サフィナ、前途多難を思わせる初戦突破=全米オープンテニス 第2日

秋山英宏/WOWOW

世界ランク1位のサフィナが、なんとか1回戦を突破 【Getty Images】

 全米オープンテニス第2日が1日行われ、女子の第1シード、ディナラ・サフィナ(ロシア)が苦しみながら1回戦を突破した。世界ランキング167位の18歳、オリビア・ロゴウスカ(オーストラリア)を相手に演じた2時間35分の大熱戦――というより、ダブルフォールトや凡ミスの頻発する大乱戦だった。

 ダブルフォールトは11。アンフォーストエラー(自分から犯したミス)は48を記録した。緊張で腕が縮んだようなミスが目立ち、再三、いらついた様子を見せた。この春、ローマ大会とマドリッド大会を制したころの安定感はどこへ行ったのか。この日のサフィナはショットに自信を失っていた。こわごわ打っているからスイングが鋭さを欠き、ボールは回転が不十分のままコートの外に飛び出していった。

 あわや、女子では大会史上初となる第1シード選手の1回戦敗退となるところだった。ファイナルセットは0−3と先行を許し、次のサービスゲームでは15−40という大ピンチもあった。最後は相手の経験不足に救われたが、決して褒められた内容ではなかった。

“無冠の女王”が乱調の原因か

 サフィナには世界中のテニスファンが、いつグランドスラムで初優勝できるのかと注目している。その重圧はどれほどのものなのか。グランドスラム優勝のないままランキング1位に居座るのは、やはり居心地の悪いものなのだろうか。どうしても、そこに乱調の原因を求めたくなる。

“無冠の女王”は、ウィンブルドンでセリーナ・ウィリアムズ(米国)に痛烈な皮肉を浴びせられた。セリーナは優勝した後の記者会見で「グランドスラムで優勝がなくて1位になるなら、私はグランドスラムで3勝して2位の方がいいわ」と話した。過去1年間に全米、全豪、ウィンブルドンと優勝したのに、ランキングは2位のまま。それでセリーナは、ランキング制度に対する違和感を漏らしたのだが、この言い方では、どうしたってサフィナへの当てつけに聞こえる。

 さすがに言い過ぎたと思ったのか、全米開幕前の記者会見でセリーナは「この件は、もう話したくないわ」と口をつぐんだ。一方のサフィナは「ランキングシステムのことは私にはどうしようもない」と話し、セリーナのコメントには言及しなかった。

 サフィナが無冠の女王の“汚名”返上に挑戦するのは、全仏、ウィンブルドンに続いて3大会目。格下相手の薄氷の勝利でなんとか1回戦を突破し、「大変な試合だったわ。でも、2回戦に進めたのはよかった。次はもっとよい試合ができると思う」と胸をなで下ろした。

 さらに、「グランドスラムの決勝を3度経験しているし、あと一歩のところまで来ている。遅かれ早かれ、いつかタイトルは取れると思っている」とも語った。ポテンシャルもここ数年の成績も、確かに女王の名にふさわしい。減量や猛練習など、テニスへの取り組み方も申し分ない。しかし、グランドスラム制覇には、また別の何かが必要になる。初載冠に向けて前途多難を思わせる初戦だった。

<女子シングルス1回戦>
ディナラ・サフィナ(ロシア・第1シード) 2−1 オリビア・ロゴウスカ(オーストラリア)
(6‐7、6‐2、6‐4)

 <了>
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント