つかみどころのない強さ。第2シードのマレーが3回戦へ=全米オープンテニス 第5日
“2強時代”に異変を起こしたマレー
全米オープン第5日、第2シードのマレーは、1セット奪われたものの、危なげない戦いで3回戦に進出した 【Getty Images】
しかし、この夏に異変が起きた。ひざの故障で2カ月ほどツアーを離れたナダルに代わり、アンディ・マレー(英国)がランキング2位に上がったのだ(8月17日付)。
従って、この全米オープンは第1シードがフェデラー、第2シードがマレー。グランドスラムで上位2シードが「フェデラー+ナダル」以外の組み合わせになるのは、ナダルが故障で欠場した06年全豪オープン以来だという(今年のウィンブルドンはナダルが第1シードだったが、故障で出場できなかった)。
マレーは今季すでに5大会に優勝している。その実力はもちろん第2シードにふさわしいのだが、格とかオーラという点では、まだ2強には劣る。フェデラーとナダルは実力伯仲、プレースタイルも対照的で、なにより2人は数多くの名勝負を演じてきた。その2人が“東西正横綱”という感じでドロー表の両端にいたほうが、バランスが取れるというか、収まりがいいように感じる。
マレーという選手が、例えばナダルのように分かりやすい特徴を持っていればいいのだが、この選手の特徴、強さの要因は、ちょっと見ただけでは分かりにくいから困る。
第2セットでスローダウンも、危なげなく3回戦進出
「とてもいいセットがあり、ダメなセットがあった。でも、許される範囲だと思う。よく立て直すことができたよ。なぜか分からないが、少しエネルギーが落ちて、けだるい感じになってしまったんだ。でも、最後の大事なところで立ち直ることができた」と試合を振り返ったマレー。暑さで体調不良があったのかもしれないが、それにしても、第2セットの突然の不調は理解に苦しむ。ナダルは常に100パーセントだし、フェデラーは相手が強くても弱くても手を抜かず、横綱のように戦う。その点、ときどき今日のようなプレーを見せるマレーには、物足りなさを感じる人もいるだろう。
ただ、そもそも、つかみどころがないのがマレーという選手。要は、くせ者タイプなのだ。ウィンブルドンでのマレーは、久しく途絶えている地元選手の優勝を期待する英国国民とメディアの重圧に苦しんだが、この全米は、注目されていないのをいいことに、好き勝手にプレーできるだろう。
この日の2回戦は、そういう試合だったのかもしれない。
調子を上げていくのはこれからだろう。彼は相手が強ければ強いほど、いいプレーをする。相手の好ショットには、それを上回るショットで切り返し、1本で攻守を逆転する。慎重なラリーから、一転、攻撃的なショットを畳みかけていく。そのあたりのメリハリが真骨頂なのだ。今日は、プレーの出来そのものにメリハリがついてしまったが……。
順当にいけば、ナダルとは準決勝で対戦が予想される。フェデラーと当たるとすれば、決勝だ。フェデラーには対戦成績で6勝3敗と勝ち越している。くせ者のマレー、“2強”にとってやっかいな相手であることは間違いない。
<男子シングルス2回戦>
アンディ・マレー(英国、第2シード) 3−1 ポール・カプテビル(チリ)
(6−2、3−6、6−0、6−2)
<了>
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