湘南・反町康治監督、失意からの再出発=インタビュー

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代表はクラブチームとは違う

反町監督は若い選手にモーションとエモーションを注入し、「湘南の暴れん坊」の再現を目指す 【スポーツナビ】

――新潟というクラブを率いた後に約2年間代表チームにたずさわってみて感じたことは?

 クラブチームとは違うということですね。(活動)日数が少ないから、クラブのような雰囲気になったなと思ったら解散になる。だから、そんなにすぐに効く薬はないけれど、なるべく即効性のある劇薬、すぐに反応しやすいトレーニングやミーティングを五輪代表ではするようにしていました。
 ベルマーレでは、即何かというよりもやっていくうちに強化して色をつけていく感じ。そういう意味では違いますね。

(五輪代表で)優先的に考えたのは、オシムさんもずっと話していたんですが、日本のサッカーはこういう特徴があるから、こういうサッカーを前面に押し出してやろうと。それに見合う選手をピックアップしてやる。それに将来はA代表に入っていける選手ということに着眼していました。でもクラブの場合は、選手ありき。それをどううまく使っていくか。セレクトするわけではないので。選手が持っている個性や特徴をつかんだ上でチームを構築していくというところでは、最初の段階で違います。

――五輪代表のときとやりたいサッカーは変わりましたか?

 五輪代表では、攻守両面においてしっかりプレーするというのがありました。やはり相手との力関係を考えると、どうしても厳しい戦いになることは分かっていましたから。難しい組に入ったというのも正直あると思います。オーバーエージにしても、(他国には)UEFAチャンピオンズリーグに出場している選手もいるわけです。オランダのバベルはトップレベルでやっています。日本では森本くらい。実力的にはまだまだ足りない。そこで何をするか。団体で攻めて団体で守る。1人で崩せなければ2人で攻める。運動量だけは絶対に負けない。そういう点を重視して選手をセレクトしてきたつもりです。

ホッフェンハイムは参考になった

昨年訪れたドイツ・ホッフェンハイムでは、攻撃のトレーニングについて学ぶ点が多かったという 【スポーツナビ】

――五輪の後にドイツのホッフェンハイムに行かれていますが、そこで何を学びましたか?

 ホッフェンハイムは非常に参考になりました。今までバルセロナ、エスパニョールに長期間行って、モウリーニョ監督時代のチェルシーなどにも行きましたが、今回が一番勉強になりました。3週間という期間で、練習もしっかりと見せてくれたし、いろいろな質問にも答えてくれました。
 例えば、チームコンセプトがこうあるとしたら、こういう練習をするんだと。いろいろなことがよくプランニングされていて、選手の個性もしっかり見た上でチームを構築していました。

――監督が就任されてからホッフェンハイムという言葉がよく出ていますが

 わたしは別に言っていないんですよ(笑)。聞かれたからそう答えたら、「ホッフェンハイム流に4−3−3にしている」と言われて。でも、別に4−3−3にするつもりはなかったんです。最初は4−4−2でやるかもしれないし、3バックかもしれないと思っていました。で、選手の質を見たら4−3−3が一番いいと思っただけ。オシムさんの場合もそうですが、選手の質も違うから、やり方や練習をコピーするつもりはないです。
 4−3−3は日本ではなかなか難しいシステムで、やり切ることは難しい。昔、4−3−3をやったことがあるんですが、そのときと同じことをやったら失敗してしまう。選手の質、日本の土壌、外国人選手の個性も考えないといけない。

――コピーはしないが、ホッフェンハイムには見習う点は多かったと?

 そうですね。モウリーニョは同じ4−3−3でもディフェンスの練習ばかりで、シュート練習は一切しなかった。ただ、守備のトレーニングの方が楽なんですよ。攻撃はクリエーティビティーやイマジネーションをうまく引き出すようなセッティングが必要で、それは思ったよりも難しい。(ホッフェンハイムは)攻撃のトレーニングを主体にしているから、試合中もいろいろなアイデアがある。練習でやったことがそのまま試合で生かされると、「なるほど、そういうことなんだな」と。そういった意味で参考になりました。

 ホッフェンハイムのように魅力的なサッカー、攻撃的なサッカーをすることは大事。ただ、日本で攻撃的なサッカーをするのは大変です。なかなか結果が出ないことをみんな知っていますからね。

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