ナダル復活、その裏に隠されたもう一つのドラマ=全米テニス
身に覚えのない汚名、そして復帰へ
身に覚えのない汚名を着せられたガスケだが、全米でグランドスラム復帰を果たした 【Getty Images】
同世代のラファエル・ナダル(スペイン)は、全仏オープンでの記者会見で「彼はコカインなんて絶対使っていないよ。親しい友人だし、全面的にサポートする」とガスケを擁護した。その後、ITFの独立裁定委員会は、故意の摂取ではなかったとの本人の主張を認め、出場停止を2カ月半に短縮した。報道などによると、パーティーで知り合った女性がコカインを使用していて、キスを通じて微量のコカインが体内に入ったということらしい。ガスケも、ファンもひとまず胸をなで下ろしたことだろう。
ナダルvs.ガスケ、盟友の対決は一方的な展開に
故障明けを感じさせない快勝劇で2回戦へ駒を進めたナダル 【Getty Images】
全豪オープン以来3大会ぶりのグランドスラムとなった今回の全米オープン。1回戦の相手が、擁護してくれたナダルというのも不思議な巡り合わせだった。そのナダルも、ひざの故障が回復し、ほんの数週間前にツアー復帰を果たしたばかりだった。
カムバックに懸ける両者の試合は、一方的な展開となった。ラリーを長引かせたくないガスケは早めの展開を狙うが、ナダルは容易に崩れない。それ以前に自分のプレーがガタガタだった。以前は魔法の杖のようだった彼のラケットも、この日ばかりは粗いショットを打ち出すだけだった。6−2、6−2、6−3、試合時間わずか1時間41分。ガスケはブレークポイントを握ることさえできなかった。楽しみな対戦はワンサイドゲームに終わった。
「3カ月プレーできず、練習さえあまりできなかったんだ。元の状態に戻るのは大変だよ。でも、復帰できてハッピーだ。復活できるのはいつになるか分からないけど、必ずできると信じている」
不運に見舞われたガスケに、テニスの神様はまた微笑むだろうか。その日が早く来ることを願うばかりだ。
<男子シングルス1回戦>
ラファエル・ナダル(スペイン) 3−0 リシャール・ガスケ(フランス)
(6−2、6−2、6−3)
<了>
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