全米6連覇が懸かるフェデラー。女子は“オールドウエーブ”が強い=全米オープンテニス見どころ

秋山英宏/WOWOW

6連覇目指すフェデラー「いいプレーができている」

全米オープンの組み合わせ抽選会に参加した昨年の覇者であるフェデラー(左)とセリーナ。ともに連覇に期待がかかる 【Getty Images】

 テニスのウィンブルドン選手権を制し、大会後、ランキング1位に返り咲いたロジャー・フェデラー(スイス)。7月には双子の赤ちゃんも生まれ、今まさに幸福の絶頂といったところか。
 この全米には6連覇が懸かる。全米を6連覇以上した選手は過去に3人いるが、その最後となるビル・チルデン(米国)が達成した年が1925年のことだから、今の6連覇とはやや重みが違う。フェデラーがライバルをけ散らしながら6連覇を達成すれば、その名声はいよいよ高まるだろう。
 全仏で生涯グランドスラムを達成し、フェデラーは重荷を一つ下ろしたように見える。その落ち着きも、ウィンブルドン決勝の、あの厳しい戦いを制した要因の一つだろう。全米開幕前の会見で、フェデラーはこう語っている。
「今年はすでに2つのグランドスラムを取っているわけだから、重圧もないよ。そこが、1つも優勝していなかった去年との大きな違いだ。それに、いいプレーができていると自分自身、感じている。これは大きな自信になっているし、気分的にもリラックスできているんだ」

 対抗馬は、ウィンブルドン決勝でフェデラーと素晴らしいバトルを演じたアンディ・ロディック(米国)だ。大きな失望を味わったロディックだが、同時にあの戦いは彼に大きな自信を与えただろう。
 順当に勝ち上がれば準決勝でフェデラーと当たる。しかしその前には、前哨戦となったパイロット・ペンで優勝したフェルナンド・ベルダスコ(スペイン、第10シード)、さらにノバク・ジョコビッチ(セルビア、第4シード)という難敵を打ち倒さなくてはならない厳しいドローだ。

女子はウィリアムズ姉妹が優勢か クライシュテルス、日本勢にも注目

 一方の女子だが、今季は新しい波に期待していたが、グランドスラムに限れば逆に“オールドウエーブ”の活躍が目立つシーズンとなっている。
 全豪、ウィンブルドンを制したセリーナ・ウィリアムズ(米国)。そのセリーナとウィンブルドンの決勝を戦った姉のビーナス・ウィリアムズ(米国)。レッドクレーの全仏を別にすれば、姉妹の力はやはり抜きんでている。

 この全米でも、優勝に最も近いのは第2シードのセリーナと第3シードのビーナスだろう。地元とあってファンの後押しも期待できる。全米では姉妹合わせて5つのシングルスの優勝カップを手にしているが、そのコレクションが6個に増える公算が大きい。ただ、姉妹は順当に勝ち上がれば準決勝で顔が合ってしまう。

 セリーナに「グランドスラムで優勝がなくて1位になるなら、私はグランドスラムで3勝して2位の方がいいわ」と皮肉られたディナラ・サフィナ(ロシア)。いまだグランドスラム優勝のない、無冠の女王だ。
 昨年の全米、今年の全豪、ウィンブルドンと、4大大会を3つ制したセリーナだが、ランキングは2位のままだったのだ。メディアはセリーナの痛烈な皮肉を面白がり、サフィナとセリーナに舌戦をけしかけているようなところがある。面白くないのはサフィーナのほうだろう。スパッと優勝し、騒音をシャットアウトしたいところだが、その道のりは険しいと言うしかない。

 女子の一番の話題はキム・クライシュテルス(ベルギー、主催者推薦)のグランドスラム復帰かもしれない。8月にシンシナティ大会で復帰してからすでにスべトラーナ・クズネツォワ(ロシア)を破るなど、全盛期を思わせるプレーを見せている。彼女も含めて、やはりこの全米はオールドウエーブの大会となるのだろうか。

 日本勢は、森田あゆみ(キヤノン)、杉山愛(フリー)、瀬間友里加(ピーチジョン)の3人が本戦シングルスに出場する。森田が狙うのはグランドスラム初勝利。グランドスラム連続出場記録を62まで伸ばした杉山は、この全米オープンを含む北米遠征を「勝負」と位置づけている。そして、予選を突破してグランドスラム本戦の舞台に初めて立つ瀬間。3人のチャレンジに期待したい。

<了>
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