最強中距離王へ、ディープスカイ負けられん!=宝塚記念 展望
ウオッカ(左)不在、ならばディープスカイは負けられないところだ 【スポーツナビ】
暮れのグランプリGI有馬記念と同じく、ファン投票上位10頭に優先出走権が与えられる夏のグランプリ。中距離で行われることから3200メートルのGI天皇賞・春上位馬、1600メートルのGI安田記念上位馬、そして両GIを見送ってここ1戦に勝負をかける中距離馬たちと、各カテゴリーのトップホースがこぞって集結。以前ほど長距離レースが重要視されなくなってきた近年では、古馬最高峰と言われる天皇賞・春よりもメンバーが揃う傾向にある。
ファン投票1位のウオッカは回避して秋に備えることが21日に正式発表されたものの、同2位のディープスカイをはじめ、天皇賞・春を制したマイネルキッツ、2着アルナスライン、3着ドリームジャーニー、前哨戦のGII金鯱賞を圧勝したサクラメガワンダー、昨年のジャパンカップ馬スクリーンヒーローなど、現役トップホースが勢ぞろい。上半期のフィナーレを飾るにふさわしい豪華な頂上決戦となりそうだ。
凱旋門賞挑戦へ、そして亡き父へ……勝利あるのみ!
体調万全のディープスカイ、急死した父アグネスタキオンに勝利を捧げたい 【スポーツナビ】
前走の安田記念はウオッカに完敗の2着だったが、普通なら快勝していておかしくない内容。4カ月ぶりの今年初戦だった2走前のGII大阪杯2着も合わせて、今年まだ勝ち星こそないが、競馬自体は悪くはない。
また、昨秋はウオッカ、ダイワスカーレットとタイム差なしの3着だったGI天皇賞・秋、ウオッカに先着するGIジャパンカップ2着など、3歳にして現役トップの能力を誇示している。ただ、確実に首位争いをするものの4連敗中であることも事実なだけに、今回はまず“勝利”という結果がなんとしてでもほしい。
典型的な叩き良化タイプの同馬にとっては“走りごろ”の今年3走目。それを示すように、24日の坂路最終追い切りでは堂々の1番時計をマークだ。
そして、より適性のある2200メートルならば、もう負けられない。必勝を期すここで満点の答えを出し、いざ秋には世界一の芝レース・凱旋門賞(10月4日、フランス・ロンシャン競馬場2400メートル芝)へ向かいたい。
そして、22日に急逝した父アグネスタキオンを弔うためにも、偉大なる父と同じ黄金色の馬体を仁川のターフで躍動させる。
遅咲きの星マイネルキッツが再び激走
マイネルキッツが天皇賞・春再現の激走となるか 【スポーツナビ】
しかしながら、GIII、GIIで勝てないながらも、出走した重賞9戦すべて掲示板(5着以内)を確保する堅実ぶり。どんな相手と走っても大崩れしない点は、素直に評価できる。ということは、今回も上位争いに加わる可能性が高いと言えそうだ。
主戦の松岡正海の進言により開花した遅咲きステイヤーの血。距離2200メートルはやや短いかもしれないが、「今までマジメに走ろうとしなかった」という言葉もあるように、ひょっとすると宝塚記念もアッサリ勝てる大器晩成かもしれない。天皇賞と同じ白帽の1枠スタートも好都合だ。
本格化アルナスライン、今度こそ
天皇賞クビ差の2着で悔しい表情を浮かべた鞍上の蛯名、今度こそ 【スポーツナビ】
だが、馬体増に悩まされた昨秋から今年初頭にかけてのスランプも完全に脱出。2走前のGII日経賞では逆にマイネルキッツを完封して重賞初勝利を達成しているように、ここ2走の走りは完全にひと皮むけた印象さえある。2年前のGI菊花賞2着で将来を嘱望された素質馬が、遅ればせながら完全本格化の時を迎えた。
菊花賞、天皇賞・春と好走した京都コースから、舞台は最後の直線で坂のある阪神に移るが、もともとパワーのあるタイプだけに減点材料にはならないだろう。今の充実度なら今度こそGIに手が届いても不思議はない。