アリスター・オーフレイムインタビュー「レミーはフライング・アクター(空飛ぶ俳優)」=K-1

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「K-1ワールドGP IN 横浜(28日・横浜A)」でレミーと対戦することが決まったアリスター 【スポーツナビ】

「PRIDEミドル級グランプリ2005」でビクトー・ベウフォート、イゴール・ボブチャンチンを連続撃破の活躍から4年。好調と不調の落差が激しいことから戦績にも浮き沈みの見られていたアリスター・オーフレイムが、08年のヘビー級本格転向後、強豪に連勝を重ねる大躍進を遂げている。
「DREAM.5(08年7月21日・大阪城H)」ではマーク・ハントに一本勝ちを収め「DREAM.6(08年9月23日・さいたまSA)」ではミルコ・クロコップを圧倒。そして「Dynamite!!(08年12月31日・さいたまSA)」ではK−1ルールに挑戦し、バダ・ハリをノックアウトで下した。
 そのアリスターが「K−1ワールドGP IN 横浜(28日・横浜A)」に来襲し、過去3度もの王座に輝くレミー・ボンヤスキーとK−1ルールで対戦する。レミーが「K−1ワールドGP2008ファイナル(08年12月6日・横浜A)」で反則攻撃を浴びた際の様子を「演技」と言い放ち、ニックネームである「フライング・ジェントルマン」のをもじって「フライング・アクター(空飛ぶ俳優)」と敵意を燃やすアリスターに試合への思いと近況を聞いた。

バダの敗因は「俺を見くびっていた」ということ

Dynamite!!ではバダを1ラウンドKO撃破 【t.SAKUMA】

――バダ選手をKOしたあと、オランダでの評判はいかがですか?

 周りの人間はすごく喜んでいたけど、バダファンの人は相当ムカついたみたいだよ。
 彼のファンから脅迫状まがいなな手紙すらもらったから。

――バダ戦の勝因は、何だったと思われますか?

 まず(バダの敗因は)第1に俺を見くびっていたということだよ。 数年前の(グラウベ・)フェイトーザ戦での俺を見て実力を判断したんじゃないかな? でも、実際は(コー・)ヘマースの指導の下、立ちの練習しっかりやってきたし、スパーリングパートナーもいる。日々、上達しているのを自分自身も肌で感じているよ。

――バダ選手は、連戦での疲労とダメージがあったと、彼をかばう声もありますが、反論はありますか? もう一度、K−1ルールで闘っても、同じ結果になると思いますか?

 俺もバダも真っ向勝負のファイターだから、正直、彼のことはいい選手と思っている。
 もしかしたら、ダメージはあったかもしれないよね。決勝大会(「K−1ワールドGP2008ファイナル」)ではKO勝ちをしているけれどKOを狙いに行く分、彼自身もダウンを取られたり攻撃をかなり受けていただろうから。バダが俺との試合を受けたのはきっとMMAファイターと思いっきり試合をしたかったからじゃないかな? 

K−1とMMAは違う競技

Dynamite!!では総合格闘技勢がK-1勢に大勝 【t.SAKUMA】

――あなたがバダ選手を倒したことで、K−1は弱いという声も増えてきました。それらの意見を聞いて、どんなお気持ちですか?

 選手それぞれ違うから一概にはそうとは言えないとは思うし、総合選手は立ち技の選手と違ってたくさんの技術を会得しなくてはいけないんだよ。俺はたまたまゴールデングローリーで他の立ち技選手とスパーリングすることができるから打撃に関してもK−1でやれるけれど、例えばシュートボクセの選手は総合では無敵といわれてもK−1で試合をしないだろう? 確かにクイントン(・ジャクソン)もK−1で試合をしたけど常連選手ではない。 ただ、最近のMMAの選手も打撃の重要さを感じていてちゃんと練習をしているから特にトップレベルの選手は上手だと思う。ただ、ボクシングとテコンドーが違うと思うのと同じようにK−1とMMAは違う競技として見るしかないと思うよ。

――あなたの試合だけではなく、大みそかはゲガール・ムサシ選手が武蔵選手を、川尻達也選手は武田幸三選手をKOしました。同じ総合格闘家として、どんな気分なのでしょうか? やはり総合格闘家は、強いですか?

 さっきも言ったように選手次第だし、あと組み合わせ次第でもあると思う。 確かにK−1で長く戦っている武蔵に勝ったゲガールはすごいとは思うけど(セーム・)シュルトや(ピーター・)アーツといった他のK−1ファイターと戦ったら勝てるかというとそれも疑問。
 ただ、MMAファイターは試合中、たくさんのことを考えながら試合をしなくてはいけないんだよ。 テイクダウンに対してのディフェンス、グランドでの動き、ガードのかわしや閉め技のタイミング……たくさんのことを一瞬で判断しなくてはいけないんだよ。それに比べると立ち技はシンプルで分かり易くだから一般受けするんだと思うけど。

――総合格闘家は、K−1ルールでも強いと思いますか? もしくは、通用すると思いますか?

 ごく一部のMMA選手だけだと思う。
 総合が得意なアメリカ人やブラジル人がK−1で優勝したことないでしょ? だからMMAで強いからといってK−1で活躍できるとは限らない。

レミーは“フライング・アクター”

レミーはどんな戦略でアリスター迎撃に備えるか 【t.SAKUMA】

――あなたは、レミー選手との試合を熱望されていましたが、その理由と彼の印象を教えてください。

 K−1の現王者だからやっぱり挑戦してみたいよね。ただ俺としては今年のDynamite!!でと考えていたんだけど……思った以上に早く試合が決まっちゃって驚いている。
 でも、自分なりにしっかり準備はしているから大丈夫だと思う。
 レミーはバダとはまったく違うタイプだからバダとの試合のように盛り上がるかな……つまらない試合だけにはならないようにしたい。 しっかりゲームプランもあるからその通りにさえ試合が運べば勝てると思う。

――昨年のWGP決勝戦でレミー選手が、バダ選手の反則を受けて、ダブルビジョンに見えるという理由で立ち上がってきませんでした。あれを演技だとみる意見もありますが、あなたはどう思われますか?

 ……演技だと思う。あそこで立ち上がったバダをKOしていればこんなこと言われずに真のヒーローになれたのにって思う。もちろん、実際どれだけレミーがダメージを負っていたかは定かではないけれど、写真から判断する限りでは演技だと思わざるを得ないな。過去にもレミーは(ステファン・)レコ(「K−1ワールドGP2006決勝戦」06年12月2日・東京D)やボブ(・サップ「K−1ワールドGP2003開幕戦」03年10月11日・大阪D)と戦った時に今回と同じような事例があるから、余計疑ってしまうのかもしれない。
 レミーはハリウッドスターになりたいらしいから、その為にはなんでもするんじゃないかな? 順調にハリウッドへの道を進んでいるようだけど、やっぱりファイターはリングに立つべきで、ハリウッドなんて似合わないと思う。

――レミー選手のフライングニーは、あなたに当たると思いますか? あなたが勝つとしたら、どんなフィニッシュになりそうですか?

 小柄な選手であれば彼のフライングニーはとどくけど、僕のような背の高い選手には届かないと思うよ。 確かに彼の飛び技はすごいよ、彼自身もそう思っているはず。
 でも、僕だって同じようにフライングニーができるし、きっと横浜では空中戦が繰り広げられるかもしれないから楽しみにしていて。
 そうそう、彼のニックネームの「フライング・ジェントルマン」だけど、僕はどうかと思うんだよね。 どっちかって言えば「フライング・アクター」っていうほうがお似合いだと思うよ、本人もハリウッド進出したがってるし。

バダよ、MMAでいつ試合するんだ?

バダとのMMA対決はいつになる? 【t.SAKUMA】

――K−1の谷川(貞治)プロデューサーは「レミーが負けたらK−1は終わりだ」とコメントしていますが、あなたはどう思われますか?

 すごいコメントだね。確かにK−1で2戦しか経験していない僕が勝つのは可能性として少ないと思っているからなのかな……。
 3戦目にして3度の王者に輝いているレミーと戦うんだからそう思われても仕方ないだろうし、そんな扱いにも慣れたよ。
 でも、当然、勝つ気でリングに上がるし、生涯MMAファイターではあるけど、バダと同じくらい面白い試合ができると信じている。 会場を魅了するエキサイティングな試合を期待していてください。でも、この試合にK−1のすべてを賭けてしまってホントにいいのかな? 多分、K−1のMMAに対する連敗でイラついてしまってあんなこと言ったんだと思うけど……。僕は、K−1、MMAに関係なく、いい選手で試合が面白ければそれはそれでいいと思ってる。谷川さんがそんなこというならレミーに勝って、もっと谷川さんをイラつかせちゃおうかな(笑)。

――レミー選手は、どんな試合をしてくると思いますか?

 いつも通りに攻めてくるとは思うけど、僕は相当アグレッシブに行くつもりだがらやりにくいと思われるはず。 多分そうなると、彼は得意のタイト・ディフェンスでローをパチパチ当ててくるよ。でも、バダとの時のように少しはアグレッシブになってくれると試合が面白くなるんだけど。

――バダ選手も出場しますが、何か一言あればお願いします。

「MMAでいつ試合するんだ?」だね。

エキサイティングな試合をします

大躍進中のアリスター、K-1王者をも飲み込むか!? 【t.SAKUMA】

――現在、あなたが尊敬するファイターは誰ですか? その理由もお願いします。

 ラモン・デッカーだよ。 彼の戦いは常にアグレッシブ。
 1カ月に3試合っていうありえないファイトスケジュールをこなしたり、しかもけがをしていたから左フックのみで戦い続けたっていうんだから、彼こそ真の戦士だよ。

――現在、あなたは誰とどんなトレーニングをしているのでしょうか?

 ブレダのゴールデン・グローリーでエロール(・ジマーマン)、(グーカン・)サキ、レコたちと練習しているよ。選手それぞれ違うメニューにはなるけど、とにかくスパーリングをたくさんしている。

――K−1ファンは、大晦日の結果をみて失望しています。そんな彼らに言いたいことはありますか?

 彼らはがっかりなんかしていないと思う。世の中にはいい選手がたくさんいて時には予想を反する結果があることだって理解しているはず。Dynamite!!だって内容に満足していると思う……お客さんの反応でそれを感じている。

――最後に、応援してくれるDREAMのファンへメッセージをお願いします。

 2009年は格闘界にとっていい年になるよう、これからも応援をよろしく。
 調子もいいし、ヘビー級でどんどん活躍していきます。
 日々、上達しているし、もっともっとみんなに喜んでもらえるようなエキサイティングな試合をします。

■「K−1 WORLD GP 2009 IN YOKOHAMA」
3月28日(土) 神奈川・横浜アリーナ 開場16:00 開始17:00

【決定対戦カード】

<K−1ルール 3分3R延長2R>
レミー・ボンヤスキー(オランダ/チーム ボンヤスキー)
アリスター・オーフレイム(オランダ/ゴールデングローリージム)

<K−1ルール 3分3R延長2R>
バダ・ハリ(モロッコ/ショータイム)
エロール・ジマーマン(スリナム/ゴールデングローリージム)

<K−1ルール 3分3R延長2R>
ジェロム・レ・バンナ(フランス/Le Banner X tream Team)
エヴェルトン・テイシェイラ(ブラジル/極真会館)

<K−1ルール 3分3R延長2R>
澤屋敷純一(日本/チームドラゴン)
グラウベ・フェイトーザ(ブラジル/極真会館)

<第2代K−1ヘビー級王者決定トーナメント1回戦 3分3R延長1R>
メルヴィン・マヌーフ(オランダ/マイクスジム)
ハリッド“ディ・ファウスト”(ドイツ/ゴールデングローリージム)

<第2代K−1ヘビー級王者決定トーナメント1回戦 3分3R延長1R>
ルスラン・カラエフ(ロシア/フリー)
グーガン・サキ(トルコ/チームレベル)

<第2代K−1ヘビー級王者決定トーナメント決勝戦 3分3R延長1R>
1回戦の勝者
1回戦の勝者

<リザーブマッチ K−1ルール 3分3R延長1R>
タイロン・スポーン(スリナム/ブラックレーベルファイトクラブF.F.C.)
前田慶次郎(日本/チームドラゴン)

[出場予定選手]
野田 貢
佐藤 匠
立川隆史
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