日本ジュニア、大舞台で見えた明るい兆し=全米オープンテニス 第8日

秋山英宏/WOWOW

シングルスに6選手送り込むも、4選手が初戦敗退

 全米オープンテニス第8日が行われた7日(現地時間)は、日本のジュニア選手にとっては残念な1日だった。本戦シングルスに臨んだ男子の関口周一(クリエイトTAFTC)、内山靖崇(札幌協会)、女子シングルスの大前綾希子(東京・学芸館高)、尾崎里紗(ロイヤルヒル81TC)とも1回戦敗退という結果に終わった。
 前日、江原弘泰(Fテニス)が1回戦を突破し、女子シングルス第13シードの井上雅(椙山女学園高)はまだ初戦を迎えていないが、この日、4人が初戦で敗退するとは予想もしていなかった。

 この結果は、厳しく受け止めるべきだろう。初戦から強豪に当たった選手もいたが、いずれにしても、2つ3つと勝ち上がっていけるだけのレベルには達していなかったのだ。 ウィンブルドンでは井上がベスト4、江原が3回戦進出と結果を残し、今大会にもシングルスのドローに男女各3人を送り込んだ日本ジュニアだが、まだ本当の力はないと見るべきなのかもしれない。

将来のプロ転向を見据えて戦うジュニア選手たち

 ただ、結果とは別に、明るい兆しも見えている。予選を勝ち上がって今日の本戦1回戦に臨んだ尾崎は、94年生まれの15歳。日本の中学生がグランドスラムジュニアの本戦に出場できるとは、少し前には考えられなかった。尾崎は今年の全日本ジュニア選手権16歳以下の準優勝者。優勝したのは大前だった。その大前も尾崎も、国内のジュニア大会を最終目標にするのではなく、将来のプロ転向を見据え、そのための取り組みを始めている選手たちだ。

 尾崎はこの夏、オーストラリアに遠征。大会はトップグレードではなかったが、1週目の大会で準優勝し、翌週は見事優勝している。全米予選の前週は、カナダの大会でベスト8に入っている。そうした取り組みが、今回の本戦出場に結びついたのだ。
 本戦の出場権をつかんだ日本の6人は、それぞれ海外のトーナメントでもまれ、力をつけた結果、この舞台に立ったのである。
 杉山愛も彼らに「トライしているのはいいこと。ここで通用すれば一般に移行しやすい」とエールを送っている。

尾崎、明日につながる惜敗

 1回戦で敗れた尾崎だったが、内容は素晴らしかった。第2セットでマッチポイントを逃し、経験でまさる相手につけ込まれて逆転を許したが、プレーの中味では決して引けを取っていなかった。
「フォアハンドで展開し、最後はネットに出るテニスがしたい」という尾崎。スピンの効いたボールで相手を下がらせ、逆に自分はコートの内側に入っていって、早いタイミングで展開する、分かりやすく言えばジュスティーヌ・エナン(ベルギー)のようなテニスを目指しているのだと思う。この試合でも、その狙いがよく分かった。仕留める寸前でミスをする場面もあったが、この大舞台で、自分のやるべきテニスを遂行したことには大きな意義があるはずだ。
「外国人のトップの選手のボールは質が違う。でも、それ以上のボールが打てるように練習したい」と尾崎。惜敗の試合後に見せた涙は、明日につながるはずだ。

<了>

「全米オープンテニス2009」
2009年8月31日(月)〜9月14日(月)WOWOWにて連日生中継!
14日間にわたり再び世界中を熱気と感動で包みこむこの全米の模様を生中継中心に合計約150時間という圧倒的ボリュームで連日放送!(※デジタル193ch含む)
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント