納得の敗戦 力を出し尽くした杉山=全米オープンテニス 第1日

秋山英宏/WOWOW

女子シングルス1回戦 サマンサ・ストーサーに敗れた杉山愛=ニューヨーク 【共同】

「自分のやるべきことができたと思う」。
 全米オープンで15年ぶりに初戦敗退した杉山愛(フリー)だったが、試合後の記者会見でこの言葉を繰り返した。

 テニスの4大大会今季最終戦、全米オープン第1日は31日、ニューヨークのビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンターで開幕した。
 杉山の1回戦の相手は、第15シードのサマンサ・ストーサー(オーストラリア)。パワーとスピードのあるプレーヤーだ。しかも、今シーズンは全仏でグランドスラム初のベスト4入りを果たすなど、25歳にして大きく開花した。この攻撃的なプレーヤーに立ち向かうには、自分もアグレッシブにいく以外に方法はない。ポジションを前にとって、早いタイミングのショットで攻めるか、パワフルなショットで押していくか。どちらも杉山の「やるべきこと」だった。杉山は積極的だった。しかも、堅実なプレーを続けた。確かに、やるべきことをやったと言える。

 スコアが示す通りの接戦だった。あのポイントが取れていたら、と惜しまれる場面は確かにあった。しかし、杉山はそのポイントを失ったことを悔やんでいない。「もうちょっとで勝てそうなところで、相手もさすがに力があって、(プレーのレベルを)上げてきた」と振り返った杉山。獲得した総ポイント数はともに103、両者まったくの互角だった。試合が終わった瞬間は悔し涙がこみ上げたが、会見場に現れた杉山はさばさばしていた。力を出し尽くしたうえでの敗戦だった。

「勝負」の夏で得た手応え

 今回の北米遠征は「勝負」と位置づけていた。シーズン序盤の不振が響いてランキングは下降気味だ。出発前には「トップ20、トップ30のレベルで戦っていけるのか。その手応えがなくなったときが引退するとき。手応えが得られるか、自分自身と向き合いながら戦っていきたい」とも語っていた杉山。勝ち星は思うように増えなかったが、内容のあるテニスができたという自負はある。杉山は「勝負」の夏をこう振り返った。
「自分のランキングよりもいいテニスをしていたと思う。30位前後の選手にも勝った。アグニエシュカ・ラドワンスカ(ポーランド)には手こずったが、それ以外はしっかり戦えた。勝ったり負けたりだったが、内容的にはそのレベルで戦えたと思う」

 ランキングを取り戻すことはできなかったが、シーズン終盤戦に向けてのモチベーションは十分に得られた様子だ。
「今、テニスがよくなっているし、一日一日、やるべきことができているので、それをしっかり続けていきたい。できることしかできないので、それを大切にしたい」。
 会見は、いかにも杉山らしい言葉で締めくくられた。

<女子シングルス1回戦>
杉山 愛(日本)1−2 サマンサ・ストーサー(オーストラリア・第15シード) 
(4‐6、6‐4、4‐6)

 <了>
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