元女王対決に、19歳対決=必見の女子シングルス準決勝

秋山英宏/WOWOW

力強さを身につけたウォズニアッキ。19歳対決を制し、初の決勝進出を果たせるか!? 【Getty Images】

 元女王対決に、19歳対決。今年の全米オープンテニス、女子シングルス準決勝は必見だ。開幕前には、ウィリアムズ姉妹(ともに米国)や、2年ぶりにツアー復帰したキム・クライシュテルス(ベルギー)など、「オールドウエーブ」中心の大会になるのではないか――そんな予感がしていた。

 第8シードのビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)、第9シードのカロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)など、20歳前後の若手にも勢いがあるが、彼女たちは四大大会で勝ち上がるには、ひ弱すぎると感じていた。メンタル面からくるものなのか、経験の乏しさなのか、ショットの強烈さに見合うだけの強さが感じられなかったのだ。

力強さを身につけたウォズニアッキ

 だから、ウォズニアッキのベスト4進出は驚きだった。準々決勝では、地元が期待するメラニー・ウダン(米国)を6−2、6−2で、あっさり倒した。
「彼女は快進撃を続けていたし、地元の人気選手との対戦だから、本当にタフな試合だった」と振り返ったウォズニアッキ。
 ひ弱さが露呈するなら、この試合だと思っていた。しかし、ウォズニアッキは揺るがなかった。完全アウエー状態でも、自分のプレーを貫いた。

 テニス自体の変化、外見上の変化も著しい。今のウォズニアッキは、ジュニアで森田あゆみ(キャノン)と優勝争いをしていたころの少女ではない。体つきはアスリートらしくなり、ショットのパワーも増した。これは彼女をサポートするアディダスチーム――アンドレ・アガシの元コーチ、ダレン・ケーヒル、同じくアガシのフィットネスコーチだったギル・レイエスらとのトレーニングのたまものなのだろう。

ノーマークで勝ち上がったウィックマイヤー

 そのウォズニアッキと準決勝で対戦するのは、同じ19歳のヤニナ・ウィックマイヤー(ベルギー)だ。世界ランキングは50位。まさにノーマークでここまで勝ち上がってきた。

 9歳の時に母親を病気で亡くし、「悲しい思い出とさよならするために」父親と2人で米国フロリダに移住。そこで2年半のテニス漬けの生活を送ったのち、母国ベルギーに戻ったという。肉親との死別という悲しい背景が、ベルギーの先輩ジュスティーヌ・エナンと重なる。もっとも、ウィックマイヤーが「尊敬する選手」として名前を挙げているのは、ベルギーの同じ地域の出身者であるキム・クライシュテルスだという。

 同じ19歳だが、対照的な二人である。ジュニア時代から日の当たる道を歩いてきたウォズニアッキと、この全米オープンで才能を開花させたウィックマイヤー。ともにグランドスラムの準決勝は初めてだ。どちらが決勝の切符をつかみ、飛躍するか。興味深い対戦だ。

事実上の決勝戦とされるセレナvs.クライシュテルス

 もう一方の準決勝は、第2シード、セレナ・ウィリアムズ(米国)とキム・クライシュテルス(ベルギー)の、“元女王”同士の顔合わせとなった。安易な言い方だが、どうしても事実上の決勝戦という言葉を使いたくなる。

 ともに世界ランキング1位の経験者。実績、調子とも甲乙つけがたい。全米は、セレナが99、02、08年と3度制覇。一方のクライシュテルスは05年に優勝している。セレナは準々決勝で、勢いのあるフラビア・ペンネッタ(イタリア)にストレート勝ち。クライシュテルスは4回戦で第3シードのビーナス・ウィリアムズ(米国)を倒している。過去の対戦成績はセレナの7勝1敗だが、これはあまり参考にならないだろう。

 女子テニス界で「一つのトーナメントでウィリアムズ姉妹の2人を倒す」ことは一つの金字塔と見られている。過去にその“偉業”を達成したのは、クライシュテルスを含む6人。彼女がこの準決勝でセレナを破れば、初の2度目の偉業達成となる。もちろんセレナも、やすやすと勝ちを譲るはずはない。まさに大一番。熱戦は必至だ。

<了>

「全米オープンテニス2009」
2009年8月31日(月)〜9月14日(月)WOWOWにて連日生中継!
14日間にわたり再び世界中を熱気と感動で包みこむこの全米の模様を生中継中心に合計約150時間という圧倒的ボリュームで連日放送!(※デジタル193ch含む)

詳しい情報はWOWOW TENNIS ONLINEへ!
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント