初代タイガーマスク 佐山サトルが危険な覚悟!=9.11大会プレビュー

安田拡了

初代タイガー(左)、高山善廣の異次元激突まで待ったなし! 【リアルジャパンプロレス】

 初代タイガーマスクはここ数年、最近のプロレスが変貌してきたことを憂い、かつてのストロング性を見せつけるために長州力、藤波辰爾、鈴木みのる、高山善廣、三澤光晴などを次々とリアルジャパンのリングに上げてきた。

 そして9・11後楽園ホール。

 よほど初代タイガーマスクのコンディションがいいのだろう、ここへきてとんでもない大傑作カードが出現することになった。なんと高山善廣とのシングルでの激突が決定したのだ! 高山も「俺との試合にかけるという。楽しみだ」と眼を輝かせる。

初代タイガーのコンディション抜群!?

絶好調を思わせる初代タイガー(右)、高山にも必殺のソバットが炸裂するか 【t.SAKUMA】

 ここ最近、初代タイガーのコンディションがまことに良い。リアルジャパンだけではなく、ドラディションなどのリングに積極的に上がっていくことで、肉体が若返ったかのようにこなれてきたのだ。
 技のキレも素晴らしいし、一発一発の打撃の重みも増してきた。自分のことは自分が一番よく知っている。その中で対戦相手のプランが高山となった時、即座に「よし、やろう!」となったのだという。
 年は食ったとはいえ、パワフルさは衰えることなく、運動能力抜群の初代タイガー。絶好調男の怪物・高山善廣とシングル激突を快諾した裏には、やはりコンディションの良さがあるらしい。
「年寄りだからといって、遠慮しないで欲しい。こちちも思い切っていく」
 と意気込みも凄いのだ。

 初代タイガーの身長は173センチ。高山との身長差は23センチもある。大げさにいえば、猪木も大苦戦したあの大巨人アンドレ・ザ・ジャイアントとシングル戦をやるようなもの。
 アンドレ・ザ・ジャイアントが日本のリングで大暴れしていたのは25年以上前のこと。
 身長223センチ、体重236キロ。日本のホテルのトイレは小さくて入らないのでバスルームで用を達していたくらいで、ロープはひとまたぎ、リングを歩けば地揺れがして、ジャイアント・プレスなどやろうものなら相手レスラーばかりかリングも悲鳴を上げた。
 ジャイアント・プレスは衝撃度が大きすぎるので、アンドレ自身も気を使いながらやんわりプレスしていたことを思い出す。もちろんプレスした重みだけで、相手は抜け出せないから、それだけでいいのだ。
 とにかく、とんでもない怪物だった。
 そんな怪物だから、存在感だけで絵になったものだった。
 馬場がそんなアンドレを気に入って1990年に摩天楼コンビを組んだことがあった。馬場は自分のような巨人を評価し、アンドレとは非常に仲が良かったのだ。体が大きいというのが、どのくらいの破壊力を持っているのかをよく知っていたし、タッグとして、見た目もいいからだった。

馬場が評価していた高山の強さ!

馬場さんも評価した高山、初代タイガー相手にも大暴れを見せる 【t.SAKUMA】

 その馬場が晩年、パートナーとして大いに認めていたのが高山善廣だった。高山は日本人レスラーとして196センチ、125キロ。現在日本に来ている大型外国人のジャイアント・バーナードが193センチだから、その大きさのほどは今さら言うことでもない。
 若い頃の馬場はあの巨体にしてスポーツ万能だったから動きもパワーもあって、あっという間にエースになった。いまの高山はいわば全盛期の馬場と言ってもいい。
 あのビック・ブーツは怖い。そして巨体から放たれる破壊力抜群のミドルキックは寒気がするくらいだ。

 その高山が静かな口調で初代タイガーを挑発する。
「以前、(言うまでもなく晩年の)馬場さんと対戦した。いまさら馬場さんとやるのか?と思ったが、やったあと“やって良かった”と思った。どうせなら“やって良かった”と思えるような試合をやりたいね」
 こう言われてはナメられたのも同然だ。初代タイガーはなぜ高山とやる決心をしたのか。現在の思いをぶちまけた。そこには初代タイガーの強い使命感があった。

プロレス復興のための激戦

初代タイガー(左)が今あえて高山と対戦する理由――覚悟の雄姿を見よ! 【リアルジャパンプロレス】

「私はリアルジャパンや自分のために闘おうと思っているのではないんです。プロレス復活のためにだけ賭けていきたい」
「いまのプロレスは間違った方向にいっている。プロレスは学芸会になっている。学芸会じゃお客さんはついてこないし、レスラーとしての凄みがない。スクワットを何千回もやり、セメントも何時間もやって、それを基礎としてプロレスをやる。それが重要なんです」

 初代タイガーが、いまもっともノっている怪物・高山善廣と対戦する理由。
 それは本物の強さを後輩たちや、いまのプロレスファンに知ってもらうため。そして本物のプロレスの復興を願うためである。9.11後楽園ホール大会は初代タイガーが全身全霊で高山を迎えうつ。あまりに危険。だからこそ覚悟の勇姿をなんとしても見て欲しい。

鈴木みのるを心強く思うスーパー・タイガー

みのる(右)にゲキに、スーパータイガーは今度こそ応えるか 【t.SAKUMA】

 スーパー・タイガーは鈴木みのるとタッグを組んで、今回で3回目。試合が終わるごとに鈴木からは厳しく叱られてきたが、プロレスに対する熱い気持ちをもらってきたという。
 日ごろから口が悪くて誤解されやすいが、実を言うと鈴木ほど後輩思いの男はいない。パンクラスでも一度鈴木の下に付いた後輩が慕って離れないのは、そういうものがあるからだ。
「接すれば接するほど熱い人。そして優しい。そんな鈴木さんの思いを背に試合をする!」とスーパー・タイガーは意気込む。今回の相手はサスケと長井満也のタッグチーム。スーパー・タイガーにとってサスケは初対決だが、きっと鈴木は要所要所で激しい檄を飛ばすだろう。

「長井選手にはやられっぱなし。今回の試合はそうはいかない」
 この試合はメインに熱さをつなげなければならないセミファイナル。厳しい鈴木の声を背にしながらぶつかっていくスーパータイガーの激しさを見てみたい。

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