援団が来てくれることも、全米が好きな要因だという。

 準決勝ではナダル−ゴンサレスの勝者と対戦する。
「どちらが来てもタフな試合になる。うんとファイトしなくてはいけないね」とデルポトロ。雨天で日程が狂ったことも、デルポトロには有利に作用しそうだ。準決勝では、20歳の巨漢が、大きな仕事をするかもしれない。

<了>

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