ロディックの頑張りが生んだ、ファンの記憶に残る名勝負=ウィンブルドン・男子シングルス決勝
ロディックを襲った“サドンデス”の重圧
優勝カップを掲げるフェデラーに拍手を送るロディック(左) 【Getty Images】
とうとうフェデラーにマッチポイントが訪れた。最後もロディックのフォアハンドがフレームショットとなり、コートの外へ飛び出していった。このボールと一緒に、2003年の全米オープン以来2つ目のグランドスラムタイトルは、ロディックの手から逃げていった。試合後の会見で「今日の試合をどう表現する?」と聞かれたロディックは、ひとこと、こう答えた。「負けたよ」。
ロングマッチを予想したフェデラーの戦略
負けられないという思いが、受け身のプレーをさせたのかもしれない。とはいえ、その中でフェデラーが見せた自在さはさすがだった。決勝進出は7年連続。文字通り自分の庭のようなウィンブルドンだけに、肩の力が抜けて、意図した通りのショットを連発した。無理をしない戦い方は、まるで4時間を超えるロングマッチを予想していたかのようだった。
「僕はウィンブルドンの決勝での戦い方を知っているつもりだ。決勝での5セットマッチの戦い方をね。でも、今日はアンディが素晴らしいプレーをしたので、大変な試合になった。最後までブレークできなくてイライラしたし、まったく試合を支配できなかったけれど、その分、今の満足感は大きいね」
フェデラーは、いつものように笑顔を絶やさず、穏やかに語るのだった。
<了>