サワーvs.キシェンコ、山本vs.ドラゴ=K-1MAX FINAL8決定

長谷川亮

K-1MAX世界トーナメント準々決勝の組み合わせが決定 【チナスキー】

「K−1 WORLD MAX 2009 World Championship Tournament FINAL16」の激闘から一夜明けた22日、福岡市内のホテルで1回戦を勝ち上がった8選手によるFINAL8抽選会が行われ、7月13日に日本武道館で行われる準々決勝4試合の対戦カードが決定した。組み合わせは以下の通り。

<FINAL8(1) K−1ルール 3分3R・延長1R>
ドラゴ(アルメニア/チームSHOW TIME)
山本優弥(日本/青春塾)

<FINAL8(2) K−1ルール 3分3R・延長1R>
ジョルジオ・ペトロシアン(イタリア/サトリ・グラディエートリウム・ネメシス)
アルバート・クラウス(オランダ/チーム・スーパープロ)

<FINAL8(3) K−1ルール 3分3R・延長1R>
アンディ・サワー(オランダ/シュートボクシング オランダ)
アルトゥール・キシェンコ(ウクライナ/キャプテン オデッサ)

<FINAL8(4) K−1ルール 3分3R・延長1R>
ニキー“ザ・ナチュラル”ホルツケン(オランダ/ゴールデングローリージム)
ブアカーオ・ポー.プラムック(タイ/ポー.プラムックジム)

ベスト8ファイターがそれぞれ意気込み

超新星ペトロシアン(左)と初代王者クラウスが激突 【チナスキー】

 各選手は組み合わせ決定を受け、以下のように意気込みを表した。

ドラゴ
「対戦相手が決まりましたので、ファイナル4を目指して一生懸命トレーニングしたいと思います」

山本優弥
「日本トーナメントの時からすごく運がよくて、あの時も選べる立場で選ばせてもらいました。僕はTATSUJI選手にリベンジできて、チビン選手にも勝てて、これからも以前負けた選手にリベンジしていきたいと思っていたのですが、今回は直接関わりのある選手がいなかったので、昨日佐藤選手がやられて、うちの全日本キックの山内選手もやられているので(ドラゴと)やってやろうと思いました。僕が止めます」

ジョルジオ・ペトロシアン
「すごく強い選手たちの中でクラウス選手に当たりました。たくさん練習を積んで勝利を勝ち取りたいと思います」

アルバート・クラウス
「対戦相手を選ぶのは難しいことです。今年ももう4分の1が決まってしまっていました。これからの戦いも頑張っていきます」

谷川氏が予想する優勝候補はこの2人、サワー(右)とキシェンコ 【チナスキー】

アルトゥール・キシェンコ
「ご存知のように(サワーと)2回目の対戦となりました。ただ“トレーニングをしてくる”としか言えません。くじ引きは幸運と不運とがあります」

アンディ・サワー
「これはいい試合になるでしょう。私はここでリベンジをかけたいと思います。自分はまだまだ強いと思うので頑張ります」

ニキー“ザ・ナチュラル”ホルツケン
「ブアカーオが僕を選んでくれて嬉しいです。前の試合は65〜70%の出来だったので、頑張りたいと思います」
 
ブアカーオ・ポー.プラムック
「くじ引きというのは大変面白いと思います。(ホルツケンには)以前対戦して勝ったのですが、今回はさらにいい試合をしようと思って彼を選びました」

ドラゴよ、日本人を舐めるな! 山本優弥「僕が止めます」

「ある程度決めていました」とドラゴを選んだ日本人ただ一人のベスト8ファイター山本優弥 【チナスキー】

 佐藤嘉洋、長島☆自演乙☆雄一郎が姿を消し、唯一の日本人ファイターとなった山本は自らドラゴとの対戦を選択。挨拶で語ったようにドラゴは前日の試合で佐藤嘉洋を破り、07年4月には所属する全日本キックのライバル・山内裕太郎をKOで降した相手でもある。
「(ドラゴにするのは)ある程度決めていました。自分は誰とやりたいとかはないけど、応援してくれる人がいる以上勝つしかないし、ぶつかっていくだけ。一生懸命やるだけです」

 これまで勝ち負けではなく、“いかに技を美しく決めるか”といった独自の価値観・美学にそって試合を行ってきた山本だが、昨年末タイトルを失った際、自分を支えてくれる人たちの大切さに気がつき方針を転換。
「周りの人が喜んでくれるのが今のモチベーション」であるといい、そういった人たちのためにもK−1を担っていく人間にならんとするなど、発言にも変化が見られてきた。
「ドラゴ選手に日本人は舐められてると思うのでそれはイヤだし、2人(佐藤と山内)の仕返しというよりは舐められちゃダメだという気持ちが大きい」
 支えてくれる人の気持ちをより大事にするようになってから山本は快進撃。日本トーナメントに滑り込みでエントリーを決め準優勝、当初リザーブファイトの予定が本戦に繰り上がり、ベスト16戦でも勝利してベスト8に名を連ねた。周りの人たちに応えようとする山本の思いが“強運”を呼び込んでいる。

「この中で僕が一番弱いと思っていますが、K−1は日本で生まれたスポーツなので、僕はただ一人の日本人選手として、日本の魂、K−1の魂を持って戦いたい」
 人の思いを糧にして、山本がベスト4進出を目指す。

K−1とオランダ格闘技「イッツ・ショータイム」が提携強化

提携強化へ谷川K−1イベントプロデューサー(右)と「イッツ・ショータイム」のプロモーター・ルッツ氏がガッチリ握手 【チナスキー】

 なお、谷川貞治K−1イベントプロデューサーは決定した枠組みを見て、「優弥くんは一番いい選択をした。頑張ってほしい。キシェンコvs.サワー戦の勝者が魔裟斗くんの相手(=トーナメント優勝者)になるのでは。キシェンコはMAXの選手の中で、“ポスト魔裟斗”に一番近い存在じゃないかと思う。昨日は魔裟斗くんと朝まで飲んでいたのですが、トーナメントではサワー、キシェンコ、ペトロシアンの3人が強いのでは、というのが僕ら2人の同意見。佐藤くんと城戸くんはリザーブファイトへの出場を考えています」と感想などを話していた。

 また、この会見の終了後、谷川EPはオランダの格闘技イベント「IT’S SHOWTIME(イッツ・ショータイム)」のプロモーター、サイモン・ルッツ氏とともに囲み取材に応じ、今後のK−1とイッツ・ショータイムの提携強化について談話を発表した。

 イッツ・ショータイムはアリーナクラスの大会場で大会を開催し、日本でもお馴染みの打撃ファイターが多数出場する“欧州版K−1”とでもいうべきビッグイベント。5月16日にも2万人以上を収容するアムステルダムアリーナという大会場で大会を予定しており、ここではバダ・ハリvs.セーム・シュルトという、日本でもメーンイベント間違いなしのメガファイトがマッチメイクされている。
 これまでもイッツ・ショータイムからハリやメルヴィン・マヌーフといった選手たちのK−1参戦があったが、谷川EPは今後こうした協力体制をいっそう強化していくことを発表。さっそくルッツ氏に「日本の選手もぜひ出したい。佐藤選手や城戸選手を使ってほしい」とリクエストしていた。
 これを受けルッツ氏は、「ヨーロッパでは大小様々な大会が毎週のように開催されています。日本の選手がそこで試合をすることはいい経験になるでしょう。ヨーロッパの選手が日本に来て活躍できるのは、その前にヨーロッパで60〜70戦の経験を積んでいるからです。日本の選手にも経験を積んでもらえれば」と受け入れに前向きな様子。
 今後K−1とイッツ・ショータイムの関係強化により、日本と欧州の選手交流・行き来がより盛んになれば、そのことで日本選手のさらなるレベルアップが期待できそうだ。
 なお、談話では谷川EPから「長島選手とかどうですかね?」とアピールがなされたが、「ヨーロッパでは格闘技は男らしいスポーツだと考えられている。ああいう格好は受け入れられないと思うし、相手へのリスペクトがないと取られてしまうので厳しいと思う」と、ルッツ氏が否定的な見解を示す一幕もあった。

 5月16日にオランダで行われるイッツ・ショータイムはビッグカードが目白押し。MAX世界トーナメントベスト8に進出した選手も、サワー、ペトロシアン、ドラゴ、ホルツケンと4選手が含まれており、谷川EPも「(MAXは)7月なので問題ないと思うが、どう戦うか、勝敗が気になります」と注目しきりの様子であった。

■IT’S SHOWTIME
現地時間5月16日(土) オランダ・アムステルダムアリーナ

【主な対戦カード】

<K−1ルール 3分3R・延長1R>
バダ・ハリ
セーム・シュルト

<K−1ルール 3分3R・延長1R 97キロ契約>
タイロン・スポーン
グーカン・サキ

<K−1ルール 3分3R・延長1R>
メルヴィン・マヌーフ
ステファン・レコ

<K−1ルール 3分3R・延長1R>
エロール・ジマーマン
ムラッド・ボウジディ

<K−1ルール 3分3R・延長1R 70キロ契約>
アンディ・サワー
シャヒッド

<K−1ルール 3分3R・延長1R 70キロ契約>
ジョルジオ・ペトロシアン
ファルディール・シャバリ

<K−1ルール 3分3R・延長1R 70キロ契約>
ドラゴ
ウィリアム・ディンダー

<K−1ルール 3分3R・延長1R 72.5キロ契約>
ニキー“ザ・ナチュラル”ホルツケン
サヒン“カーズ”ヤクト

<K−1ルール 3分3R・延長1R 72.5キロ契約>
ユーリー・メス
アルビアール・リマ

<K−1ルール 3分3R・延長1R 70キロ契約>
ムラッド・ディレッキー
ブライアン・ロアニュー
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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