3勝を挙げ松坂がMVP 岩隈、杉内も活躍=WBC日本代表 各選手総括(投手編)

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杉内がもうひとりのMVP

中継ぎとして完ぺきな投球を見せた杉内。優勝への貢献度は投手陣でも屈指だ 【Getty Images】

<岩隈久志>

MVPの松坂が「内容が岩隈君のほうがはるかにいいし、MVPは岩隈君だと思った」と語るほど、フォークを低めに集めるテンポのいい投球は安定していた。球数制限のある中で、16カ国の投手の中で唯一20回に到達したことでもそれは証明される。プレッシャーのかかるWBC決勝の韓国戦では8回途中2失点と自分の仕事を果たした。「初めてのWBCは楽しかった」とマウンド降りる岩隈の顔には笑顔があった。

●WBC初参加で、自分自身のパフォーマンスをしっかり発揮することができた。このチームで戦えたことを誇りに思って、今後の野球人生に生かしていきたい●

<藤川球児>

 守護神として期待されたものの、最後まで調子は上がらず、決勝ラウンドの抑えはダルビッシュに譲った。それでも腐ることなく、ダルビッシュに肩のつくり方やメンタル面をアドバイス。裏方としてしっかりとチームをサポートした。ダルビッシュも「球児さんはいい気持ちじゃないと思うけど親切に教えてもらった」と感謝した。マウンド上での派手な活躍はなかったものの、世界一に間違いなく貢献した。

●このオフに代表が発表されてから全員が誰よりも練習してきた。結果としてあらわれてホッとしている。日本の皆さまは僕たちよりも倍以上うれしいと思う。個人的には努力してきたことを誇りに思うし、今後の野球人生に役立てていきたい。また、松坂がみんなの目線に合わせてくれて本当に感謝している。ピッチャーは本当に一番だったと思う●

<内海哲也>

 2月のメンバー選考では国際大会経験豊富な和田毅より調子の良さを買われた内海がメンバー残った。結局、2次ラウンド決勝の韓国戦に先発しただけで今大会は終わった。ただ、巨人の左腕エースとしてこの経験は何事にも替え難かったのは間違いない。

●登板機会は少なかったですが、この経験を生かして、4月3日からのペナントレースをがんばっていきたい●

<小松聖>

 1月の自主トレーニングからイチローの打撃投手を務めるなど今大会に向けて精力的に動いてきたが、埼玉西武との強化試合で炎上。大会中は中々登板機会が回ってこなかった。ただ、黙々と練習に励み、2次ラウンド決勝の韓国戦では2回2/3を5奪三振、無失点。2次ラウンド1位通過に貢献し、日々の努力はしっかりと報われた。

●本当に野球のすばらしさと面白さを感じた。この経験を今後の野球人生に生かしていきたい●

<渡辺俊介>
 決勝ラウンドの登板はなし。ただ、五輪や前回大会など国際試合に何度も選考されていることから、若手投手陣に自分の持っている貴重な経験をアドバイス。投手陣最年長として、マウンド以外でも仕事をまっとうした。

●投手陣最年長という立場だったが、(松坂)大輔や(藤川)球児がピッチャーを引っ張っていくときに邪魔にならないように、前回大会で得た経験だけをみんなに提供しようという立場でいようと思った。緊張感のある戦いが続いた中で、ドーピングで3度も引っかかった(3度、検査を受けた)イチローさんの笑顔が癒してくれた●

<山口鉄也>

 13人の投手陣で唯一、本職が中継ぎの左腕。決勝ラウンドの登板はなかったが、終わってみれば4試合で防御率0.00。「点を取られなくて良かったです」と振り返り、無事に自分の責務をまっとうしたことに安堵していた。

●この素晴らしいメンバーの一員になれて、一緒に戦えたことが誇りに思う。そして最高の経験ができて幸せな時間が過ごせた●

<杉内俊哉>

 松坂が表のMVPなら陰のMVPは杉内だろう。中継ぎとして連投もこなすなど5試合に登板。6回1/3を無安打に抑えるパーフェクトピッチングだった。決勝では1点リードの8回2死一塁で岩隈の後を引き継いだ。李容圭をレフトライナーに打ち取り、ピンチを脱出。前回大会の優勝も経験しているが、「めっちゃうれしい。今回のほうが満足感も達成感もある」と本人が語るとおり優勝の貢献度合いは今回のほうがはるかに上回った。

●普段投げないポジションで、出番が回ってくるなと思っていたけど、名前を呼ばれた瞬間に日本で投げる以上の強い気持ちが入ったし、本当に気合が入った。日本で投げるようなピッチングスタイルではなかったけど、思い切り力んで、力を込めて気持ちだけは負けないように投げた●

<了>

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