問われる「シード」の重み=全米オープンテニス第9日

秋山英宏/WOWOW

第2シードのマレー、20歳のチリッチに敗れる

第2シードのマレーが4回戦敗退。シードの重みが揺らいでいる 【Getty Images】

 男子の第2シード、マレーが早くも敗退。シードの重みが感じられない。
 大会第9日、男子シングルス4回戦で第2シードのアンディ・マレー(英国)が第16シード、マリン・チリッチ(クロアチア)に敗れる波乱が起きた。マレーは、特に第2セット以降は覇気の感じられないプレーで、20歳の新鋭に屈した。サービスリターンが返らず、ビッグサーバーのチリッチは面白いようにポイントを重ねていった。
 マレーはなんとか自分を奮い立たせようとするのだが、ショットのクオリティーが上がっていかない。それでまた気落ちして、身振りなどのパフォーマンスも弱々しくなっていく。その繰り返しだった。

 少し前から左手に痛みがあったというマレー。しかし彼は「それは関係ない。今日はプレーが良くなかった。第1セットにはチャンスがあったが、それを逃したことで相手に主導権を渡してしまい、それを取り戻すことができなかった」と話し、落胆の表情を見せた。記者が「こういう(調子の良くない)日だって、君はなんとかして勝ってきたじゃないか。今日はなぜそれができなかったのか」と問いかけると「分からない。だから、がっかりしているんだよ」というのが答えだった。「なにか、試合に入りこんでいくことができなかった」と言うのだ。

 予兆はあった。ポール・カプデビル(チリ)との2回戦でも、第2セットで「けだるい感じ」になり、エネルギーが落ちたように感じたという。このあたりから違和感があったのだろう。“のらりくらり”が持ち味とはいえ、今日のような試合はいたただけない。第2シードとして大会に臨み、優勝争いの一角と見られていたのだから、なおさらだ。「言い訳をするつもりはないよ。グランドスラムでそういうことはあってはならないことだからね」というのだから、彼も自覚はしている。

シード上位選手の足元の危うさ

 今年の初頭から、男子テニスは3強時代に入った、という見方が優勢だった。マレーは昨年の全米ではグランドスラム初の決勝進出を果たしていた。ロジャー・フェデラー(スイス)を対戦成績で6勝3敗と圧倒しているだけに、フェデラー、ラファエル・ナダル(スペイン)の2強を脅かす存在として、マレーが大きくクローズアップされたのだ。この夏には、故障のナダルを追い落とし、ATPランキング2位に上り詰めた。今大会は、順当にいけば準決勝でナダルと当たるドロー。これは、王者フェデラーへの挑戦権を懸けた試合になるはずだった。それだけに4回戦敗退は残念だ。
 女子の第1シード、ディナラ・サフィナ(ロシア)が消え、男子の第2シードも消えた。混戦模様で、上位陣受難の大会といえばそれまでだが、シードの重みがあまり感じられないのも事実。フェデラーという柱が揺るぎないだけに、余計にサフィナやマレーの足元の危うさが物足りなく感じられる。

<男子シングルス4回戦>
マリン・チリッチ(クロアチア)3−0 アンディ・マレー(英国) 
(7−5、6−2、6−2)

<了>

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